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9.*ルーカス視点* 記憶


ネズミ一匹すらいない建物は崩れ灰になっている。滅びた灰化した国を見渡しながらルーカスは思った。



ヴィクトリアの死は衝撃的だった。

人が死ぬのは神として何回も見ているはずなのに、彼女のように殺された人を幾度も見たはずなのに何故だろう。この絶望感は...

昔、一度この感情を感じた時はあった。

唯一の友が死んだ日に感じた絶望感よりヴィクトリアが死んだ方が重い。

唯一の親友、ディラン。

彼が死んだ理由は何ともくだらなかった。


ルーカスは過去のディランが死んだ日を思い出した。


*********



「ルーカス、見ろ。俺に子供が生まれたんだ。名前はレアだ。可愛いだろう?」


黒い髪の男はルーカスに生まれたばかりの赤子を見せてくる。

部屋は真っ暗な塔、でも男はまったく気にしないで赤子を可愛がっている。


ルーカスは言った。


「ディラン、いつまで人間に情を入れる気だ。人間に情を入れても意味がない。そんな無意味なことはやめろ。お前はまた俺と神の仕事があるだろう?」


ルーカスがため息をつきながら言うとディランは無視しながら言った。


「レア、ルーカスって酷いよね。レアもパパとママと一緒に暮らしたいよね。」


ディランは赤子にそう話しかける。

ルーカスは締めたように言った。


「分かった、少しだけ滞在してもい―」


言葉が言い終わる前に天井が落ちてきた。

そう、事故だ。

ルーカスとディランは逃げたが赤子とその母親らしき人の血が崩れた天井の材木から見えている。

ディランは真っ青になって言った。


「悪い、ルーカス。お前と俺はここで別れよう。神の仕事は任せたよ―」


ディランは神ではない、事実人間の強化版でルーカスのように不死身ではない。

ディランは赤子と母親の後を追うように自分で腹に短剣を突き刺した。


「ズシャァァ」


ルーカスは震えた。別にディランを生き返らせることはできたが彼は望んでない、と判断したからだ。





*********


これが友の死んだ日だった。

人生で2番目に辛い日。

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