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4話「恐るべし! エルフの魔力!」

 ヤリオはセレティーンと一緒に王国を発って、長い旅を続けている……。

 するとモンスターと遭った。


「……今度はゴブリンか」


 人型だが、やや短身でやせ細った醜い鬼といった感じの見た目だ。

 言語でコミュを取り、手には棍棒や弓などを持ち、それなりの知性を窺わせるモンスターだ。スライム以上に侮れない。


「キーッキッキッキ! バカな獲物がやってきたぜーっ!」

「ああ。晩飯は人肉で決まりだな」

「己の運命を呪うがいい。きさまはこれからひき肉にされてハンバーグとなるのだーっ!」

「死ねーっ!!」


 一斉に無数でゴブリンは襲いかかった。

 そんな多勢に無勢な戦いにヤリオは戦慄が走った。聖剣をサッと構える。


「だがもう一人いる事を失念したわねーっ!」

「「「「なにっ!?」」」」


 そうヤリオは一人ではない。セレティーンというエルフが一人いたのだ。

 セレティーンは杖を空へ放り投げると「精霊の雲よ、我が力となる稲妻を与えよ」と呪文を唱えた。すると立ち込めた暗雲から落雷が空中の杖へ直撃。


「今よーっ!」


 セレティーンは飛び上がって、帯電し滞空している杖の先っぽの宝玉を踏む。


「サンダーステラーッ!!」


 杖を蹴り上げて前転回転させると、四方八方に落雷を分散させて、流星のようにゴブリンどもに降り注いで刺し貫く。

 さしものゴブリンも「ギャアーッ!」と血飛沫を上げて絶命せざるを得なかった。


「さ、さすがは……エルフの魔法だ……」

「ふふっ」


 降り立ったセレティーンに、ヤリオも感心した。


「ゴブリンの仇だーっ! 死ねーっ!!」


 森に隠れていたゴブリンが飛び出すが、セレティーンはすかさず杖から出した火炎球を蹴り飛ばす。

 蹴る事によって超加速した火炎球は、さながら地面を走る彗星のようだ。


「ファイヤーシュート!!」

「ギャアーッ!」


 不意をつこうとしたゴブリンの腹を貫いて血飛沫を振りまいた。

 疑問を抱いたヤリオは「な、なぜ気づいたんだ?」と聞く。


「エルフは耳が横に伸びているから聴力が強いのよ。それで森に隠れている気配を察知したわけね」

「ム、ムゥ……さすがはエルフの魔力だ……」

「えへん」


 すれ違ってる気もしないでもないが、エルフはこのように侮れない実力を持っていた。



「ふっふっふっふ! 見たぞ! エルフの戦い方をな!」

「なにものだっ!?」


 ヤリオとセレティーンは戸惑いながら振り向くと、オークの集団がぞろぞろと現れたのだ。

 大きな体格に筋肉質。そして超重量の棍棒。


「ううっ! 転移者軍団よりもはるかに数倍強いモンスターだぜ……」


 セレティーンを追いかけていた転移者軍団よりも十倍くらい強さに差がある。

 もし転移者軍団が戦えばボロ負けするだろうと想像。

 ヤリオは汗をかいて戦慄を感じた。


「今のが私の魔法の全てだと思わない事ね」

「さっきので見切ったーっ! エルフきさまに勝ち目はないぜーっ!!」


 オークの集団が大勢でエルフへ襲いかかった。重量か煙幕を立てて地を揺らしている。

 それに引き換えエルフは細身。

 助け舟を出そうとヤリオは腹をくくるが、セレティーンは制止の手を伸ばした。


「手を出さないで! 私がやる! 精霊よ、我が身に宿って光り輝かん!」


 杖をかざして呪文を唱えると、光飛礫が集まってきてセレティーンの全身を覆う。


「「「なにっ!?」」」

「思い知りなさい! これがアストラルフォームよーっ!!」


 なんと背中から光の翼が羽ばたき、身軽と舞い、軽やかに回し蹴りを繰り出すと光の軌跡が円を描いてオークの集団を「グギャアーッ!!」と真っ二つに切り裂いていった。

 これまでと違った身体能力に、ヤリオも驚きを隠せなかった。

 あの転移者軍団の数倍以上のオーク軍団を、エルフが一人で瞬殺してしまったのだ。恐るべし……。


「この魔法は、接戦する時に必要なの。これによって身体能力を数倍に強める。オーク集団なんて敵ではないわ」


 ヤリオは言葉が出なかった……。

 心強い仲間ができたと、今悟った。

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