表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/43

アリエルとネクスタ

「打ち込む隙がない! と言うよりは、顔がないのでさっぱり隙がうかがえない! やりにくいどころの話ではありませんわ! ……アリエル、どうしますのっ!?」


 速射砲とそしてグレネード。

 こちらはこちらで間断なく攻撃は繰り返され、壁もフィールドもボロボロ。

 でもネクスタは、今のところ元気に走り回ってる。

 東のスピードスター、なんて巫山戯たキャッチも伊達じゃ無いんだな。


「絶対銃口から目を離さない! 止まったら駄目だっ!!」

「何処まで、これをぉお! つ、続けるんですの!?」


「んー。……軍の人来るまで?」

「言っているのは時間ですわよ、時間! ギリギリ七分でタイムアップ、このペースでは延長線は絶対無理、それ以上は持ちませんわっ!」


 あれだけ飛ばして、それでも通常の試合分は持たせる気だ。

 さすがイノシシ型……。

「私が知るわけ無いでしょ!」



 でも、ネクスタのお陰でまだ背後を取れている。

 ミサイル、直撃し無きゃ近寄れるかな?

 と思った瞬間。――くるん。左手はネクスタを照準したまま、こちらに振り返る。


 ……うん、ロボットだからね、二の腕が真逆になろうと。関節とか靱帯とか関係無いだろうけれど。

 胸の真ん中、カバーが小さく左右に開いて、小さなレンズが見える……。

 ――レーザーっ!?


 私が跳ぶことを諦め、横にステップを踏むのと、バーサーカーの胸と入って来た直後に閉められた鋼鉄の扉が、ごく細い線で繋がるのはほぼ同時。


 さすがにレーザーは残像しか見えなかったし、見えたときには繋がってた。

 しかもこの色! 私には見えてるけど、不可視光! ……ドコまでも人殺しに特化した機械だ!!


 線が繋がったのは時間にしたら多分、1/100秒以下。

 その赤い線が扉に吸い込まれると。

 突如大きく穴の開いた扉は、爆発音を上げながら、まるでセリーのように解けて崩れる。


 戦車でも、ヤバいんじゃないの? 今の。

 直撃した鋼鉄の扉が直系2mで瞬時に蒸発して、その上扉全体が爆発的に膨張して崩れ落ちるとか、何度になったの!?

 って言うか、効果範囲! 絶対普通のレーザーじゃないよね、アレっ!!


 ……何か魔法絡みの兵器だ、持ってないはずなのに。


 オーナーだって研究者ではあるけれど、歴史家でも軍事専門家でも無い。

 専門外、しかも1,000年前。そんなもの、具体的に知ってるわけが無い。

 さらにコイツはたった900年前の“最新型”。それくらいのマイナーチェンジはあるかも知れない。


 とにかく。当たっちゃいけない、と言うことだけはハッキリわかった……。



「アリエル! 大丈夫ですかっ!!」

 ネクスタが隣に来ている。コロシアムの外周、お互い半周しちゃったのか……。

「今のは危なかった。……! 止まっちゃ駄目だってば!!」

「わかっておりますっ!」

 二人で顔を見合わせ、お互い頷くと走り出す。



 マシンガン、グレネード、レーザー。

 二人で並んで逃げ回る。こんなの、どうみたってジリ貧。

 ネクスタは七分持つかも知れないけれど、私は始めから五分で限界。

 もとからそうだ。まもなく電池切れ。



「アリエル、まだ走れますか!? 止まったら、本当に……」

「ヤダと言っても、走らなきゃ死ぬ!」

「それは……、話はもちろんそうですが!」


 普通に会話をしてる感じだけれど、二人で並んでコロシアム中を全力失踪中。

 グレネードが目と鼻の先に落ちて、方向を変える。

「ネクスタにアイツの目を引っぱって欲しい! ――お願いして、良い?」

 ……まぁ、目がドコか。なんてわかりゃしないのだが。


 鼻先にマシンガンの雨がふり、それをかいくぐっても今度はレーザー。

 壁が爆発して、真っ赤な液体になった補強材の鋼鉄が飛び散る。


「……アリエル。一応伺います、どうする気ですの?」

「アイツは射撃系で押してくる、だったら。こっちから近接戦を仕掛けてやる! ――ネクスタ、……悪いけど、頼んだっ!」


 なんとなくバーサーカーの行動原理がわかってきたこともある。

 基本は私を狙いに来るんだけれど。……最初ネクスタが狙われた理由。

 自分に対する脅威を優先するんだ。


 その後、センサーが私を捕らえても、人間型だから手足は二本。

 全ての脅威には対応出来ない。

 だから、背後が取れるし、さっきもミサイルしか来なかった。

 

「何か策があるのですね? もちろん、……付き合いますわよ!」

 隣を走るネクスタが、スッと離れる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ