32話「冥界現る! 地獄死霊王の大侵攻!!」
魔法都市キュプリリンにて、ヤリオたちは敵だった者も含め頼もしい仲間が勢ぞろいした。
民衆は「わああああああっ!!」と湧き上がっている。
聖剣アブゾリュートの使い手である転生者ヤリオ。
エルフのセレティーン。
悪魔騎士ガイア。
無敵の聖剣パーフェクトの使い手である転生者ゼロス。
吸血鬼レンゾーマ。
聖剣リバイアーの使い手である転移者柴胡路州輝。
聖剣ナガーケンの使い手である転生者チョーホー。
聖斧マプタツンの使い手である転移者小野太助。
アトミックドラゴンのガリレオ。
聖弓デスボウの使い手である転移者リーザフ。
聖剣カメハの使い手である転生者フェクルセ。
聖糸の使い手であるダークエルフ転生者ギャンザ。
聖鞭ビビビーンの使い手であるスライム転生者クアウブ。
これだけの勇者が集まってきたのだ。
一人だけでも歴戦漂う高レベルの勇者。魔王四天王や魔轟六将をも倒してきた貫禄が窺える。
「これだけの勇者たちなら、魔王も怖くないぜーっ!」
「手に負えなかった名のある魔族も減ってきて、生活が楽になってきたからなーっ!」
「魔王軍だって、四天王は二人しかいないーっ!」
「世界平和もすぐそこだぜーっ!!」
歓喜する民衆は盛り上がっている。
しかし、そのムードを壊すかのようにゴゴゴゴと地鳴りが大きくなっていく。
徐々に上空が渦巻く暗雲に包まれていくではないかーっ。
《世界平和がもうすぐ……? ヘルヘルヘル……、世界地獄の間違いだろうよーっ》
ヤリオたちは「だ、誰だーっ!?」とキョロキョロ見渡す。民も戸惑っている。
すると大陸の中心で大穴がぽっかり空いて、周囲の岩盤が崩れて穴へ転がり落ちていく。
ジゴジゴジゴジゴジゴジゴジゴ……、奇妙な音が聞こえてくる。
「あ、あれを見ろーっ!!」
「ゲェ────!! なにか生えてくるーっ!!」
ヤリオが指さした先に、巨大な暗黒の塔みたいなのがジゴジゴジゴと生えてくるではないかーっ!
そう大陸に空いた穴から、暗黒塔が出てきたのだ。
しかも材質が不明の紫がかかった黒いレンガで建造されている巨大な塔は、まるで世界中を見下ろすかのようだ。
《ヘルヘルヘルーッ! ようこそーっ生者のみんなよーっ! この地上界に地獄と空間を繋げて【暗黒地獄塔】を召喚したーっ!》
「な、なにーっ!?」
汗を垂らして驚愕する人々。
そして塔の上部で巨大な黒い髑髏みたいなのがゲゲゲゲ~ッと現れた。
《ゲッゲッゲ~! 我こそが無間地獄死霊王デスよーっ!》
するとその下で五人の黒い髑髏がボォ~ッと浮かび上がった。
《等活地獄死霊王ラモール!》
《黒縄地獄死霊王スメルト!》
《衆合地獄死霊王グリムリーパー!》
《叫喚地獄死霊王ゼンゼンマン!》
《大焦熱地獄ディオス!》
《我らが冥界・地獄死霊王であるーっ!!》
威光を表すかのように、雷がギガギガアァァーッと黒雲から迸った。
そんな恐ろしい威圧にヤリオたちは戦慄する。
「ム、ムゥーッ! あの魔轟六将以上の威圧感だ……!」
「ああ! 我々で戦って勝てるかどうかも分からないぜーっ!」
「ガッガッガッガ! やるしかなかろう……。こやつらを倒さねば世界は地獄になるだけだーっ」
ヤリオは顎の汗を手首で拭い、完璧なゼロスすらも怯み、覚悟を吐くガイア。
冥界・地獄死霊王の影は不敵に「ヘルヘルヘルーッ」と笑っている。
「では地獄の晩餐といこうではないかーっ! いでよーっ!」
無間地獄死霊王デスは片手を振り上げて、なんと世界中でボコボコッと鬼が土から生えてきた。
そう冥界の住民であるオーガを数万人も地上界に召喚されたのだ。
単騎だけでも三メートル強の身長に筋肉隆々の体格、そして肌が赤くてツノが額から一対突き出ている。
「では地上界の人間ども、死ねーっ!!」
デスが振り上げていた手を下ろすと、オーガは一斉に駆け出して各地の国へ襲いかかる。
ドドドドッと土煙を立てて大勢で攻め込んでくるのだ。
人々は恐怖に陥り、逃げ惑うが、逃げ場などない。
ビビーテ町では、センプが聖斧を振り下ろす。
「デストラクション・ウェーブーッ!!」
扇状へ広がる衝撃波の津波がオーガ軍団を「ウギャアーッ!」と消し飛ばす。
他の騎士たちも得物を振るって抵抗。
ラゴンボ国にもオーガー軍団が攻め込んでいた。
しかし【絶斗戰志】リーダーである銀狼勇者チャムヤは銀に光る【聖剣ロガフーフケ】でオーラ狼を乱射!
念力魔道士オズッチは【聖杖チョノーキ】を掲げると、無数の岩を飛ばす!
技巧戦士クンリは【聖短剣エンザー】を両手に、円盤手裏剣を乱射!
四神武道家ハンシンテンは【三又聖剣シシンケ】で阿修羅を具現化して拳のオラオララッシュ!
「グルオオオーッ! かつて元魔王四天王として、見過ごすわけにはいかんーっ!」
そして更に元魔王四天王であるレオンメラまでもが、憤慨している。
四足によるマッハ突進で駆け回り、鋭い牙と爪はいかなるものも切り裂き、ライオンの頭に加え、両肩の竜と尻尾の蛇で同時攻撃を繰り出す。
それによって、数百人のオーガは「ギャアーッ!」と皆殺しされた。
「おう! 助かるぜーっ!」
「まさか敵同士で殺し合いしてた仲だったのにな……。へへ……頼もしいぜ……」
「今日の敵は明日の仲間」
「はぁ~い! こちらもいくわよ~! とうっ!!」
勇者たちの出発地点だったリュハーゾマにも地獄の手が押し寄せていた。
「そうはさせないぜーっ!!」
なんと王国反逆を企んでいた転移者軍団が奮起して、オーガーを蹴散らしていく。
かつてエルフを惨殺する事で王国を乗っ取ろうとしていたが、ヤリオによって怪我させられたのだ。今はもう完治している。
「ボクは山田矢田屋! くらえーっ! 聖短剣ヒブンショーッ!」
聖短剣を掲げると、範囲内のオーガーたちは酷い飛蚊症により命中率デバフを強制された。
「俺は卜部真澄! くらえーっ! 聖杖トウニョービ!!」
聖杖を掲げると、範囲内のオーガーたちは糖尿病を強いられて様々な症状があらわれて「グアア~」と苦しんでいく。
「俺は秋葉誠一郎! くらえーっ! 聖棍セイデンキー!!」
「ギャアーッ!!」パリパリーッ!
オーガーを殴ると同時に静電気による追加効果として絶命をもたらした。
そうドアのノブに触ろうとするとパリッとするアレの数百倍である。
「僕は江口正人! くらえーっ! 聖銃シャセー!」
両手の銃で乱射すると、寄生虫を撃ち込まれたオーガは「ギャアーッ!!」と体内からブチブチ食われて絶命していく。
この寄生虫は卵で撃ち出されて、獲物の体内に入り込むと高速孵化して速攻で成長していく。
成虫となって飛び立つが帰巣本能により、聖銃へ戻って卵に退行して実質無限に撃てる。
一番グロくて残酷な武器である。ヤリオよく勝てたな。
このように勇者たちが各地で奮戦して、大侵攻を食い止めていた。




