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28話「一つ目の巨人サイクロプスの脅威!」

 神聖都市を謙虚にしたヤリオたちは、黄金馬車で四日間の旅を続けていた。

 その間も「ギャアーッ!」とひき殺したモンスターの数々で、レベルアップは重ねられていった。

 上機嫌にリーザフは向こうに見える町を見据える。


「ほっほっほ。もうそろそろビビーテ町ですよ。今日はそこに泊まりましょうーっ」

「クアウブがいなくなった分を、ヤリオとセレティーンが補ってくれてるから退屈はしなかったなーっ」


 フェクルセも、クアウブが亡くなった傷も癒えてか余裕を取り戻していた。

 ギャンザもルンル~ンと鼻歌しているほどだ。



 着いたビビーテ町は森に囲まれた大きめの国で、城壁が周囲を囲っている。

 横切っていく道で、各地から人々が経由しているらしい。


「な、なんだーっ!? これはーっ!?」


 ヤリオたちは驚くしかなかった。

 城壁があちこち破損していて、破片が片付けられず散乱したまま。

 そして町の規模の割に寂しげ……。


「これは困りましたね。まるで怯えた町人が隠れているようですねーっ」

「魔王軍の侵略がここに来ているのかーっ!?」


 リーザフとフェクルセは勇者なので、この町の状況に憂いを見せている。

 ギャンザは「誰がやったのーっ!?」と怒り心頭だ。

 ヤリオとセレティーンは顔を見合わせて「まさか魔王四天王が……?」と汗を頬に流す。


「サイサイサイーッ! 魔王軍などではないーっ!」


 外から声がして振り向くと、突然城壁が粉砕されて烈風が吹き荒ぶ。

 ヤリオは見開いて「あ、あいつはーっ!?」と驚く。

 人型ではあるが、とても巨大で一つ目の緑肌で人外とわかる巨人だ。ギョロリと一つ目がヤリオたちを見下ろす。

 しかも二体もいる。

 ズンズン太く大きな足を踏み鳴らして、破砕した城壁を越えて町へ入ってくる。


「サイササーッ! 我らが魔族の中でも有名な一眼巨人(サイクロプス)の残虐コンビ! 俺はキンカーッ!」

「僕はギンコーッ! サイサイサイーッ!」


 二人揃って自慢するかのように棍棒を振るい上げた。

 ついでのように棍棒を振り回して、その辺の建物を木っ端微塵に砕く。まるで自らの力を誇示するかのようだ。


「このビビーテ町も最初こそ、騎士たちが対抗してくれて楽しめたがなーっ!」

「虐殺していくと、人間どもは諦めたのか面白くなくなったーっ!」


 サイサイサイーッと笑いながら話す残虐コンビに、ヤリオは拳を震わせる。


「ゆ、許せんーっ! 町や人をオモチャのようにしやがってーっ!」

「サイサイサイーッ! 何を言うかーっ!」

「きさまらも虫を見つけたら、同じようにやるだろうーっ? サイイーッ!」


 リーザフも怒ってて聖弓デスボウで光線をビビビッと放つ。

 しかしキンカーとギンコーは図体がデカいのに、ひょいひょい素早くかわしていく。

 フェクルセが聖剣ハカメで全身に電撃ほとばしるオーラをまとい、飛びかかると棍棒ごとキンカーの顔を吹き飛ばす。

 ギャンザも赤い糸をギンコーに包んで輪切りに散らす。


「おおーっ! 口ほどにもないヤツらだぜーっ!」

「そうね! それなら魔轟六将の方がよっぽど強かったわーっ!」


 絶命したはずの横たわったキンカーとギンカーの死骸からボコボコッと泡を吹いて断面図から再生して元通りになってしまった。

 つむっていた一つ目を開き、ニヤリと口角を上げた。

 二人とも何事もなかったかのように立ち上がった。


「サイサイサイーッ! 一眼巨人(サイクロプス)は、再生(さいせい)のサイを冠するだけあるのだーっ!」

「どれだけ致命傷を受けても、何度でも再生するのだーっ!」

「「「なんだってーっ!!?」」」


 リーザフ、フェクルセ、ギャンザは驚き、焦燥を帯びる。

 それでも何度も怒りに任せて攻撃を続けた。リーザフの光線が蜂の巣にし、フェクルセが斬り刻み、ギャンザが何枚おろしに輪切りにしても、キンカーとギンコーは余裕綽々で再生してくる。


「サイサイサイーッ! 痛くも痒くもないぜーっ!」

「こうやって、この町の騎士は疲弊していって、最後絶望のままに殺されたんだぜーっ!」

「きさまらも同じ末路を迎えそうだなーっ!」

「サイイイイーッ! この体ごと木っ端微塵に吹き飛ばさない限り、我々は死なんーっ!」


 嘲るキンカーとギンコーに、リーザフたちは息を切らしながら「くそ……!」と苛立ちと焦りを滲ませていた。

 ヤリオも苦い顔で「この聖剣アブゾリュートでも倒せんだろう……」と難色を示す。

 セレティーンも「どうすればいいのよーっ!?」とうろたえる。



「ならば、俺の出番だなーっ!!」


 なんと人影が現れたと思ったら、見知った斧を背負った男だった。

 それにヤリオとセレティーンは見開いた。


「俺はセンプ・フリマワー。聖斧ドーラの使いでである転移者、忘れたワケではあるまいーっ!?」


 なんと吸血鬼レンゾーマを相手に弱点を突かれて戦線離脱した、あの男が再び現れたのだ。

 大怪我して旅を諦めるかと思ったのだが……。

 しかし、こんな遠くにまで来て会えるとは思わなかった。


「サイサイサイーッ! また転移者転生者かーっ! どれだけ来ようとも無意味ーっ!」

「その自慢の斧で試すがいいーっ! 無駄だろうがなーっ!」


 再生力にかまけてて、笑うキンカーとギンコー。

 センプはニヤッとし、聖斧で薙ぎ払って扇状へ広がる衝撃波を放つ。すると津波のようにキンカーとギンコーを覆いかぶさった。

 それが聖斧ドーラの特殊能力。振るった先から衝撃波を広く放つのだ。

 つまり全体攻撃。


「グギャアーッ!!」

「ウギャアーッ!!」


 さすがのキンカーとギンコーも全身木っ端微塵に吹き飛ばされて絶命した。

 ヤリオたちはポカンとするしかなかった……。


「デストラクション・ウェーブなら、全身ごと攻撃できるからなーっ!」


 かんらかんら笑うセンプ。

 ヤリオとセレティーンは「やったなーっ!」と再会を喜んだ。

 こうしてビビーテは平和を取り戻して、寂れた様子に活気が戻って賑わいが復活した。

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