37話 自室 ― 数値と天井
37話 自室 ― 数値と天井
夜
郊外の古い住宅
二階の自室
窓の外は静かだ
ダンジョンの冷気も血の匂いもない
机の上に便利ツールを置く
表示形式を切り替える
戦闘ログではない
数値表示
淡い青の文字が浮かぶ
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■ 現在ステータス
【累計SP】9.84(消費含む)
STR:10 → 14
DEF:500 → 508
RES:100 → 104
DEX:8 → 12
INT:8 → 11
MP:100 → 112
LUK:300 → 309
HP:DEF依存微増
SP:残 0(自動振分)
⸻
真田はしばらく黙ってそれを見つめる
派手ではない
だが確実に伸びている
STRは低い
だがDEFはまだ高い
死なない構成
黒竜撃破時に得た基礎値が今も土台だ
「悪くない」
あーちゃんの声が淡く響く
『六階基準で適正』
『無双型ではないけど安定型』
真田は画面をスクロールする
そこに新しい表示が出ていた
⸻
■ 階層適応率
【現在階層:六階】
【討伐数:42】
【適応率:82%】
真田は眉をひそめる
「何だこれ」
表示が切り替わる
⸻
■ 階層適応減衰
同一階層での討伐数が一定値を超えると
SP吸収効率・ドロップ率が低下します
迷宮は前進する探索者を優遇します
⸻
静かな部屋でその文章だけが重い
「つまり」
『六階に居続けると伸びが鈍る』
あーちゃんが淡々と言う
『迷宮は安全圏での停滞を評価しない』
真田は椅子にもたれた
討伐42
すでに82%
まだ落ちる
六階で無限に整えることはできない
⸻
真田は再び数値を見る
STR14
DEF508
LUK309
確かに伸びた
だが天井は遠い
最大1000
神域
そこには程遠い
「雑魚狩りは無理か」
『七階へ進めばリセット』
『ボス撃破でも回復』
冷静な声
つまり
進むしかない
⸻
マロンが足元で鼻を鳴らす
尻尾が小さく揺れる
真田はしゃがみ頭を撫でた
「六階で整える」
「でも粘りすぎない」
言葉にして自分に刻む
⸻
机の上にノートを置く
六階
装備更新
籠手
胸当て
武器は十分
次は火力不足
STRが低い
補うのは技術
リーチ
連携
「七階か」
まだ焦らない
だが止まらない
⸻
便利ツールの表示が淡く光る
【適応率 81%】
ほんのわずか減っている
真田は静かに息を吐く
迷宮は待ってくれない
前に進む者だけが育つ
六階の夜は静かだった
だが
その静けさの奥に
天井が見えた




