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ラビリンスで待ってて  作者: 南 晶
第2章 -圭介-
29/63

19話

 暴風雨の中、高速道路を走って何とかオレは玲の待つマンションまで辿り着いた。

 地下の駐車場に車を停めて、時間を見るとやはり6時を回っている。


 台風、怖がってたかな。

 いや、まず黙って出て行ったこと怒ってるだろう。

 今日のことなんて言おうか。

 オレは言い訳を考えながらエレベーターに乗った。



 マンションのドアの鍵は掛かっていなかった。


「ただいま!玲、いるかあ?」


 オレは大きめの声で呼んでみる。

 返事がない。

 靴を脱いで部屋の中に入ると、リビングのソファにちょこんと座っている玲が見えた。

 いつものジャージ姿ではなく、ふんわりしたチュニックを着ていた。

 唇を噛み締め、神妙な顔でオレを睨んでいる。

 やっぱり、怒ってるよな。


「玲、ごめん。今日・・・。」


 オレが声を掛けたとしたその時、玲は駆け寄って抱きついてきた。

 首に腕を巻きつけてしがみつくと、貪るようにキスをする。

 オレはそれを黙って受け止めた。

 キスを続けながら、玲はオレの着ていたシャツを掴み強引に脱がす。

 細い手がオレのジーパンの中に差し込まれ、弄び始める。

 オレはされるがままになっていた。


「圭介、いつもみたいにして・・・」


 キスをしながら玲が切ない声を出す。

 オレは少し躊躇した。

 これでは、昨日の決心と今日死にかけた意味がなくなってしまう。

 兄としては、止めるべきなのは分かってた。


「玲、もうやめよ・・・」

「お願い!ねえ、圭介・・・」


 玲の声が大きくなり、オレの下半身に触れていた手に力が入る。

 結局、オレは玲に逆らえなかった。

 自分でもこの流される性格が嫌になる。

 彼女の意思に抗えず、オレは言われるまま玲の体を抱きしめた。

 キスを受け止めながらチュニックの下から手を入れ、細い体を愛撫し始めた。


 その時。


 ゴトン、と窓の方で音がした。

 オレはギョっとして思わず手を止めた。

 誰かいる?

 音がした方を振り返ると、オレがいつもタバコを吸ってる窓のところに人が立っているのが見えた。

 いつもの白い顔を更に白くさせて、そいつは驚愕の表情でオレたちを見つめていた。

 足元には今音を立てて落とした携帯電話が転がっている。


 そのまま固まったオレに抱きついたまま、玲はそいつに向って言い放った。


「これで分かったでしょ?こういうことなの。だから、あたしにはもう関わらないで!」



 何がどういうことなんだ?

 オレは状況が把握できないまま呆然としていた。

 何がどうなって、どうしてこいつがここにいるんだ?

 しかもオレ、こいつの前で何してた?

 上半身裸でジーパンの中に手を突っ込まれたままの状態で、オレは何とか声を出した。


「・・・岡崎?」


 そこに立っていたのは、まぎれもなくオレの部下だった。



ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました。

ここで一応2部が終了です。

宜しければ今後もお付き合い下さい。

感想など頂けると嬉しいです。(^^)

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