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自分の気持ち

今回は短いです。

只今、軟禁状態です。


成り行きで王子の婚約者になりました。


一体どうしてこうなったのか………


過去を振り返りたいですね。





私と王子との出会いは些細なものでした。


私は街で悪者に襲われ撃退しました。


その後、通報で駆けつけてくれた役人達に私が魔女だというだけで、捕らわれかけた処を王子に助けられました。


いま思えば、この出逢いが私の人生を大きく狂わせる始まりでした。


王子に飲みに誘われついて行く。


人生初のお酒に、記憶が飛ぶまで王子と飲む。


酔った後、王子に襲われ処女を奪われる。


王子と契った事で、魔女の契約ノロイが発動する。


契約ノロイの内容は初めてを契った相手の伴侶にならないと、死んでしまう。


その後、王子の両親に会う。


王様と王妃様に、何故か気に入られ王子の婚約者になる。



簡単に説明するとこうなりますね。


式の日程が決まってから、教育の日々でした。

今思えば、よく逃げ出さずに我慢できたと自分でも褒めてあげたいです。


一言でいうなら……地獄でした。


朝起きてから深夜遅く寝るまで、着慣れないドレスや窮屈なコルセットを着けて踊りやマナーや礼儀作法等……一般で言う王妃教育です。


生き地獄、この言葉が相応しい一ヶ月でした。


そして明日は結婚式です。


処刑台に上がる気持ちです。


逃げ出したいのは山々なのですが、私の退路は既に絶たれています。

魔女として住む筈だった新居は、王子よって取り壊され、育ての親、先代には既に国王から連絡済みだそうです。


先代とはまだ会っていませんが、多分殺されるのは確定だと思います。


ああ…神よ!何故、私ばかりにこんな試練を与えるのですか?………恨みますよ。




あ〜あ、王子が王族でなければなぁ〜。


別に王子は嫌いじゃないんだけど……って、何考えてるんですか私?


これじゃまるで私が王子の事を好きみたいじゃない!


決して私があんなダメ王子を好きになる筈なんて……




こんな事を考えていたら、部屋の扉がノックされました。


「アリス。入ってもいいかい?」


声の主は王子でした。


ちょっと、今のタイミング来ますか?

待って待って!


「どうしたアリス?」


「少し待って下さい。部屋が散らかっていますから片付けますので、私が返事するまで決して入らないて下さい!」


「お、おう」


時間は稼げた。

深呼吸して気分を落ち着かせよう。


気分も落ち着いたので返事しますか、余り待たせるのも可哀想なので。


それにしても、本当に空気読めない王子ですね!

呆れます。


「………どうぞ」


私の返事と同時に扉が開きました。


(早っ!)


王子は上機嫌で部屋に入ってきて、私を見るなり抱きついてきました。


「ちょ、ちょっと、何するんですか?いきなり!」


「ごめん、ごめん。明日の事で嬉しくてさ!ついアリスの顔を見たら思わず抱き締めてしまったよ。」


「相変わらず手が早い人ですね……」


「いやいや、俺がこんな事するのはアリスだけだよ!」


「ど・の・口・が・言っているのですか?」


「痛っ!ちょ、ちょっと痛いよ。アリス!」


少しカチンときたので王子の頬を抓ってやりましたよ。


何が「アリスだけだよ!」ですか?

全く不幸しか持ってこない最低野郎です!

貴方は私にとって貧乏神ですか?


はあ……この人と出会わなければ今頃私は北の魔女として魔女界に革命を起こす筈だったのに……後悔極まりないです。


「で、どの様な用件でこられたのですが?」


「えっ?」


「だから、用事があって私に会いに来られたのですよね?」


「そんなの無いよ。ただアリスに会いたいから来ただけだけど?」


「なっ!?」


この人は何を考えてるのでしょうか?

明日は結婚式と王位継承のお披露目があるのに、本来ならこんな所で油を売ってる暇はない筈なのに。


「クラフト様……明日がどんなに大事な日がお分かりですよね?」


「うん。明日は愛しのアリスとの結婚式だよね!嬉しくて嬉しくて居ても立っても居られないよ。」


クラフトの言葉に沸々と怒りがこみ上げて来ました。


「ちょっと!王位継承の御披露目もあるんですよ?事の重大さを分かっていますか?」


気付けば大声をあげてました。


「………うん。分かってるよ」


私の怒鳴り声に漸く気付いたか?このダメ王子め。

こんな人が王になったら、この国は滅んでしまうのではないのでしょうか?

ああ…不安だらけの将来。


「でしたら、こんな所で油売ってる暇はない筈ですよね?」


「でも、しかし…」


まだ食らいつくか?ダメ王子よ。

こうなったら威嚇して追い出しましょう。


「現状がまだ分かってないのですか?」


声のトーンを下げ冷たい視線で睨みます。

流石に此処まですれば、鳥頭の王子も空気読みますよね。


さっさと帰れ。


「分かったよ」


「漸くご理解いしてくれたのですね」


おお、分かってくれましたか?

分かってくれたのなら、お帰りは彼方です。


私は視線を扉に向けます。

王子も気付いたみたいで、私に背を向けます。


はぁ、疲れました。

何でこんな人と私は結婚する事になったのでしょうかね?正に不幸としか言えませんね。


素直に王子が部屋から出て行くと思い気が緩みました。

この時、私は深く後悔しました。

ダメ王子を信じた私の馬鹿馬鹿。


「おっと、肝心な事忘れてたよ!」


「ふぇ?」


王子は振り返り、安堵していた私を抱き寄せてキスをしてきました。


咄嗟のことで頭の中が真っ白になります。

キスしている間をとても長く感じてました。


……………



王子は満足したのか、私の唇から口を離すと満足そうな笑顔で私の顔をみてます。


ダメ……そんな笑顔で今の私を見ないで。


顔を背けようとしましたが……駄目でした。


「愛してるよアリス!」


甘い言葉を耳元で呟き、二度目の濃厚なキスをされました。


身体が熱く火照ってきます。

駄目です。身体に力が入りません。

思考も停止中、何も考えられません。


キスをしながらベットに押し倒されました。


ああ……駄目です王子。


こんな昼前から…………












日もすっかり沈みかけてます。


王子は私の横で満足そうな表情で寝てます。


も、ち、ろ、ん、裸で!


ああ……やってしまいました。

明日は大事な式があるのに。

私のバカヤロウ!……って思っても過ぎた時間は戻りませんよね。

だったら、開き直りましょうかね。


隣で寝てるダメ王子の寝顔を見ると、何故か笑みが溢れてしまいます。


はあ〜分かってしまった。


私はこの人が好きなんだと……どうして、こんなダメな人を好きになったのかなぁ〜?


私って男の趣味悪いのかな?

まあ、考えても仕方がないですね。


隣で寝てる彼の顔みて思いました。


起きないよね?


「なら甘えちゃお!」


甘えさせて何て死んでも言えない私は、今を堪能しようと思います。


損な性格だなと思う私でした。


ゴソゴソ……


私は無邪気な寝顔の王子の身体に寄り添い、私も寝ようと目を瞑ります。


王子の体温……居心地がよいです。


すぐに深い眠りにつけそうです。





何やら部屋の外が騒がしいですが、今は気にしないでおきましょう。


ふふふ、楽しみです。


王子が次に目を覚ました時、どんな状況になってるのか?



「素直になれなくてごめんなさい。でも幸せにして下さいね!クラフト様。」



寝てる彼の耳元でそっと呟きました。

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