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第20話 剣術偏重



 姫の授業後。


「あんな授業3週間も受けないといけないの?」

「もうやだー」

「休む?」

「休もう休もう!」

「あれは耐えられないわ」


 ピノ、ランセ、ビート、エレル、ズコットが言った。


「私はもうちょっと姫の授業うけたいですわ」


 意外なことを言うディタ。


「一番いびられてたのに何が良かったのよ?」


 ピノが聞くと、


「んー、口だけじゃないからかしら」


 ディタが授業を思い出しながら言った。

 ディタの言葉を受けてズコットが、


「確かに、姫の実演はすごかったね。ディタの一撃もすごかったけど、あんなものを見せられたらね……」


 腕組みしながら言った。ディタも同意とうなずいた。

 ディタの打ち込みは藁束を叩いただけだったのに対し、姫は刃の入っていない模造力で藁をぶった斬ったのだった。


「うーん、まあそれは認めざるを得ないけど」

「だなー」


 認めたくなさを滲ませながらピノとエレルが言った。


「でもあんなに怒らなくてもいいのに一」


 ランセが口を尖らせて言った。


「ね、あれじゃ怖くて普段の力の3分の1も発揮できないよ」


 ビートが肩をすくませて言った。


 姫の授業を休むかどうしようか考えていると前から声をかけられた。


「よ、皆の衆」


 三年の生徒会長ベルと首席魔法使いレイがやってきた。

 2人とも打撲の痛みを抑える貼り薬をほおや腕に貼っている。


「お姉ちゃんたちどうしたのその怪我」


 ピノが姉のベルに聞くと、


「姫様と模擬試合やることになっちゃって、んでめためたにされたんだよ」


 痛ててと言いながらも笑って答えた。


「レイさんも?」


微笑みながらうなずくレイ。


「重量装備はつけたままだったとか?」


 ピノが続けて聞く。三年生は一年生では持ち上げられないほどの重さのベストを着て、手首、足首にも重りをつけて生活していた。


「いや、外したよ。それでも全く歯が立たなかった。本気を出させることもできなかったし」


 レイが嬉しそうに言った。


「えー、本当ですか……」


 引く一年生たち。


「レイ先輩でも歯が立たないなんて、姫さまバケモノじゃないですか」


 ズコットが思わず言った。


「聞こえたぞ。誰がバケモノじゃ」

「ズコット、ラクリマ先生はバケモノじゃない。災害だ」


 ラクリマ姫とボワロン先生があらわれた。


「姫さま!? す、すみません!」


 ズコットが頭を下げた。


「はっはっは、良い良い。褒め言葉として受け取っておいてやるわ。わらわは今は先生じゃからのう。で、災害とはなんじゃボワロン!」


 ボワロンを睨むラクリマ姫。


「姫さま、いくらなんでも初等科の生徒相手にあそこまでやるのはワイルドすぎるんですよ」

「あれぐらい普通じゃ、のう、オレンジの」


 ランセに同意を促す姫。


「え、あのー、もうちょっと優しくしてくれた方がいいです」


 願望を素直に口に出すランセ。


「オレンジの、わらわに優しくしてほしくば、わらわが納得するぐらい強くなることだな。はっはっはー」


 姫はランセの頭をポンポン撫でると笑いながらボワロンと共に去っていった。


「普段は、いい人そうなのに」


 と、ビート。


「スイッチ入ると人がかわるタイプなのかも」


 と、エレル。


「おそらく姫も同じような経験してるんだと思うな。じゃないとあそこまで強くなれるわけない」


 最後に首席魔法使いレイが言った。





「けどなんで剣術なんか習うんだろう。わたしたち魔女なのに」


 ランセが疑問を口にした。


「魔法使いといえども、近接戦闘やってないと剣士に接近されたら何もできなくなっちゃうからね」


 生徒会長ベルが答える。


「魔法でなんとかできないの?」


 ピノが姉のベルに聞く。


「うーん難しいよね。物理防魔法も威力のある攻撃だと砕けちゃうし。そのあと連撃がくると自力でなんとかしないといけなくなるから」


 この世界では同じ呪文を何重にも掛けることはできなかった。また、魔法を発動するにはどうしても3秒程度はかかる。

 なので剣士に接近された時、しのげるぐらいの剣術の腕は必要だった。


「盾じゃダメなんですか?」


 ディタが聞いた。


「うーん、弓とかも防げるから盾でもいいんだろうけど、弓は専用の魔法防御があるし、盾で守る方に重点を置くと、攻める側は勢い付いちゃうんじゃないかな。あと、うちの学園の先生たちは攻撃重視のスタイルがお好みのようだから、剣術に偏重してるのかも」


 ベルの説明に一年生たちは半分納得した。


「っていうか、あんたたち藁束斬れって言われた?」


 ベルが妹のピノに聞く。


「え、うん。誰一人斬れなかったけど」

「へー、一年にも言ったんだ。あれは脱力が肝心だからね。そこを気をつけてやるといいよ」


三年生は全員成功したとのことだった。


「先輩たち全員成功したんですか? すごいー」

「私たちはニ年から体術の授業やってるし。そりゃあね」


 ランセの言葉に笑顔で答えるベル。


「けど、見直したでしょ?」


 ベルの問いかけにブンブン頷く一年生たち。


「湿布まみれじゃカッコつかないけどね」


 レイが笑いながら言った。


「こら一、水をさすのはやめたまえ」


 ベルが少し不貞腐れつつ言ってから笑った。





 姫が先生として学園に現れた頃、学園都市周辺では、魔法女学園が閉校になり、聖騎士学院の第二校舎ができるという噂が流れていた。






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