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第14話 ドーナツとフクロウ

 

 


 試験に合格したランセとピノ、そして残っていたビートは一旦家に帰ることになった。


 ピノとビートは家族が迎えにきた。

 ランセは担任のボワロンが付き添って故郷の村まで送ってくれた。


 故郷の村の前でランセは飛行魔法を使いボワロンと別れた。


 故郷のルヴァン村はドーナツを模した建物が多く建てられている。

 白砂で固められた地面に、色とりどりのグレーズ(砂糖衣)がかけられたドーナツたちが綺麗に並べられている。


 したたるベリーソースに砕いたくるみがまぶされているドーナツがランセの家だった。


 家に向かう途中、みんなが噴水の側で遊んでいるのが見えた。

 嬉しさと懐かしさで思わず顔がほころぶ。


「みんなー!」


 大声で呼ぶと、


「あ、ランセだ!」

「帰って来たんだ」

「おーい、こっちこっちー」

「っていうか飛んでるじゃんすげえ」


友人たちがこちらに手を振る。


「みんなー!」


 ランセはみんなの側までくると、長杖に乗ったまま抱きついた。


「はは、久しぶりだなー」

「元気にしてたの?」

「なんかちょっと雰囲気変わった?」

「魔法とかすげーじゃん」


 口々に話す友人たち。


「ただいま!」


 ランセが言うと、


「おかえりー」


と友人たちは返してくれた。


 友人たちと久しぶりの雑談をしていると、低い声が響いた。


「おかえりランセ」


 祖母が現れた。





「あ、おあばちゃん」


 なにか嫌な予感がするランセ。

 祖母が紫色のやばいオーラを発していた。


 ランセの祖母、ミリ・ヴァレリアンヌは世界一の魔女なのだが、見た目が魔女というより武術家のようだった。

 ひ弱な魔法使いのイメージとは真逆で、そんなに使うの? と疑問が湧くほど筋肉を搭載している。


「ミリばーちゃん、見てよ、ランセ魔法使ってる」

「そうそう飛べるようになったんだよ」


 友人たちもヤバさを感じたのか援護してくれた。

 祖母はそんな友人たちの頭を撫でると言った。


「ランセや、魔法は何個覚えたんだい?」


 思いもよらない質問だった。

 地面は踏んでいない。飛行魔法も覚えた。合格書だってある。

 先に祖母に挨拶に行かなかった事を怒っているのか? などと思いながら祖母の質問に答えた。


「ひ、一つです」


 震えながら答えるランセ。


「ほう、よくがんばったね。じゃあ後99個魔法を覚えるまでがんばっといでっ!」


 言うと祖母は柔らかいほうきで思い切りぶっ叩き、ランセを吹き飛ばしてしまった。

 転移系の高等魔法だった。(ぶっ叩く必要はもちろん無い)


 ランセは魔法女学園の前にビタんと着地した。


「お、おーん」


 思わず口から声が漏れた。





 学校に押し戻された翌日。

 故郷の友人からフクロウ便で手紙が来た。

 手紙を運んでくれたフクロウに餌をやって休ませている間に、一気に手紙を読んだ。


 流石に卒業までずっと帰れないのは可哀想だと、故郷のみんなで祖母を説得したところ、誕生日と新年だけは帰郷を許すということになったとの事。


 ただ今年はもう一回帰郷したのだから次に帰ることができるのは新年という事になったそう。


 つまり今年の故郷での誕生日会はお預けとなった。


 落ち込むランセ。

 学園や、海など学園都市周辺は部外者は入れないのでみんなを呼ぶこともできない。


 だが正月には帰れる。

 気を取り直し、返事を書いてフクロウさんに渡した。

 なかなか飛び立たないフクロウを凝視するランセ。


 フクロウは、『明日まで休憩してから行くからな』 というような、面倒くさそうな目でランセを見たあと、そっぽを向いた。






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