1と2
投稿遅れた…。
やっぱり私は文を書くのが苦手です。
「...へ?」
こんなことは初めてだった。
僕と彼女の距離は二メートルあるかないか。
この距離で生き物と接するのは久しぶりだ。
でも、帽子とマフラーで隠れた彼女の顔にもなぜだか驚きの表情のようなものがあった。
しばらくして落ち着くと、僕は彼女にいくつか質問をしてみることにした。
「えっと…、僕の名前はカルヤ・ソール - セカンド。君の名前は?」
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「君の名前は?」
突然現れたその人は、そんなことをきいてきた。
純粋に、ただ純粋に嬉しかった。
生き物と接するのはいつぶりだろう。私は普通に暮らしてたはずだった。いつの間にか、避けられ、忌み嫌われるようになって。
みんなみたいに友だちをつくって、一緒に遊んで、一緒に笑いあいたかった。
けど、このちからのせいでいつも一人でいることしかできなくて、いつもずっと独りだった。棄てられたときも、もうこのまま死んじゃうな。なんて、思った。
もう、それでいい、死んでもいいかな。
そう、思った。
生きることを諦めていた。
死にたかった。
だから、嬉しかった。
このちからの影響を受けていないこの人に、
名前の最後に『セカンド』とついているこの人に、
普通に、ただただ普通に声をかけてくれた、この人に、
カルヤさんに会えて、本当に。
だから私も、普通でいよう。
私の名前は...
「……ぃう…あ…」
....あれ?
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名前をきいてみると、しばらくの間があった後に、口を隠しているマフラーがモゴモゴと動いた。
僕はそれを、“答えたくない”と思ってるのかな、と思い、
「あぁ、ごめんね。無理して答えなくていいよ」
と声をかけてみた。
するとマフラーの動きが止まり、彼女はうつむいて動かなくなってしまった。
「・・・えっと…?」
気まずい雰囲気になってしまった。
「あぁ、えと…き、急に入ってきてごめんね!」
この空気に耐えきれず、僕は逃げるようにしてこの場所をはなれた。
彼女は最後まで、うつむいたままだった。
「何だったんだろ…」
これはあの子のセリフだとは思うけど、それにしても不思議なことが多かった。
だいぶもう春も暖かくなってきた頃だというのに、歩くのも大変そうなくらいブカブカなコートに、目まで隠れるくらい大きな帽子と、マフラーという格好。まるで『自分』という存在を世界から隠したいかのような、そんな格好をしていた。
そして一番不思議だったのが。
「なんで何もおこんかったのかな…」
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僕には不思議な『ちから』がある。ちからというよりは、呪いのようなもの。
それは、『全ての生き物を引きつけてしまう』というもの。視線を惹きつけるとかではなく、本当に文字通りのちからだ。
だいたい自分を中心に、半径2mくらいにそのちからは常にはたらいていて、自分で制御することは出来ない。
そして、引きつけられた生き物は、抵抗することができず、他の誰かに引き離してもらわないと離れることが出来ない。
僕は、このちからのせいでさんざんな目にあった。
だから旅に出た。このちからを必要としている人を探すため。このちからを消すために。
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次の日。
僕は、もう一度あの子に会いに行ってみることにした。昨日は気まずい感じで終わったし、なんで何もおきなかったのかを知りたいというのもあったからね。
あの子のテントの前まで行き、
「昨日来たカルヤだけど、入っていいかな?」
一声かけてみる。すると、
ペチ、ペチ、ペチと、地面を叩くような、弱々しい音が聞こえた。
「どうしたの?」
もう一声かけてみた。すると、
「ぁあ…う…えぅ…」
声が聞こえた。喉から絞り出したような、とても弱々しい声。その声は、とても苦しそうだった。
「大丈夫?」
返事はこない。
「…開けるよー」
テントのチャックを開けて、中を見た。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
彼女は、苦しんでいた。
「だ、大丈夫!?」
急いで中に入り、手を握る。
「熱っ!」
彼女は、熱を出していた。