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宇宙とは何だろう。

「ねえ、宇宙って何なの?」


 あまりに漠然とした疑問だった。あまりに突拍子もない。


「へ?」

「ああ、うん、ごめんごめん」


 彼はそのアバウトさを自分でも理解したのか、それとも私の疑問を浮かべた表情を見て気付いたのかは定かではない。どちらにせよ、私に伝わらないと汲み取れたところには点数をあげたいところだ。


「えっとね、そう。宇宙って、一体何者なんだろうなって」

「はあーそういうこと」


 ようやっと意味を理解した。私はてっきり、宇宙人の視点から科学的に分析した話が欲しいのかと思った。そういうの苦手だからやめてほしいところだったけど。どうやら杞憂だったみたい。


 理攻めは一つの前提が崩れたら崩壊する脆いもの。

 人類は考えてないのよ、偉人のアインシュタインが数百年後にはホラ吹き野郎と言われている可能性を。まあ、数学はどの星にも存在するけれどね。その知能に達することができる人間がふたりと居なければ成立しないってことは理解しておきましょう。要は、人類には早すぎた代物よ。


 その点――地球で言うところの――ミステリーやオカルト的な話題は持論を語りやすい。科学だけに留まらず、それ以外のエッセンスを垂らして自分なりの調理をすることができるから。


「宇宙は、生き物よ」

「生き物……やっぱり」


 彼は復唱する。万物は命あるものだと理解できているようだ。

 次元は違えど全ては生命。呼吸の一つを感じなくとも、声を発さずとも、生きていることには変わりない。命の息吹は呼吸だけではないのだ。


 生物の定義に当てはまらなければいけないのは科学的な話だけ。今回はもう少し漠然としているのだからこれでいいだろう。私の垂らしたエッセンスはそういう漠然とした、ある種オカルティックというか、ファンタジックな要素といえるかもしれない。論理的でないとか、当たり前のことは無視して、もう少し空想的にありたいのよ。少なくとも彼はね。


 山に生えてる木々や花、その辺に落ちてる石ころだって命がある。

 それと同じ。星々だって、宇宙にだって命がある。


「膨らんでるよね、宇宙って」

「その通りよ」


 無から有が生まれたビッグバン。

 あれを宇宙が生まれた瞬間であるとするなら、恐らく常に膨張を続けている。

 これを人間に当てはめたら成長期よね。まさに。そして今もなお成長期なのかもしれない。


「ってことは、僕らは細胞みたいなものなのかな」

「どうかしらね。もっと小さいかも」

「えぇー……」


 火星や、この地球こそが細胞だと思うのよ。それより小さい私たちは……なんでしょうね。


「実は癌の素だったりしてね」

「違うって言いたい! ……でも思うよ。そんな気がする」

「……やっぱり貴方は、わかってる人よね」


 産業革命以降、地球人類は常に地球の命を削らんとばかりに繁栄を続けてきた。地球はどうにか戻そうと、シーソーのように安定へ向かわせようと尽力したことだろう。


 けれど現状を見て、シーソーが成立しているかと言えば、甚だ疑問よね。もしかしたら、壊れてしまったかもしれない。もう二度と塞がらない致命傷を与えてしまったかもしれない。頭皮が禿げた悲しみを、地球は背負っているかもしれない。


「本当は全部分かりたいんだけどな。万物万象、その全てを」

「いや、全部知ったら死にたくなるわ。やめなさい」

「えー」


 純粋な人間ほど、知るべきでないことは多い。

 彼もまた、そんな人間の一人だろう。だから私は教えないこともあるだろう。


 さて、宇宙とは何だろう。

 私も正解を知らない。

 でも、生き物であることは分かる。

 そして、生き物である以上、終わりもある。


 私たちと同じ。規模と次元が違うだけで、結局同じ。


 なら、そんな私たちと同じような生命をどう扱うべきかは分かるはず。


「優しくできたらいいな。無理しない程度に」

「いいと思うわよ。人間味があって」


 期待通りの解が出て、少し嬉しかった。

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