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惑星は推しを滅ぼせない 〜文明保護ダンジョンとフレブル連れの探索者〜  作者: まえった


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13話 はじめてのだんじょん ― 地下へ

13話 はじめてのだんじょん ― 地下へ


東京湾岸の埋立地


朝の光が白い外壁に刺さる


かつて超高層オフィスビルが建つはずだった更地


今そこにあるのは


巨大な正方形の建造物


継ぎ目がない

窓がない

装飾がない


ただ完璧な直線だけが存在する


高さは十五階相当

横幅は野球場を飲み込む


近づくほどに理解が追いつかなくなる


外壁に触れる


冷たいはずなのに

わずかに温かい


耳を澄ませば


低く


鳴っている


鼓動のように


四方向に開いた入口


扉はない


足を踏み入れた瞬間


空気が切り替わる


外界の湿気が押し戻される


ロビーに入った瞬間


視界が開ける


天井は二十メートル以上


均一な光


白い壁面がどこまでも続く


完璧な直線


完璧な空間


真田は足を止めた


そして


思わず声が漏れる


「……うわ…」


自分でも驚くほど素直な声だった


想像していたより広い


想像していたより静かだ


そして


想像していたより


ちゃんとしている


あーちゃんが小さく笑う


『どう?』


胸の奥に湧く


誇りでも恐怖でもない


畏れ


これを


自分は微調整できる


その重さを


初めて実感する



入退場ゲート


床に浮かぶ円形紋様


半透明の光が回転する


真田が踏み込む


ダンジョン入退場システムが展開される


【探索者ID JPSH0001】

【登録順 0001】

【HP 100%】

【装備登録済】

【違反履歴 なし】

【所持重量 31.2kg】


模造刀

タクティカルヘルメット

プロテクター

鉄板入り登山用安全靴

寝袋

ヤカン

非常食


『出る時も必ず通過してね』


「通らないと」


『外に出られない』


『戦闘以外で死なせない』


境界を越える



受付


受付カウンターだけが


現実だった


迷彩服


無精ひげ


五十代


眉間に皺


隣には三十代後半の自衛官


肩章は擦り切れ

目の下に隈


本来ここに立つはずだったのは


制服姿の受付嬢


笑顔

名札

マニュアル通りの敬語


だが現実は


「次の方」


低い声


自動表示された真田のID


五十代の視線が一瞬止まる


だが何も言わない


「六階は未確認」


「五階で複数撤退」


背後の壁


【受付スタッフ募集中】

【危険手当支給】

【即日勤務可】


その横


手書き


“本当に人が足りません”


完璧な迷宮


未完成な人間側


五十代が言う


「死ぬな」


命令ではない


懇願に近い


真田はうなずく


胸の奥に


小さな重み


自分は迷宮を弄れる


だが


この疲労は


調整できない



通路


ロビー奥


四本の通路


人工光が途切れる


湿度が上がる


匂いが変わる



背後の整然さが遠ざかる


最後の一歩


境界を越える


光が落ちる


温度が下がる


はじめてのだんじょん


地下


始まる


外伝『あーちゃんの観測記録』公開中。


第一迷宮の外観、内部断面図、受付体制など

公式設定資料を随時追加しています。


世界観をより深く楽しみたい方はぜひ。


挿絵(By みてみん)

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