26話「神聖都市エラソウダの真相……!」
黄金像クアウブを売ったおかげで、リーザフたちは億万長者になった。
ヤリオとセレティーンは彼らが買った黄金馬車に乗って、神聖都市エラソウダへ向かっていた。
黄金馬車は馬を象った黄金のゴーレム二頭が引く荷台車で、全てが黄金に輝いていた。
しかも車輪はトゲトゲになっているので、阻むモンスターはことごとく「ギャアーッ!」とひき殺せる仕様だ。
「ほっほっほ。これはクアウブの生まれ変わりみたいなものです」
「三人になってしまったが、しょうがないか……」
「そうね」
リーザフ、フェクルセ、ギャンザは悲しみを表に出さず、前へ進もうとしているんだ。
ヤリオとセレティーンは察した。
「「「ギャアーッ!!」」」
三日間の間、何匹かひき殺したので更に二〇くらいレベルがあがった。
綺麗な建物で整った白い都市が第一印象の、神聖都市エラソウダ。
リーザフたちは黄金馬車をシュッと収縮して、異次元アイテム袋に入れた。これも貴重な収納アイテムなのだが、クアウブを売ったおかげで買えたのだ。
「ここは創造神イーバルンを信仰する巨大な宗教都市なのですよ」
「ああ、だがきな臭いウワサも聞く」
リーザフが説明してくれ、そして訝しげにフェクルセが付け足す。
「創造神イーバルン?? 女神さまの事か?」
「ああ。ヤリオを転生させた女神さまねーっ」
気になったヤリオがそう聞き、セレティーンが続けて言う。
「フェクルセ、ギャンザはヤリオと同様転生者でしたね……? 女神さまはイーバルンなんですか?」
「いや。これを見ろ。創造神イーバルンはあの像通りの風貌だーっ!」
「あんなのデタラメじゃないーっ!」
リーザフに振られ、フェクルセがとある像を指さし、ギャンザは憤った。
ヤリオとセレティーンは像を見てみる。
神聖都市の象徴として大きく作られた神様の像。白いヒゲを長く垂らす老人でイバラの冠をかぶって威張ってるかのように胸を張っている。いかにもな男の神様って感じの風貌だ。
「お……オレの知っている女神さまと全く違うではないかーっ!」
そんなヤリオにフェクルセは「ああ」と頷く。
「リーザフは国が移転術を行って召喚されたから知らなくて当然だが、私は女神イテンセーネさまによって、この世界に転生されたから知っている」
「そういう名前だったのか……。すぐ転生させられたから名を聞く間もなかったぜ」
「あたしも聞いてなーい」
ヤリオとギャンザはそのまま二つ返事でオッケーしてたから機会がなかったのだ。
フェクルセは汗を垂らす。
自分が死んだ事に納得が行かず、何度も話している内に女神様の名前を知ったらしい。
「わ……私は、もう地球へ戻れないと諦めて転生するしかなかったんだ」
「そうだったのか……」
「ともかく、あの像は存在しないデタラメだって事だ」
フェクルセは地球に未練があったらしい。
「私はエルフとして長く生きてたけど、創造神イーバルンなんてここに来るまで聞いた事なかったわーっ」
綺麗な都市の真っ只中を歩いていると、思ったより人通りが寂しげだ。
むしろコソコソしている住民が多い。
教会へ入ってみたら、荘厳としたステンドグラスにこもれでる光の帯、彫刻の壁が美麗だ。
「お邪魔します。どこか寂しげですが、宗教だから控えめなんですかね?」
リーザフは丁重な態度で神父に聞く。すると困った神父が頭をかく。
「……一〇年前までは、まだ豊かで賑わいがあった方ですよ」
「やはり、かの噂の悪魔神官かーっ?」
フェクルセがそう言うと、神父は「うっ!」萎縮する。
「一〇年前にこの国の王様が病死されたと、他の国ではそう聞きますがね……」
「セレティーン、そうだったのか?」
「ヤリオ、それは流布されたもの。でも謀殺されたって話を聞いてるわーっ」
「はい。エルフの嬢ちゃん、その通りですよ……」
ヤリオとセレティーンの会話に、神父は肯定した。
「全ては悪魔神官キオーナが元凶なのです……!」
これまで萎縮して覇気がなかった神父が、恨みがましく怒りを滲ませていた。
話によると、一〇年前に現れたキオーナが王様を殺して国を乗っ取った事で、厳しい戒律と重税で住民は長年苦しまされているという。
しかも、キオーナ自身は特権で戒律を無視して贅沢三昧している。
「それが悪魔神官たる所以なのねーっ!」
「そうなんですよ……」
ヤリオは汗を垂らして「グムーッ!」と憤りを覚える。
「それにこの一〇年間「ギャアーッ!」と惨殺された人は九九九九人と多すぎるくらいです……」
「そ……そんなに……!?」
「はい。死んだら二度と生き返りません。なんと酷い事でしょうか……」
リーザフとフェクルセは顔を曇らした。
彼らはクアウブを殺されているのだ。もう二度と会えない。
ヤリオとセレティーンも、魔轟六将戦で柴胡路州輝とレンゾーマ、ゼロス、悪魔騎士ガイアを失った事を思い出す。
「くっ……! 柴胡路州輝、レンゾーマ、ゼロス、ガイアたちとも二度と会えないもんなーっ」
「そうねーっ」
漫画やゲームのようにホイホイ簡単に生き返るようなものではない。
大怪我を負っているならともかく、絶命したら終わり。死は絶対だ。二度はないし、覆らない。
現実は非情だ。
こういう悲劇は二度と繰り返したくないと、ヤリオたちは決意を固くした。




