表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生少女は悪魔と共に ~異世界は神より悪魔頼み!?~  作者: 黒猫ている
5章:冒険者活動も楽じゃない

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/103

76:終わり良ければ全て良し?

「────っ!?」


不意に、お兄様が魔の森上空を見上げる。

そこで戦っていたはずの魔族と悪魔達。

その姿は、今は森全体を覆う奇妙な空気に遮られて、見えはしない。


「先ほどの……魔族の気配が消えた」

「え?」


お兄様の言葉に、私もつられて上空を見上げた。

濁った空には、魔族どころか悪魔の姿もない。

きっと上空の戦いを、誰かが隠してくれているのだろう。


「それは……あの黒尽くめが死んだということか?」


いまだ右腕をさすりながら、マクラーレン団長がお兄様に尋ねる。


「おそらくは……」


お兄様だって、事実を全て把握している訳ではない。

ただ一つ分かるのは、黒尽くめの魔族──魔王の気配が消え、周囲一帯から魔族の脅威が取り除かれたということだけだ。


「あの魔族を、ルーシー嬢の召喚獣が倒したと……」


マクラーレン団長の呟きに、ぎくりと心臓が跳ね上がる。

サブナクによる回復といい、バール達による魔王の撃退といい……やっぱり、やり過ぎてしまったよね。


「えぇと、魔王の復活とか大袈裟に言われてましたけど……多分、魔王の配下の一人が蘇ったとか、そんなくらいだったのではないですか?」


慌てて誤魔化しはしたものの、これで大丈夫だろうか。

せいぜい、敵が実はたいした奴ではなかったという扱いにするしか……って、当のマクラーレン団長が、その魔族に右腕を切り飛ばされているんだよなぁぁぁ、もう。

どうやって話を収めればいいんだ……。


結局王宮への説明は全てジェロームお兄様とハーヴィー兄様にお任せすることにして、せいぜい規模を小さく伝えてくれるよう、頼み込むしかないのであった。




「まったく、不甲斐ない奴等よ」


魔の森からの帰路、途中立ち寄った宿場町。

宿屋の一室で、黒猫のバールが私のベッドを占領しながら丸くなって悪態を吐いた。


「神は魔王に対抗する為に異界から迷い子を召喚したなどと言われておるようだが、その魔王があれとは、我等の力をなんだと思っている!」

「ま、まぁまぁ……」


私としては、せいぜいバールを宥める他はない。

敵が強くて怒っているならともかく、敵が弱くて怒っているってのも、どうなのだろう。


「我等の力を、我等が主の力を、侮り過ぎだ! あんな連中、相手にならん。この世界の魔族は、悪魔と比べて貧弱過ぎる!!」


強過ぎる敵より、ずっと良いと思うんだけどなぁ……。

どうやらバールは敵の手応えが物足りなかったことが不満らしい。


でも、ぷりぷりして布団をふみふみしている黒猫って、ちょっと微笑ましいんだよね。

正体はどうであれ、今は小さな黒猫の姿。

憤慨する様子も、また愛らしい。


「魔王の力はどうであれ……これで魔王の脅威は取り除かれたと考えて良いんだよね?」

「最初から、あの程度では脅威にならん」


黒猫が鼻息を荒くして、髭を揺らしている。

うん、かわいい。

かわいい上に、強い。

うちの悪魔、最強じゃないかな。




私が直接手を下した訳ではないにせよ、結局は言い伝え通りに、迷い子が魔王を撃退したことになった訳だ。

ま、あれが魔王だったとは報告されていないはずだけどね。

何はともあれ、王国に迫っていた脅威は取り除かれた。


王都に戻って、後は平穏無事な生活が送れる──なんてのんびり考えていたのに。

魔族の脅威が去ったことで教会が活気づいて、妙なことを言い出したから困ったものだ。


『魔王の脅威を取り除いたのは、聖女の加護のおかげである』


──だなんて。

いや、クワイン令嬢が一体何をしたって話なんだけど……。


私に代わって目立ってくれるなら、別にいいんだけどさ。

下手に調子にのって、妙なことさえしでかさなければ、それでいいよ、もう……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらで公開している短編小説「どうして私が出来損ないだとお思いで?」が、ツギクルブックス様より書籍化されることになりました!

どうして私が出来損ないだとお思いで? 販促用画像


また、現在ピッコマで掲載されている小説

【連載中】二股王太子との婚約を破棄して、子持ち貴族に嫁ぎました

【連載中】捨てられた公爵夫人は、護衛騎士になって溺愛される ~最低夫の腹いせに異国の騎士と一夜を共にした結果~

【完結済】魔族生まれの聖女様!?

こちらもどうぞよろしくお願いします!
どうして私が出来損ないだとお思いで? 表紙画像 二股王太子との婚約を破棄して、子持ち貴族に嫁ぎました 表紙画像 捨てられた公爵夫人は、護衛騎士になって溺愛される ~最低夫の腹いせに異国の騎士と一夜を共にした結果~ 表紙画像 魔族生まれの聖女様!? 表紙画像
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ