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戦う遺伝子 ――すり鉢の底の淑女――  作者: 弐逸 玖
クレストリーグイースター ピリオド22 ゲーム11
7/43

ネクスタ

った!」

 ブザーが鳴ると同時、いきなりカタナを振りかぶって目の前にネクスタが、居た。

 わかっちゃ居るけど、……相変わらず、なんてスピード!

 いきなり頬の右横、――ぴゅん! 数センチをカタナが通過する。


「させるか、アホ! 読み通りよっ!」

 ……もっとも、ここまでは想定の範囲内。ごく簡単に初撃をかわし、続く攻撃もステップだけでかわしていく。


 やはりソードストッパーは不発だった。

 見た目でわかる以上、左には打ち込んでこないよなぁ。

 


 ボブの読みではネクスタ側の作戦は三段階。

 開幕でいきなり勝負を決めに来る。

 それはなんとか回避できそうだけれど。

 でも、それに失敗しても今度は。こちらに隙を見せずに体力を削りつつミスを狙い、それでもダメなら持久戦に持ち込む。


 持久力の差がある以上、引き分けは狙わない。


 ――勝率から見ても。アイツは今回、勝ちに来るぜ。


 何が何でも刀をブンブン振り回してあてに来る。

 完全KOじゃなくても、ある程度もらったら。

 主審がこれ以上は反撃不可。として右手を上げたらおしまい。


 五分を超えたら、勝ち目はほぼ無くなる。

 さすがにネクスタ相手では体力が持たない。



 ネクスタは私と同じ、スピードで戦うイメージだが、体重を乗せた一撃の重さはリーグ内でもトップクラス。実はパワーファイターでもある。

 その上、そんな矛盾した戦術に対応出来る様な、イノシシみたいな体力がある。


 今だって、何連続になるのか、未だスピードも精度も変わらない打ち込み。

 それを延々と続けてドンドン踏み込んできてる。


 そんなものを正面から何回も受けたら、一気に体力が削られる。

「逃げ回らず正面から受けなさい、卑怯者!」


 ただ、避けて下がるしか無い。と言うのも、元から足りない体力を地味に持って行かれる。

 いずれ、このままで良いことはなにも無い。


「馬鹿力の打ち込みなんか、誰が受けるか!」

 とは言え。私に持久力がないのは自分で知ってる。

 しかもこの女、今日は特に動きが切れてる。

 これが長く続いたら、不味い。


 ――キィイン! 

「ぐっ、こんのぉ! ……イノシシ女ぁ!」

 今のはヤバかった!


 無意識で抜刀したナイフで、頭の上に落ちてきたカタナを弾きつつ、そのままその力も利用しつつ横へ。

 並みの戦女なら、この横ステップからの移動にはついてこれないが、このイノシシ女は距離を保ってついてくる。


「誰がイノシシですってぇ!?」

「東クレストで、イノシシつったら、……わ! っと! あんた以外に、誰がいるのよっ!?」

 その間にもカタナの斬撃は降り注ぎ、一瞬足りとも気が抜けない。


「東で一番の変態に言われたくないですわ!」

 変態呼ばわりとは非道い話だが、悔しいことに、まぁまぁ言われる下地はある。

 肯定はしたくないが、あながち否定出来るモノでも無い。


 ……ただ、この女。今日は無駄に集中してる。

 やたらに気合いの入った状況を乱すのには、使えるか。


「あんた、最近評判、良くないみたいよ? ……クレストに、上がったら、サービスが悪いって。グッズ売上に、響くんじゃ無いの? ――手伝ってあげようか?」


「……! 覚悟ありですか。良いでしょう、今ここで。あなたの息の根、止めて差し上げますわっ!」

 これまで、いかにも体力を削ろう。と言う感じで細かく狙ってきていたカタナ。

 その剣筋が、一撃必殺の重く鋭い軌道に変わる

 

 ……ホントに乗ってきやがった。

 だからあんたはアホだ、っつーのよ。




 ここまで、まるで余裕が無かったので一切見ていなかったコーチングエリア。

 いつのまにか視界の正面に来ている。


 ボブのゼスチャーは、

 ――構わないからいつでも決めろ。

 である。

 ……言うほど簡単じゃ無いんですけど!


 ネクスタがアホだったお陰でラッシュからは一端逃げられた

 私は距離をとって、一端仕切り直し。 


 よし。こっからだ!


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