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ラビリンスで待ってて  作者: 南 晶
ラビリンスの終焉 第1章 -玲-
19/63

9話

 あたしの濡れた体を見つめる圭介の視線が痛い。

 色素の薄い瞳が問題の貧乳を捉えて離さない。

 恥ずかしさと、変な興奮を覚えてあたしの鼓動が激しくなる。

 圭介は左手であたしの腕を掴んだまま、もう片方の手であたしの胸を触った。

 濡れて敏感になった胸の先端に、圭介の乾いた手の感触が伝わる。


「ん・・・ん」


 あたしは声を出さないように必死で堪える。

 そのあたしの顔を見て圭介は微笑む。


「声出せよ、玲。聞きたいから」

「や、やだ・・・あ・・・」


 彼の大きな手は二つの胸の先端を交互に弄ぶ。

 快感に座り込みそうになるあたしを、圭介はまだ離さない。

 やがてその手はあたしの下半身に伸び、一番敏感な場所を探り始めた。


「あ、あ、いや・・・」


 我慢できず、あたしは思わずせつない声をあげる。

 圭介は少し意地悪くあたしの耳元で囁いた。


「言えよ。今更何を見られたくないんだよ?」


 優しい顔に似合わない低いサディスティックな声。

 あたしはこの声にまた感じてしまう。

 下半身を愛撫する彼の指の動きが激しくなり、あたしの体はのけぞった。


「・・・圭介のバカ!あ、ああ、あ・・・」


 絶頂に達したあたしは湯船に座り込んだ。

 圭介はまだ許してくれない。

 自分も湯船に入ると、あたしの体を抱き起こして向き合った姿勢で膝に座らせた。。

 まだ敏感になっているあたしの胸の先端を口に含む。

 彼の舌の感触を感じて、あたしは大きな背中にしがみ付いた。

 水面下で彼はあたしの中にもう侵入している。


「ね、圭介・・・。あたし・・・まだきれいかな?」


 喘ぎながらあたしは質問を投げかける。


「・・・きれいだよ」


 荒い呼吸で圭介は返事する。

 あたしの胎内で圭介が動くのを感じ、あたしは思わず彼の背中に爪を立てる。

 二度目の波があたしの体に押し寄せてくる。

 突然、しがみ付いていたあたしを引き剥がすと、圭介はあたしの顔を見た。

 色素の薄い瞳にあたしが映る。


「見せて、玲・・・。顔見たい」


 荒い呼吸のまま彼は懇願した。

 快感の波に溺れながらあたしの胎内は圭介で満たされる。

 彼のこの瞬間の表情が大好き。

 あたし達は果てた後も温かい湯船の中で抱き合っていた。



「ね、さっきの話・・・」

「何?」

「どのくらいあたしきれい?」

「・・・引っ張るね。今日は」


 圭介は少し笑って言った。


「理性もブッ飛ぶくらい。16年付き合ってても全然飽きない。禁忌も犯しちゃう程いい女、だよ」


 生温くなった湯船の中であたしは嬉しくて彼の胸に抱きついた。


「今日はありがと。最高の誕生日だった。」


 あたしは素直に感謝して圭介の首筋にキスする。


「喜んでくれたならやった甲斐あった。会社の連中にも言っとくよ。店の段取りしたのあいつらなんだ」

「圭介のライブも初めて見たし、お店も素敵だったし、ピアノの生演奏も感動したし、二人の男があたしの為に闘ってくれたのも初めてだった。一生忘れられないよ」


 その言葉に圭介の眉間に皺が寄る。


「岡崎のヤロー。大衆の面前で告白しやがって。オレは許さないからな」

「コントじゃなかったの?」

「じゃないよ。あいつはいつだって本気なんだよ。で、すげえいい奴。オレが普通のお兄ちゃんだったら、お前に紹介してやってもいい」

「・・・もしかして妬けた?」


 いたずらっぽく言ったあたしの質問に、圭介は弱気な笑みを見せた。

 あたしの髪を掻き上げ、額にキスをする。


「・・・羨ましかった。だってオレはあんな告白できない」



 不思議なことに、その時あたしの頭の中には岡崎君が弾いたピアノが鳴り響いていた。

 思い出した。

 あの曲の名前は確か「別れの曲」。

 思い出したけどそんなことはどうでもよくて、あたしはまた彼の胸でまどろんだ。



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