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こてさきの誤魔化し

 さっきの失敗は私のスピードが速すぎたこと。相手の剣の動きを見極めてからで無ければ斬られる、当たり前だ。

 ただ、タイミングはあそこしかないし、このスピードで飛ばなきゃネクスタが穴だらけにされる。

 

 さっきと同じく、右手には順手のナイフ。

 今度はバーサーカーの動きは見えてる。

 前回よりも位置はやや低めだが、向こうも的確にソードの軌道を調整して。足では無く胴をなぎ払いに来た。多少は学習機能があるらしい。


 実は籠手の強度は、さっき吹き飛んだあの扉よりもさらに硬い。そう簡単には切れないはず!

 

 空中で籠手で刃を受ける。やった!

 ソードストッパーに上手く引っ掛かった! 標準装備にして良かった!!


 相手のソードのスピードも使いつつ、籠手を視点に空中で一回転、その勢いでナイフを……。

 

 バーサーカーの右手のカバーが、爆発と共に外れて下に落ち。

 剣の取り付けられている“アーム”がむき出しになる。


 ――関節が別にある!?


 解放された関節が籠手から刀を放し、腕から別に動き出して正面から剣を振りかぶる。

 籠手を離して、空中で多少の軌道変更。

 一旦、バーサーカーの腕に足が付くと同時、剣が上から落ちてくる。


 ――駄目だ! 両断はされなくても、斬られる! 


 バーサーカーの腕を蹴る角度を変えるけれども。これ以上角度を付けると、バイザーに右手が届かない。

 ほんの少し、何か邪魔になるものがあれば、剣筋は変わる。でも、もう籠手は捨てたし、持ってても使う余裕は無い。


 ――身体が両断されないならナイフが振れる、それで良い!


 コイツは今の時代に居ちゃいけない。

 だってもう、破戒淑女ジェノミレディは兵器じゃ無いから。


 みんな今だって命がけで戦ってはいる。けれど。

 それはポイントのため、試合のあとのシャワーのため、帰ったあとのお菓子のため。


 ――私達が命をかけるのは、戦争じゃ無い!


 これから頑張って戦うエリィ達の前に、こんなヤツが出て来ちゃいけないんだ!


 私が飛び上がるのと、身体の中心をなぞるように剣が落ちてくるのはほぼ同時。

 胸の分のアーマーが飛んだようだが気にしない。

 だったらもう、内奥をまき散らしてるはず。そんなの気にしてる場合じゃ無い。

 大事なのはまだ腕が付いてて、ナイフを振り回せること。


 それに。ブラにはバーンシュタインの、オーナーの紋章は付いてない。

 だから地面に落ちようが関係無いんだよっ!



 腕を蹴った勢いそのままに、丸められているはずのナイフの切っ先を、全体重を載せて全力で、真っ赤に輝くバイザーに突き刺す。


「あぁあああああああああああ!!!」


 バイザーが割れ、そのまま順手でナイフを持った右手ごと、その中に突っ込む。


「もう、戦闘兵器のジェノミレディは居ない! 戦女いくさめしか、居ないんだ!」


 一枚目の鉄板は普通に貫通、すぐに二枚目の手答え。


「アンタは知らないだろうから教えてやる! 戦女いくさめは戦争をしない! 人も殺さないっ!」

 

 切っ先は二枚目の鉄板を突き破り何かの機械がつまっているらしい手答え。

 さらに右手ごと、突き入れる。


「……だから! アンタの仕事ももう……、無いんだっ! ――止まれぇえっ!!」


 ――グリン。右手を強引に半回転する。

 金属や樹脂のパーツがちぎれて潰れる手答え。

 それでもまだ、剣がこちらに向かって動く。


 ……ここまでか。まぁまぁ、私としては頑張った方じゃない? ――ネクスタ、軍の人が来るまで、上手く逃げなよ?


 剣が突如動きを止め。バーサーカーの両腕が、だらん。と垂れ下がる。

 ヒュゥウウウン。モーターの止まるような音。

 アーマーのスキマで光っていた青白い光が消える。


「……相打ち、か。ざまあ、みろ、……だ」


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