自殺志願者の命題
自殺したいと考えている。そう言えば僕を止めようとする人がいるだろうが、僕は長年ずっと死にたいと思って生きてきた
天才や成功者の人生が傑作というならば、僕の人生は駄作といってもいいほど酷いものだった。幼少の頃から何をやってもうまくいかず、努力を積んだところで結果がついてこない。それをひっくり返すような一発逆転の運も持ち合わせない。社会に出てからも失敗ばかりでクビを切られ職場を転々とする毎日。昨日も二週間務めた派遣先の会社で銀行からの融資が突然打ち切られ、倒産。職を失った。現在は、暇なニートである。それ故に、今日も僕はボロボロのアパートの一室で自殺の方法について考えている
さて、どうやって死んだものか
やっぱりメジャーなのは首吊りか?でも、首吊りって、死んだ後に物凄い形相になったり、便が垂れ流しになったりで醜い死に方だって聞くからな。どうせ死ぬなら格好良い死に方したいし。第一、この狭い部屋には首吊り紐を引っ掛ける所もない。例え紐を引っ掛けられたところでボロすぎて引っ掛けた所が壊れて、また大家に怒られるだけだ。首吊りはやめておこう
では、失血死はどうだろう。手首や首筋の脈に刃物で傷をつければ大量出血で死ねるだろう。いや、ダメだ。死ぬまでに時間がかかり過ぎる。苦痛の時間が長いのはキツイな。それに、この方法で未遂に終わったなんて話もたまに聞く。長い時間痛い思いをしたうえに死ねませんでしたじゃ割に合わない。失血死も無しだ
水身と餓死と焼身自殺も長時間の苦痛があるだろうからスルーだな
薬を用いた自殺はかなり楽な死に方らしい。うまくいけば安楽死も狙えるのか。薬の選び方を間違えたらかなり苦しいみたいだけども。まあ、そんな薬が買える場所なんか知らない訳だが……
それならば、投身自殺はどうだろう。例えばビルの屋上から飛び降りるとか。でも落ちてる間は怖そうだな。怖い思いをするのも短いほうがいいに決まってる。ビルからの投身も却下だな
後は、飛び込み自殺……はダメだな。道路に飛び込むのも、踏切に飛び込むのも、他人に迷惑をかける。特に後者は被害が大きすぎる。やっぱり人に迷惑をかけるのはまずいよな
感電死という方法もあるが…発見者も感電する可能性があるらしいからな、やめとこう
低体温自殺というのもあるのか。アルコールと睡眠薬を飲んで5度以下の場所で眠ると低体温症になって死ねるみたいだな。眠るように死ねるし、比較的苦痛も酷くないみたいだから理想的ではあるんだが、問題は条件に合う場所がないことだな。貧乏暮しの僕が、僕一人が丸々入るようなでかい冷蔵庫なんか持ってる訳がない。冬の夜の寒空の下でもできるだろうが、もし誰かに見つかって救急車でも呼ばれたらアウト。人に見つからない山奥などの辺境の地なら問題ないかもしれないが、そんな所に行く金銭的余裕も皆無だ。魅力的な自殺方法だったが実行不可能なら仕方ない。諦めよう
ガス中毒自殺というのを聞いたことがある。車の排気ガスをホースで密閉した空間に流し込むことで中毒死できるのか。なるほどなるほど…って、車とか持ってる訳ねーだろーが!
なかなかいい自殺方法がねーな。もっと簡単で楽で痛くなくて金がかからなくて他人に迷惑がかからなくて見た目がグロくなくて確実で格好いい自殺方法ねーかな
そこまで考えて、ふと時計を見た。針は午前一時過ぎを指している
「もうこんな時間か。また明日考えるか。もう寝よう」
僕は今日も死ねずに1日を終える。そして最後に考えながら眠りにつく
――このまま起きずに寝たまま死ねないかな
過去に私自身が考えていたことを題材にして書いてみました
自殺って難しいですね




