第17話 ボワロンの休日
夏休み。
ボワロンは友人2人と海の見えるレストランに来ていた。
「なに飲む一?」
メニューをのぞき込む3人。
「私ビール」
「私ワイン」
「じゃあ、私はシャンパンにしようかな」
「料理は?」
「私、焼き牡蠣」
「ロブスターとかいってみる?」
「いいね、あとは季節のパスタかなー」
「あ、ちょっと待って、フリッタータ食べたい」
「なんかサラダも頼もうか」
「パンがサービスだって」
注文が終わり飲み物が運ばれてきた。
「「「かんぱーい」」」
「いやー、まさかあんたが教師になるなんてね、いまだに信じられないわ」
ボワロンの友人のドナ・ムーランが言った。
ムーランはスキンヘッドにビッチメイクで、ティアドロップ型のサングラスをかけた二児の母。
「でも、いつも校長室に呼び出されてるよねー」
ボワロンの友人で同僚のアンナ・プラリネが言った。
プラリネはモテ系一軍ゆるふわお姉様スタイルで、男漁りが趣味の肉食獣。
「もーいいだろその話は一」
ボワロンはワインをぐいと飲んだ。
3人は魔法女学園の元同級生だった。
「そういえば、聖騎士の彼くんと別れてから誰とも付き合ってないんでしょ? 私が紹介してあげようか?」
プラリネがシャンパンを飲みながら言った。
「いらないから。あんたの男の趣味は理解不能だから、マジで」
ポワロンが断る。
「プラリネ、あんた男漁りばっかりしてないで、落ち着いたらどうなの?」
ムーランがたしなめるように言うと、
「私は一人の男じゃ満足できないの。100% 浮気します!」
自信満々に言った。
「あんたのとこはなんでそんなに仲良いのよ?」
プラリネがムーランに聞いた。
「なんで? んー、ユニークで飽きないから?」
首を傾げながらムーランが答える。
「これだー、のろけおって」
プラリネがジト目を向ける。
「あー、どこかにいい男いないかなー」
ボワロンがワインをあおる。
「パンをお選びいただけます」
店員がパンの入ったカゴを持ってきた。
話を中断してパンを選ぶ3人。
「私これ」
「じゃあ私これ」
「私はこれ」
それぞれ選んだパンをちぎって食べた。
「生地がもっちりしてておいしっ」
「小麦粉とドライフルーツの香りがいいわー」
「くるみが入っててほんのり塩味があるの」
続けて料理が運ばれてきた。
「お待たせしました。生ハムとイチゴの野菜サラダになります」
「わーおいしそー」
「いいね」
「食べよ食べよ」
サラダを頬張る3人。
「シャンパンによくあうわーw」
「なんかさーこうやって3人で飲んでるとさ、もう男いらないかなって気がしてくるからやばいわw」
「あはは、なに言ってんのw」
だんだん酔いが回ってくる3人。
フリッタータにロブスター、焼き牡蠣も運ばれてくる。
「あー、ロブスターきた。切り分けてボワちゃんw」
「もー、しょうがねーなーw」
「あんたたち本当仲良いよねw」
運ばれてきた熱々の料理をほおばる3人。
ひとしきり料理を楽しんだ。
「そう言えば、姫様が学園に見学に来たいって言ってるらしいよー」
ロブスターを食べ終え、シャンパンを飲みながらプラリネが言った。
「へー、姫様っていくつだっけ?」
焼き牡蠣をほじくりながらムーランが言う。
「15歳、中等科の教員たち終わったなー」
ボワロンがフリッタータを口の端でかじりながら言った。
「それが、姫さま初等科で先生やってみたいんだってさ」
「ヘー」
「げ、……まじ?」
「お待たせしました。季節のパスタです」
ボワロンはなんとか面倒ごとを回避できないか考えたが、酔いの回った頭ではいいアイデアが浮かばなかった。
もーどうにでもなれと、味のしないパスタを、味のなくなったワインで流し込んだ。




