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何を言っているのでしょうか?

今私は将来が不安で頭と胃が痛いです。


目の前に居る王様も同じ気持ちだと思います。


私のボディーブローで床で苦しんでる次期国王のダメ王子には人望が全くないらしいのです。


理由を聞くと呆れてくる内容でした。


この王子、子供の頃から逃走癖があるらしく教育中も殆ど仮病を使い城下町に逃げ込んだとか……何してんですかね?


それに家臣には常に嫌がらせを行なっているとか。

一昨年の建国記念パーティー中に大臣の命より大事なカツラを奪って逃走。大臣は禿げを近国の貴族達に晒す羽目となり、ショックで一週間、寝込んだみたいです………そりゃ寝込むでしょ?パーティー中は国王の側から離れられないし、参加者は国王と王妃様に挨拶する筈、近くに居る禿げの大臣は嫌でも目につくはずです。


王宮騎士団長は国の近くに現れたA級の魔物討伐の際、愛刀のミスリルの剣を木刀にすり替えられて死にかけたらしい。


騎士団長が気付かないように刃の部分だけすり替えていたらしい。それも一人で………何故、悪戯にそこまで力を注ぎ込む?それに騎士団長も魔物と対峙した時、鞘から抜いたら刃が木刀でしたって、絶望以外ないしょ!


専属メイドには何もしないらしく………意外です。絶対にセクハラ三昧してると思っていたのですが。聞くと女性に対しては常に一定の距離を取っており、パーティーでも言い寄ってくる女性に対しても冷たい態度で接する為、ついたあだ名が【冷酷のゲイ王子】。女性に興味ない王子に、王様も王妃様も同性愛者ではないかと心配していたらしのですが、今回、私を婚約者として紹介した事に大変喜んだとか?


【冷酷のゲイ王子】って……プッ!ダ、ダメです!ふ、腹筋が壊れます!!


その他に色々とやらかしている模様で、城内での王子の評価はマイナス方向に鰻登りらしく、その為、城内の皆さんは王子の側近なる事を頑なに拒んでるらしいのです。


改めてみると……馬鹿ですか王子?幼い頃からどんだけ人に迷惑を掛けてるんですか?

これでは、いつか刺されますよ王子!

ルックスと無駄な才能だけはある王子に残念すぎて涙が出そうです。


やはり私が二役しないとダメなんですかね?……胃が痛い。


でも、一つ良い所も見つけられました。

王子が他の女性に対して浮気の心配がない事です。


それにしても、こんな私の何処を好きになったんですかね?不思議でたまりませんが、悪い気はしません。

寧ろ嬉しく感じます。って何を言ってんですかね私は?


そ、それより、今後をどうするかですよね?

取り敢えず王様に聞くしかないですね。


「解決策が見当たらないのですが、どうしましょう王様?」


「うむ、確かに国の一大事じゃからの。どうにかしたいのじゃが……儂の希望は其方に全権を持ってもらいたいのじゃが……もう一度考え直して貰えないか?」


「それはちょっと……」


「やはり駄目か……」


「……はい」


うわ〜まだ言いますか王様。

二役なんてやったら過労で一年で死ねる自信がありますよ!

だから、やめて下さい。

私は本当なら引き篭もりライフを堪能しようとしてたんですよ!

人と接しない生活、徹夜や寝坊しても誰からも文句は言われない。そして新魔術の開発……嗚呼、何て素晴らしいのでしょうか!……でも、今は叶わぬ夢なので、妄想するのは此処までにします。


私と王様が困っていると、床で苦しんでいた王子が復活。


復活早々に爆弾発言しましたよ。


「父上、大丈夫です。私はこの国を破滅には導きません。何故なら私が専業主夫になれば良いのです!例え子供が出来ても私がアリスの代わりに子育てします。妊娠中も身の世話は私がしますので、アリスの仕事が疎かになる事はありません!」


「…………はあ?」


「だから、安心してくれアリス!」


何を言っているのでしょうか、この糞虫は?

そんなドヤ顔で言われても困ります。

専業主夫になる?おいおい、待て待て、お前は仮にも次期国王だぞ?

己の職務を放棄するな!それに嫁を生贄にするな!

糞虫が世話しなくても、メイドがいるだろ?糞虫より百倍優秀なメイド様が!


それにしても、お前の頭の中はお花畑か?まさか斜め45°を超える発想をしてくるとは……今の内に亡き者にした方が良いのかな?うんそうしよう!こんな糞虫は世界とって害でしかない。

なら、善は急げと言うから早速始末しましょう。あっ!証拠を残すのは流石に不味いから、ケロちゃんを召喚して異空間で始末して貰おう。


異空間ならどんなに捜しても見つかる事はないので……では、さようなら糞虫!


ダーク思考になった私が演唱しようとした時、王様が表情を輝かせて私に言ってきましたよ。


「その手があったか!?でかした愚息よ!確かに其れなら行ける!行けるぞ!!」


「そうでしょ父上!」


「……………」


あの〜王様……漢字が違いますよ。

「行ける」ではなく「逝ける」の間違いですよ。


それに何で糞虫の案に賛成してるんですか?

解決策が見つからないから、自暴自棄になったのですか?


落ち着けよ、おい!


そんな中、盛り上がる親子。


「…………」


お前ら親子揃って嫁を殺すつもりか?

いくら魔女でも人の子だぞ!

私には人権はないのか?


こうなったら、二人仲良く逝って貰いましょうかね。


王族殺し?上等です。死刑でも何でもしやがれ!



短い付き合いでした。さようなら!



ダーク思考が更に増した私は、再び演唱を再開したのですが……あれ?魔法が発動しない!どうして?


「無駄だよ。馬鹿弟子!」


「!?……そ、その声は」


魔法が発動しなくて戸惑ってる私に声を掛けてきたのは、私の育ての親……先代でした。


どうやら先代が私の魔法を妨害したみたいです。

それにしてもどうして先代が此処にいるのでしょうか?


「どうして先代が此処に?」


「何処かの馬鹿弟子が城に居ると聞けば来るに決まってるだろうが!全く、魔女の座を渡した途端に音信不通になりおって!」


「申し訳ご座いません」


「漸く魔女を引退して、ひっそりと暮らしておったのに、まさか国王の使者が訪ねて来るとはな……使者から用件を聞けば馬鹿弟子が王妃なるって言うもんだから、慌てて来たとこだよ。さーて、詳しく説明して貰うよ!」


「………はい」




私は事の経緯を先代に詳しく説明しました。


最初は呆れた表情で聞いていた先代の顔が般若の形相に変わっていきます。


怖い……怖いです。

確実に私は説明し終えた後に殺されます。


いくら私がどれ程強くなっても、先代には勝てる気がしません。


先代は私のトラウマ的存在のです。


幼き頃から、修行という名な元で何度も半殺しにあってきました……思い出すだけで吐き気がしてきます。


先代に説明を一通りし終えると先代は私と王子を交互に見ました。

先代は溜息を吐くと私達に一言。


「お前達が掛かってる呪いの内容が変わっておる」


「「はい?」」



私と王子は思わず間抜けな声を出しましたよ。




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