34話「地獄死霊王の恐るべき死奥義! そしてそれを!!」
等活地獄死霊王ラモール!
黒縄地獄死霊王スメルト!
衆合地獄死霊王グリムリーパー!
まさかヤリオによって強豪魔族が三人も討ち取られるとは、冥界軍団は予想だにできなかった。
死んだ彼ら三人でも、あの魔轟六将以上だ。
「な、なんという事だーっ! 我らが幹部三人が何もできないなどとーっ!」
叫喚地獄死霊王ゼンゼンマンは汗を垂らしてうろたえる。
「等活地獄死霊王ラモールは火、氷、雷、風、地、闇の各属性による真漢功撒砲を得意とし、黒縄地獄死霊王スメルトは黒い糸を全身から増殖放出して敵を捕らえて拷問したりするのを得意とし、衆合地獄死霊王グリムリーパーは水晶を自由自在に操って攻撃と防御ができる万能型で絶対防御を誇るのを得意とするーっ! その三人が敗れるなどと悪い夢でも見ているのかーっ!」
大焦熱地獄ディオスは説明口調で、死んだ三人の能力を明かしつつ焦っていた。
「ヘルヘルヘルーッ! うろたえるでないわーっ!」
無間地獄死霊王デスは一ミリたりとも動揺はおろか、恐れもしていない。
さすがはトップに立つ地獄死霊王だ。
「一〇キロ範囲内の敵を恐怖に陥れる幻術の使い手である叫喚地獄死霊王ゼンゼンマン、一〇〇キロ範囲で水気を蒸発させるほどの一兆度ほどの究極高温を操る大焦熱地獄ディオス、おまえら二人は他と違って抜きん出ているーっ!」
「はっ! これから我らでヤツらに地獄を見せにご覧に入れましょうぞ!」
「この【灼熱の太刀】を万全開放……。全てを塵に帰す……」
フッと二人の黒髑髏は掻き消えた。
叫喚地獄死霊王ゼンゼンマンが地上へ降り立つと、北地方のピサミルドムア周辺にいたはずの【天光勇者ソロアルクス】が突進してきていた。
彼もまた前に転生されたイケメン勇者だ。
遠くから超高速で走ってきた為、一直線に大地をえぐって木々や岩山を粉砕していた。
「きさまはソロアルクスーっ!? ちょうどいい! 今ここで死ねーっ!」
「聖剣テンソラと俺の力を受けろーっ!! ギャラクシアン・マジガチ・スラッシューッ!!」
辺り一面が宇宙空間になり、全ての星が粉々に砕けるほどの破壊の一太刀が炸裂。
「ギャアーッ!!」
叫喚地獄死霊王ゼンゼンマンはボロ雑巾のように引き裂かれて絶命した。
同じく大焦熱地獄ディオスが地上へ舞い降りると、周囲が超高熱で全てが溶けていく。
黒髑髏が噛んで装備している黒い剣こそが恐るべき【灼熱の太刀】の力だ。
すると向こうから氷柱が一直線にバキバキ形成されつつ、突き進んでくる勇者がいた。
「なにをする! きさまらーっ!」
南地方であるサルーシェデス周辺にいたはずの【氷河勇者ハドガーラ】が怒り心頭で突っ込んでくる。
「バカめーっ! 我が一兆度もの領域に立ち入ろうもんなら黒コゲどころか塵になりおるわーっ! 殺してでも命を奪ってやるーっ!」
「ほざけーっ!! この聖剣アイスエッジの力を思い知れーっ!」
ハドガーラが氷のような聖剣を振るうと、想像を絶する凍結が周囲を真っ白に変えてダイヤモンドダストがキラキラ煌きながら大焦熱地獄ディオスへ襲いかかる。
「これがマイナス五兆度もの究極零度! アイスメット・ウィンターストーム・零ーッ!!」
「ギャアーッ!!」
大焦熱地獄ディオスは粉雪に散って絶命した。
人々はどよめいて【双頭の勇者】が現れた事に歓喜していく。
彼ら二人の勇者は、他と抜きん出て高い戦闘力を誇っていて、魔王軍と対抗できる戦力なのだ。
あの地獄死霊王二人を造作もなく葬り去った事から、その強さは推して知るべし。
もはや勝利は絶対のもの。
それに初めて動揺した無間地獄死霊王デスは怒り心頭で、暗黒地獄塔の上部に再び現れた。
「ゲゲゲ~ッ! ここまで我が冥界軍団を追い詰めるとはなーっ!! いいだろう! そんなに地獄を見たいのなら、望み通り見せてやるわーっ!!」
黒髑髏から闇の渦が生まれていって、底知れない死の波動が世界中へ広がっていく。
それは全ての生きとし生けるものの生命を強制的に奪って、枯渇させてしまう恐るべき絶大な力。
惑星一つを滅ぼしかねないほどの死霊王の全身全霊の奥義。
「これこそが我が死霊王奥義【魔除照死奴世魔除照奈】だーっ!!」
しかしそんな底知れない闇をも切り裂く光が現れた。
「な、なんだーっ!? あの光はーっ!?」
「底知れぬ闇さえ貫けーっ!! ファイナル・ストライクランサーッ!!」
全身が輝いたヤリオが繰り出す最大最強の聖槍アブゾリュートの伸ばし突き。
まるで一条の光のように聖槍は伸び続けて、闇をことごとく吹き飛ばして無間地獄死霊王デスの胸板を貫いて血飛沫を噴き上げた。
「ギャアーッ!!」
さすがの無間地獄死霊王デスも苦悶の顔で絶命した。
大規模で長かった戦いは終わった…………。
そうして世界の脅威となる敵は魔王軍だけとなった。
三話に及ぶ長き戦い()




