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頼りない人

全く王子ときたら困ったものです。


少しは自粛して欲しいものです。

激し過ぎでしょ?腰痛いし。


まあ、私のことは置いといて現在、私の目の前は修羅場です。


夜になって王子を探していた王様と兵士達が、私の部屋に突撃して来ましたよ。


バカ王子が鍵を掛けるの忘れてたから、直ぐに侵入されちゃいました。


お陰で私まで恥ずかしい目に遭いましたよ。


だって、真っ裸で二人ベットで寝てる場所に王様と数名の兵士達が部屋に入って来たんですよ。

私は扉が開いた音で目が覚めましたが、今思えば目覚めない方が良かったと深く後悔してます。


起きたら王様が目の前にいるんですよ!

それも口元を引きつらせ青筋たて王様が、仁王立ちしてるんですよ。

他の兵士の皆さんは直ぐに私達から視線を逸らしてくれましたけど、バッチリ見られましたよね?

ああ……恥ずかさと恐怖でどうにかなりそうです。


「あ、あ、あ、王様……こ、これは」


「取り込み中失礼とは思っているが、横で寝ている愚息を起こしてもらえないだろうか?」


「は、はい!」


直ぐに王子を起こしましたよ。

多分、王様が捜してたのは王子の筈だから…多分。


「王子!起きて下さいよ。王様来てますよ!」


「ん?何?もう朝なの?」


あかん、此奴完全に寝惚けてます。


「違います!王様が来てるんですよ。早く起きて下さいよ!」


「んー、何?父上が来てるだって?そんな冗談はいいから、続きしようよ〜アリス」


完全にダメだ……終わった。


多分、王子の言葉に王様の怒りはMAXまではねあがりましたね。


王子、御愁傷様です。


「ほお〜人の目の前で中々、楽し事をやっておるな!愚息よ」


「!?」


王様に漸く気付いた王子は、油が切れた機械みたいにぎこちない動きで顔を王様の方へ向けました。


「ち、父上……どうして此処に?」


「明日の式典の打ち合わせの為にお前を捜していたのだ。城内を捜してもお前が居らんので、まさかと思いつつアリスの部屋来たのだが、やはり此処に居たか!愚息よ」


「申し訳ありませんでしたぁぁっ!!」


おお、素晴らしい程のジャンピング土下座。

貴方、さっきまで仰向けで寝てましたよね王子?


一瞬で土下座した王子にドン引きです。


「愚息よ。謝る前に服を着らんか!お前の裸など見て誰が得をする?」


「も、申し訳ございません!」


王子は慌てて、その辺に脱ぎ捨ててある服を掻き集めてます。


王様は溜息を吐きながら後ろの兵士達に命令を出します。


「ふう……これ以上、愚息の醜態を晒す訳にもいかんな。お前達は部屋の外に待機しとれ!」


「「「はっ!」」」


王様の指示で兵士達がぞろぞろ外に出て行きます。


お前ら…チラチラこっち見んな!

ばればれだぞ。やらしい奴等め!


全く男って生き物は……こんな不細工の裸見て楽しいのか?


それは良いとして、私も服を着たいのですが…王子に裸を見られても今更って感じですが…王様に見られるのはちょっと。


「あの〜王様。私も服を着ても宜しいでしょうか?」


「おお、儂とした事が……これは済まなかった。」


私が王様にお願いすると、慌てて私に背を向けてくれました。


(ええーー?部屋から出て行ってくれないのですか?まあ、見られるよりはマシですね。しょうがない服を着ますか)


あれ?私のパンツ、パンツ……無い。

何で無いのよ???

何処にやった?バカ王子!!


私は部屋を一通り見渡すと、既に服を着た王子が視界に入りました。


ん?王子のスボンのポケットから、はみ出している物に身に覚えが………


「えーと、王子?ズボンのポケットから何かはみ出してますけど……それって私の…」


「い、いや、違うんだアリス!」


慌てる王子。


「それ私の下着ですよね?」


満遍な笑みで言ってあげましたよ。


さてさて、どうしてやりましょうかね?

この変態は!


右手に魔力集中完了!

肉体強化OK

さあ、相手迄の距離を詰めて。

敵のボディー目掛けて拳撃ち抜くだけ!


「お前が犯人か?!変態王子!!!」


「ぐほっ!!!」


私の会心の一撃は変態の身体をくの字にしました。

変態はそのまま床に倒れこみます。


床で痙攣してる変態に一言。


「二度しないで下さいね。糞虫!」


「あ、あい………」


無事にパンツも回収したことですし、王様を待たせる訳にいきません。


着替えますかね。









「王様…もう大丈夫です」


私の言葉で王様は振り向きましたが、私は見ました。

一瞬、床に倒れている変態を見て頬を引きつらせるのをね。


しかし、やってしまいましたよ。

王様の目の前で次期国王に綺麗なボディーブローを……いくら変態とはいえ、王家の血を引く者ですからね。


婚約破棄ですかね?

それとも最悪、死刑でしょうか?

凄く後悔してます。


「あのー王様。私がした事ですが……やっぱり罪に問われますよね?」


恐る恐る訪ねてみますと、意外な返答が返ってきましたよ。


「いや、其方に非は無い。悪いのは全部この愚息だ!男の風上にも置けぬ。はあ、何処で育て方を間違えたのやら……全く情けなくて涙が出そうじゃ。本当に此奴に国を任せて良いのか心配になってきたわ!」


王様は今も床でもがいている変態を見て深く溜息を吐いてます。


王様……私も同じ気持ちです。

こんなのが私の夫になるですね。

どうして、こんな変態を好きになったのでしょか?

この先、不安で胃が痛くなりそうです。


「アリスよ」


「あっ、はい。何でしょうか?」


「儂からの一生のお願いを聞いてもらえんか?」


「お願いですか?」


「其方が王妃教育やらで、大変なのは分かってるつもりじゃ。しかし愚息に国を任せたら、国が破滅に向かうのがみえみえじゃ!だから、其方に国王権限を与えたいと思うのじゃが。勿論、表向きは愚息が指示する振りをして、全ての決定権は其方に任せる。どうじゃろか?」


「え、ええーー!?」


な、何を言ってるのでしょうか?

余りの展開に思考がついていきません。


王様の言いたい事は何とか分かりますよ。

でも、少し整理させて下さい。


えーと、ダメ王子では国を破滅させる……同意見です。


次に王子を立てる為にも、表向は王子が指示した事にする……分かります。王妃があれこれ決めたらおかしいですもの。


で、問題は次です。次!

本来、国王がする役割や決定事項は私がする……そこ!そこがおかしい!


王様は私に過労で死ねと言っているのでしょうか?

いくら私が魔女でも一人二役は無理!


王妃教育だけでも苦しいのに、この上帝王学まで学べと言いたいのですか?


ああ……胃が、胃が痛いです。

無理!絶対無理です。

断らせていただきます。


「王様、申し訳御座いません。その件につきましては、お断りさせていただきます。」


「な、何故じゃ?」


「流石に一人二役は無理です。仮に私が二役は出来たとしても子供が出来たら仕事が疎かになり、国が傾きます!」


「そうか……そうじゃな」


王様、そんな悲しそうな目で私を見ないで下さい。

無理なものは無理なんです。


「それより、王子に優秀な側近でもつけた方が宜しいかと思われます。誰が居ないのでしょうか?」


「側近か………愚息に付きたがる者がおらんのじゃ!其奴には人望が全くない。情けなる話じゃが……」


「えっ?ええー!?」


そ、そんな?

人望がない人がに国王になるって、大丈夫なんですか?この国!


胃の次は頭が痛くなってきました。


実家に帰らせてもらおうかな!

本気で!


「大変、申しにくいのですが詰んでませんか?この国?」


「うむ……確かに詰んでおるな」


「「……………」」





私と王様は無言で床で、苦しんでる変態を見つめました。





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