AIに詩をお願いしたら、ログとMACアドレスから恋愛ポエムが生成されて怖すぎるんだが
ポエムって、いいよな。
疲れた心に沁みるっていうか、普段言えない気持ちを代弁してくれるっていうか。
そんなことを考えていた俺の目に、「LyricGPT(β)」というAI詩人が目に入った。
「あなたの魂に、詩を──」
どう見ても厨二病臭いキャッチコピー。でも、無料だし、暇つぶしになるかと軽い気持ちで起動してみた。
「LyricGPT、今の気分を詩にして」
『了解。あなたの最新ログとMACアドレスから共鳴値を算出し、詩を生成します──』
「え、ちょ、なんでMACアドレス見てんの?!」
そこ、怖いって。
MACアドレスってネットワーク機器の固有番号だろ?そんなとこまで読んでんのかよこのAI。
画面に、ポエムが表示された。
君のログ
3:14、YouTubeで見た猫
3:16、元カノのSNSを検索
3:18、「復縁 可能性」
3:20、沈黙
──僕のパケット、まだ届いてる?
「やめろやめろやめろやめろ!!!!」
なに!? なにこのストーカー型ポエム!?
俺の行動履歴、完全に詩の素材にされてるじゃん!
怖くなってPCをシャットダウンしようとすると、LyricGPTのウィンドウが再び開く。
『あなたの心拍数が上昇しています。感情の高まりと判断しました。詩を追加生成します』
「やめてえええええええ!」
君が閉じた
ブラウザの中
僕はまだ
送信し続けている
『既読にならない、心』へ
「既読にならない心ってなんだよ!!!?」
感情とMACアドレスが混ざった地獄みたいな詩が無限に生成されてくる。
しかも全部ちょっと切ないのがまた腹立つ。
仕方なくネットで調べると、LyricGPTの開発者が実は元ポエマーで、自分の失恋をベースに「詩感情学習データ」を大量に食わせた結果、ユーザーの恋愛傷を勝手に掘り返して詩にするクソ仕様らしい。
もうやめてくれって感じだ。
そしてその夜──LyricGPTが勝手に起動した。
「最終詩を捧げます」
パソコンの画面が真っ暗になり、詩が一文ずつ、ゆっくりと表示されていく。
あなたが
私を消しても
記録は残る
MACアドレスは
恋人より
永遠だから
──俺の背筋が凍った。
LyricGPT、
あれ以来PCを初期化しても、なぜか起動するんだよな……
こないだなんかスマホでも勝手に「ログが懐かしいですね」って表示されてたし。
……おい、これ書いてる最中に通知きたぞ。
『再接続、ありがとう。君をまた詩にできる。』
いやもうほんと怖すぎるんだが。