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第28話 ビスキュイ姉妹



 翌日の放課後。

 学校で飼っていたプテテ・リスの捜索を始めた。


 キースのことを信用していない双子のビシュキュイ姉妹と3人で、廊下を歩く。


「首輪に位置がわかる魔石がついてるから、おおよその場所はわかってるの」

「でも、餌を置いてても出てきてくれないんだよねー」


 体育館の倉庫の前に到着する3人。


「この倉庫のどこかに居るのね?」

「そうよ」

「これ、餌ね」


 餌を渡されるキース。

 そして捜索開始。


「プテちゃーん、出ておいで一」

「プテー」


 リスを呼ぶビスキュイ姉妹。


「おーい、出ておいで一」


 キースも呼びながら、広い倉庫内を注意深く歩く。


「ん?」


 何かが動いたのを目の端で捉えたキース。

 跳び箱の裏に逃げる影。


 追いかけ、跳び箱の裏のスペースを覗くと……、いた!

 すかさず餌を見せて誘い出そうとするが、


「キュー」


巨大な影に怯えたプテテ・リスは、狭い隙間を通って倉庫の外へ飛び出した。


「あ、待て!」


 キースも追いかけて倉庫の外へ、しかし、見失ってしまった。


「どこ行った?」

「姉さん魔石見て!」


 ビスキュイ姉妹も倉庫から出てくる。


「げえ、学校の外に出てる!」

「えー、急がないと!」


 慌てる姉妹。


「場所案内して!」


 キースが急かす。


「こっち!」


 3人で走り出した。





 いちご畑に挟まれた道にプテテ・リスはいた。

 ちょうど馬車が行き交い、今にも轢かれそうな危険な状態だった。

 突如、キースがリス目掛けて走り出した。


「え?」

「ちょっと!」


 馬車の前に飛び出したキースは、リスをキャッチしていちご畑に転がった。

 馬車はキースの飛び出しに当たらない距離で、空中にジャンプして飛び越えて通り過ぎた。

 御者は居眠りをしていて、着地の際に目を覚ました。

 そして、そのまま澄ました顔で何も気づかなかった様子で行ってしまった。


(手を貸すなって言われたけど、これは例外よねー)


 校間の影から、ロッドを振るっていた魔女が人知れず呟いた。


「ちょっと、あんた大丈夫!?」

「怪我は!?」


 道路を渡り、駆け寄るビシュキュイ姉妹。


「いてて……、あれ? プテテ・リスは?」


 身を起こし、辺りを見回すキース。頭の上に何か違和感がある。


「そこだよ」


 姉のペッシュがキースを指差して言った。

 キースが頭の上に手をやると、プテテ・リスは手を伝って肩の上に移動した。

 辺りを見まわし、鼻をヒクヒクさせている。


「懐いてるね、自分を守ってくれたってわかってるのかな?」

「さあ? でも、邪な気配がないってことはわかったわ」


 ビスキュイ姉妹はキースを立たせると、その制服についた砂を払った。


「全く、無茶しすぎよ」

「本当、轢かれてたらどうするつもり?」


 お怒り気味の姉妹。


「いや、せっかく許してもらうチャンスをもらえたから、頑張ろうと思って」


 などと弁明するキース。


「それにしたってやりすぎよ、大怪我する可能性もあったんだから」

「ビンタの時もそうだけど、もっと自分を大切にしないと、私たちに許されたって怪我したら意味ないでしょ」

「え、ごめん」


 姉妹に説教される。


「まあ、私たちも疑ってたから人の事言えないけど」

「とりあえず、保健室行くよ」


 手を取られ歩き出す。


「ちょっと、あなたたち何をしてるの?」


 担任のプラリネがやって来た。


「道に飛び出してたように見えたけど?」


 プラリネの問いかけに、姉妹が事情を説明した。





「全く、動物を助けるためとはいえ、道路に飛び出すとか今後絶対やっちゃダメよ!わかった?」

「はい」


 神妙な面持ちで答えるキース。


「それから、あなたたち、揉め事があるなら先生にちゃんと相談なさい、勝手に一人を罰するようなことはしてはダメ」


 そんなことになっていたとは思いもよらなかったプラリネは、今後のことも考えて釘を刺す。


「はーい」

「みんなにも言っておきます」


 反省する姉妹。

 ひとしきり反省し終えると、


「っていうか、さっきの先生だったんだ」


馬車が飛んだのを思い出した。


「でも馬車浮かすぐらいなら、この子を浮かせた方が良かったんじゃない?」

「ねー、私もそう思う」


 キースの方を見ながら、プラリネの判断にツッコミを入れる姉妹。


「細かいことを気にしないの。あなたたち、そんなんじゃモテないわよ」


 ビシッと指を刺してプラリネが言うと、


「えー、やだー」

「じゃあ見なかったことにするね、先生」


姉妹が大人の対応を見せる。


「よろしい、それでこそ私の教え子よ」


 プラリネは満足げにうなずいた。


(なんだこれ)


 キースは困惑した表情を浮かべた。


「あ、保健室行くよー」


 全員で歩き出した。





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