表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/43

弱点は、無い

「マコティ、資料もらったんでしょ? 何かこう、弱点的なものは無いの? 軍だってこんな街中で、ただミサイルぶつけておしまい。ってことじゃ無いはずだもの」

【このデータを見る限り、ほぼ人型をしてるのね? で、その頭の一番奥に人間で言う、脳みそ的なものが入ってて。それ壊せば良いらしいんだけど……】


「その脳みそも、魔法で動いてる感じなのですか?」


 それだったら直接触ったら、腕ごと持っていかれる可能性もある。

 長い得物、最低ネクスタのカタナが必要だけれど、それでもどうなるものか。

 魔法の力は破戒の淑女、ジェノミレディ唯一の弱点。静電気クラスの魔法をもらっただけでも動けなくなる。


 とは言え。私個人とすれば。どうなるモノかは全く未知数。

 直接魔法の力と接触したこと、無いからなぁ。


【そこは機械みたい。魔法がたまってるのはお腹の燃料タンクの部分だね。それで発電して、基本は電気で動いてて、移動とか、ほんの一部だけ魔法使うみたい】

「……腹部への直接攻撃は良くない、と言うことですのね」


 魔法の力をまき散らす自爆攻撃。これが一番効果的、とも言ってたけど。

 若干弱いジェノミレディ用として作ったヤツなら、その機能はついてない。……と良いなぁ。

 1,000年前の、ホンモノのバーサーカーだったら勝ち目、ゼロだ。


「いずれ、アタマも一筋縄ではいかないのでしょうね」


【装甲が三重で全層に緩衝材かましてあるから、ぶん殴ったくらいじゃらちがあかない。人間じゃ無いから脳しんとう起こさないし、クビが無いからもげたりもしないみたい。……メインの索敵カメラ、眼の部分がバイザーみたいになってるんだけど、それも超硬強化ガラスで、やっぱり三層。二層目以降は透明金属、だって】


「飛び道具が多いですわね。マコティ、持久戦に持ち込んで弾切れを狙う、というのはどうでしょう?」


【何でヤル気マンマンなのよ!? ――え? ……あー、そうなんですか。――えーとね、ネクスタ。バーサーカーって動力はもちろん魔法で動いてるんだけど、弾も魔法で無限に作れるんだって】


 その仕様は変わってないんだ……。

 むしろ、九〇〇年前の最新式だから強化されてるのかも。だけれど。


「アリエルです、マコティ。燃料切れを狙うとしたらどれくらい必要?」

【ちょい待って。――はい。……えぇ! マジですか!! ――いっかい起動してしまったら、勝手に周り中から魔力を集めて動くんだって。24時間戦いつづけて3日持った記録があるって!】


 

 お屋敷で渡されたアサルトライフは、四十二発しかないから三発で指切り。そう教えられた。

 でも相手は機械。状況に応じて一発でも二発でも五発でも自在に“指切り”が出来る。


 私が使うライフルは、まとめて撃つとバレルが熱でイカれる、あえてわざとやってみたので知ってる。

 多銃身砲、と言うことはまとめて100発や200発撃ったくらいじゃ、銃身が焼けたりもしないだろう。

 しかも弾は、ほぼ無限。


 あのジェノサイダーを殺す機械だというなら、これでも足りない。くらいにも思うけど。

 でも私達はジェノサイダーではなく、ジェノミレディ。

 しかもバーサーカーからみたら、その劣化版。

 ……最悪だ。


 これで、さらに魔法で攻撃されたらひとたまりもないのだけれど。

 オーナーの話を信じれば、それは無い。

 魔法の攻撃には必ず魔道師が必要で、それが機械化できなかったから。


 とは言え。

 これ、本当にどうにかなるんだろうか。

 せめてアホのネクスタだけでも、何とか……。



「手足の装甲はどうなっていますの? 腕をたたき切ってしまえば……」

【人間で言う膝と肘、その裏側。そこが弱点らしいけど、――そうですか。……裏にはとても回れないんじゃ無いかって】 


「でも動きは鈍いんじゃ無い? 審判控え室からここまで5分だったら、普通の人間より遅いくらいだし」

 ネクスタのスピードなら、あるいは裏に回り込めるかも知れないし、そこまで遅いなら私だっていけそうだが。


【通常の移動は時速1.5キロ。――但し、一発の速さは戦女より上。だから一緒に、よういドン! となったら距離が一キロくらいなら負ける。その上、手足の動きは本体とは別物みたいだよ?】


「マコティ、メイン側のスクリーンに諸元って出せる?」

【……わかった、今やってもらうけど。……二人共、どうする気!?】


 それがわかったところでどうしようも無い気はするけれど。


「あとはちょっと考える」

【ちょっと待って! どうして逃げないの!? あと三分しか無いんだよ!!】


 無線から文句は続くが、スクリーンには似つかわしくない兵器の諸元表が表示される。

 製造年は約870年前。超最新式、か。……何とかなるのか? ホントに。


「マコティ。……わたくし達がここに居るから。だから、アレが他に行かないのだと考えています、最低コロシアムからは出さない。そこまでがわたくし達、戦女の使命と言えるでしょう」


 ネクスタ、あんたは……。


「たまたまとは言え。この広いフィールドに、スピードファイターが二人だけ。と言うのはむしろ僥倖。たくさん居たなら、かえって被害が増えるでしょう」

「軍の人達が来るまで時間稼ぐだけなら、それなら何とかなると思う。っていうか、何とかします!」


【わかった。腹をくくってるんだったならもう言わない。――こっちも軍の人と通信は繋がってるから。何かあったら呼んで。この通信もずっと繋がってるし、カメラでずっと見てる】

「おっけー、ありがとう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ