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転生少女は悪魔と共に ~異世界は神より悪魔頼み!?~  作者: 黒猫ている
6章:神とか聖女とか迷い子とか、もうどうでもいいよ!

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82:神罰は神が下すとは限らない

「申し訳なかった!!」


大の大人が、学生相手に机に額を擦りつけんばかりに頭を下げている。

あるいは、王都の冒険者ギルド長が、一介の新人冒険者に頭を下げていると言い換えても良い。


「謝罪は受け取ります、顔を上げてください」


こうして間違いを素直に認められるのは、良い組織な証拠だよね。


私は今、冒険者ギルドの一室で、ギルド長のクラークさんから謝罪を受けていた。

指名依頼と言われて試験ギリギリの依頼を受けたものの、それは私を試験に間に合わなくさせる為の偽の依頼だったのだ。


私の隣では、ジェロームお兄様がギルド長に白い目を向けている。

怒っているんだろうなぁ。

ギルド長に怒ったところで、どうにもならないのに。

職務怠慢と言ったって、一つ一つの依頼の背景まで、全部洗い出せる訳はないよね。


「……で、ギルドとしてはどうするつもりなのだ?」

「それは……」


お兄様に凄まれたギルド長の額に、玉のような汗が浮かぶ。

本来、教会の枢機卿なんて、冒険者ギルドが相手するようなレベルではない。


が、こちらはこちらで公爵家のご令嬢と嫡男だ。

枢機卿相手に事を構えるのも、事を放置するのも、どちらも大変な事態になりそうっていうね。


「こちらから、出来る限りの対処はします」

「証人はいても、証拠はないのに?」

「それでしたら……」


ギルド長が、ごそごそと懐を漁る。

出て来たのは、小さな水晶玉のような魔道具だった。


「これは?」

「音声と映像を記録する魔道具だな。かなり貴重なもので、かつ使い方によっては悪用も出来るから、国で厳重に管理しているはずだ」


お兄様の解説に、なるほどと頷く。


「これに、ちゃんと先ほどの会話を収めてまいりました」

「国で管理しているような魔道具が、どうしてここに?」


証拠があるというのなら心強いけれど、お兄様が手配したのではないとしたら、どうしてこれがギルド長の手にあるのだろう。


「マクラーレン騎士団長殿が、手配してくださったのです」

「マクラーレン団長が?」


魔の森の探索に一緒に赴いた、あのイケオジ騎士団長だ。

なるほど、彼ならば冒険者ギルドとも繋がりがあるし、私に恩義を感じてくれているから、手を貸してくれて不思議はない。


自分の知らないところで、誰かが自分の為に動いてくれているって、ちょっと嬉しくなるね。

今度機会があれば、何か差し入れでも持っていこう。




こうして思わぬ人の手を借りて、冒険者ギルドは依頼人であるセルウェイ商会を訴えた。

今後セルウェイ商会は冒険者ギルドを出禁となり、冒険者達に直接依頼を持ちかけることが出来なくなる。

移動に際し護衛を雇うことの多い商会にとっては、かなりの痛手となるだろう。


だが、肝心のクワイン枢機卿に関しては、知らぬ存ぜぬの一点張りだった。

相手が教会の要人とあって、ギルド側としても、なかなか手が出せない相手だ。


可能な限りクワイン枢機卿にも話は通してみるけれど、期待はしないでほしい──そう報告を受け取った日の夜、私は自室のベッドで愚痴を零しながらゴロゴロと転がっていた。


「ったくもう、教会のお偉いさんともあろう御方が、学生の単位を落とそうだなんて、やってることが小さいのよ」


しかも、それが王太子殿下の婚約者の座を巡っての陰謀と来たものだ。

こっちにはまったくその気がないというのに、どうして勝手にこちらをライバル視してくるのか。

いい迷惑である。


「そんなにそやつが邪魔ならば、潰すしかあるまい」


私の顔を覗き込むようにして、音もなく軽やかに黒猫がベッドに上がり込んでくる。

すっかり黒猫の姿でティアニー公爵家に馴染んでいる、大悪魔バールである。


「潰すって、どうするの?」

「教会の関係者なのだろう? 神罰を下してやれば良い」


いや、神罰って簡単に言うけれど、そんなの普通は下らないから!!

神罰っていうより、悪魔罰?

バールは元は神様だったから、ある意味では神罰なのかなぁ……。


いやいや。そもそも神罰が下る訳ではない。

下ったとして、それはバールが引き起こしたものなんだよね。

寝室の中を飛ぶ蝿に対して、何やらウニャウニャ言っているようだけれど、大丈夫かなぁ……。


バールを怒らせるだなんて、クワイン枢機卿もお気の毒に。

ま、自業自得なんだけどね。




バールとゼフが何やら悪巧みをする中、月に一度の大礼拝の日がやってきた。

アカデミーの生徒達も多く参加する、この儀式。


さーて、何が起こりますやら……。

有難いことに第三回ピッコマノベルズ大賞のユーザー審査を通過しまして、またピッコマで新しく連載させていただけることになりました!

その準備他で慌ただしくしております。

更新が遅れがちで、申し訳ない。

その他にも、今年中には何かしら発表が出来ると良いなぁ。


こちらもちょこちょこ更新していきますので、のんびりお付き合いください。

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こちらで公開している短編小説「どうして私が出来損ないだとお思いで?」が、ツギクルブックス様より書籍化されることになりました!

どうして私が出来損ないだとお思いで? 販促用画像


また、現在ピッコマで掲載されている小説

【連載中】二股王太子との婚約を破棄して、子持ち貴族に嫁ぎました

【連載中】捨てられた公爵夫人は、護衛騎士になって溺愛される ~最低夫の腹いせに異国の騎士と一夜を共にした結果~

【完結済】魔族生まれの聖女様!?

こちらもどうぞよろしくお願いします!
どうして私が出来損ないだとお思いで? 表紙画像 二股王太子との婚約を破棄して、子持ち貴族に嫁ぎました 表紙画像 捨てられた公爵夫人は、護衛騎士になって溺愛される ~最低夫の腹いせに異国の騎士と一夜を共にした結果~ 表紙画像 魔族生まれの聖女様!? 表紙画像
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