3 ルーカスとお出かけ
「んっ…朝か…」
窓からさす日の光で目が覚めた。
窓をから外を眺めたがやはり異世界のようだ。
ベッドから出て昨日もらった服に着替える。
うむ、サイズぴったりだ。
着替えが終わってベッドに腰掛けて昨日もらったギルド証を眺める。
ギルド証はこの世界観にはあまり似合わないプラスチックのような素材でできている。
それにしてもこれって魔力を使って情報を読み取ったりできるもの、異世界系のゲームとかでは魔道具とかアーティファクトとか呼ばれるものだ。
そういうやつって大抵は結構高価なものだったりするがギルドはそれを何万人もの人にタダで配ってる。
この世界では魔道具はそこまで価値が高くないのか?
トントン
「入るぞー」
そう言っていきなりルーカスが入ってきた。
「おはよ」
「おう、おはよう。準備はできているようだな。じゃあ行くぞ」
―――
「まずは服だよな…適当にあそこでも入るか」
ルーカスの入った服屋は商店街の昔からある古着屋みたいな雰囲気の店だった。
適当に目に入った服を手に取る。
服にはタグがついていた。
「100ルーロ…」
「おっその服いいじゃないか!うんうんサイズもぴったし。あとはどうする?」
「ああ〜じゃあこれとこれで」
また適当に服を選ぶ。
「センスいいね〜3着もあれば十分だろ。次はズボンだな」
…この人何も考えずに会話してそうだな。
―――
服も選び終わってルーカスが会計をするのを見守る。
「合計で600ルーロになります」
「はいはい…どうぞ」
「ありがとうございました」
終わったようだ。
店を出て次の店に向かう。
「サクって魔法系だよな?」
「はい。影魔法の適性が一番高いんでそうなりますね」
「じゃあ魔導書か…てかさ敬語やめろよな?冒険者って基本的にタメ口だから敬語使うと下に見られるぞ?冒険者やるなら気をつけろよ〜」
「すみま…すまんな。てかさ昨日門では銀貨で払ったのになんでさっきの店ではルーロ?なんだ?」
「ああそれはだな?銅貨、銀貨、金貨その他諸々は全世界共通の通貨、ルーロはこの国だけの通貨。たったそれだけだ。冒険者はその名の通り冒険する。例えばだ検問で冒険者が全く違う国の通貨で払おうとしました。じゃあどうするか。自分たちの国の通貨に両替するしかないよな?だが検問所は日によっちゃすっごい混む。その度に両替してたら回転率が悪くなるだろ?そのための銀貨とかだ。だからいろんなところから来た人が集まるところ、例えばギルドだったり検問所だだっりでは銀貨とかが使われてるっていうわけだ」
「1ルーロとかその国ごとの通貨ってどれくらいの価値なんだ?」
「国によって多少は違うが大体はその国の通貨100で銅貨1枚だ。どうせ銅貨とか銀貨とかの価値もわからんだろ。銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨100枚で白金貨1枚これくらいわかれば大丈夫だろ」
その話を聞いている最中に果物屋の赤いりんごのような果実が目に留まった。
その果物は20ルーロだ。
りんごの相場はだいたい200円くらい。
つまり1ルーロは10円
銅貨は1000
銀貨は1万
金貨は100万
白金貨は1億ってことか。
「ほらついたぞ。ここが魔導書屋だ」
「おぉ普通の店だな」
ルーカスは少し笑いながら
「そりゃそうだろ。何言ってんだよ。ほら行くぞー」
と言って店の中へ入っていった。
魔女の家!みたいな感じの雰囲気かと思ったが全然違った。
店内は普通の本屋だ。
「影魔法だよな?ええと…光、水、風、火…」…
―――
「亜空間、重力…影魔法なくね?」
店内を一周したがそれらしきものはない。
「聞いてみるか。すみませーん。影魔法の魔導書ってどこですか?」
奥からかなりの年配の男性が出て来た。
「この辺りにあったじゃろ」
店長と思われる男性が示したのは天井まで積み重なった本の山だった。
男性の手から紫の光がうっすらと放たれる。
その瞬間山積みの本が空中に綺麗に整列し始めた。
びっくりして声が出ない。
こういう重力魔法ってゲームだと結構高度なやつだろ。
この爺さんめっちゃすごい人なのか?
「ほれ、手を出してみろ」
言われた通りに手を出すと彼は俺の手を舐め回すように眺めた。
「これはなかなか珍しいのう。ならばこの本か…」
選ばれた本は表紙の質感からしていかにも年季の入った物だ。
「これがついに売れるとはな。これはじゃな、この店が開店して間もないころ。確か40年ほど前か…この店に1人の男が来てな。その男がこの本を必要とするものが現れたら渡せと言って去って行ったんじゃ。それはおそらく其方であろう。この本はやる」
「いいんですか?本って結構高級なものなんじゃ…」
「よいよい。こんなものあっても売らなきゃ意味がない」
「ありがとうございます!」
そういって俺たちは店を出た。
「なあなあサク、その本読ませてよ」
俺は本をルーカスに渡す。
ルーカスはパラパラと本を捲る。
「これ一体いつの本だ?こんな文法、古文書とかにしか出てこねえぞ」
「そうなのか?」
ルーカスは興味がなくなったのかすぐ本を返して来た。
「ああ。たぶんこれだいたい150年前の魔術黎明期ぐらいの本だろ。多分使えても改良が必要だぞ」
「ええ…」
「ま、使ってみないとわからんがな。使ってみたらすごい強いみたいなのもあるしな」
オーパーツとかそういう感じのものだろうか。
これもそうであって欲しいものだ。
本を抱えてて歩いていると足元の影に違和感を覚えた。
影が一瞬くねくねと動いたような感じがしたのだ。
「サク?どうしたそんな足元見て、糞でも踏んだか?」
「踏んでねえよ。…なんか影がくねくねした気がしただけさ」
「疲れてんだろ?完治したとはいえ昨日死にかけたんだ。宿に帰るぞ」




