23話「魔轟六将が一人! 最強竜バハムートのディーオ!」
ヤリオ、セレティーン、ゼロスはようやく最上階までたどり着くと、そこは魔天城の広い頂上だった。四方でトゲの柱が囲んでいる。
見上げれば夜景に赤い三日月が浮かんでいる。
「こ……ここはーっ!?」
「最上階なのーっ!?」
「最後の魔轟六将はどこにいるんだーっ!?」
《グワオオオオオオオオオオオオオオーッ!!》
大気が震え、烈風が巻き起こって、魔天城を揺るがす。
急降下してきた漆黒の竜が翼を羽ばたかせながら、ヤリオたちを鋭い両目で見下ろす。
《よくも他の魔轟六将をも倒して、ここまで来れたものだなーっ!! この魔天空楼の間がきさまらの墓場となるーっ! 我こそが最強の魔轟六将! バハムートのディーオだーっ!!》
開幕で口から光のブレスを吐き、ヤリオたちは慌てて横へ飛んだ。
通り過ぎた膨大な光のブレスは向こうの山脈を吹き飛ばすほどの爆発球で膨らみ、その周辺を明るく照らした。そして振動が遅れて伝わって来る。
「な……なんという……破壊力だ……!」
「掠っても、あの世行きだぜーっ!」
ヤリオもゼロスも戦慄を覚えずにいられなかった。セレティーンも青ざめる。
さすが自ら最強と名乗るに相応しい魔轟六将のリーダーである。
《我が秘奥義【極大聖光波】を思い知ったかーっ! ならば死ねーっ!!》
急降下して襲いかかるバハムートのディーオに、横から悪魔騎士ガイアがタックルした。
巨体同士がぶつかりあって衝撃波が周囲に吹き荒れた。
ヤリオたちは「ぐぐうっ!」と腕で庇って、この場をこらえる。
「ガイア! 生きていたのかーっ!?」
「ガガガガ……! ヤリオ! ヤツは強い! みんなで戦んだーっ!」
「ようし! ヤリオ、一緒に聖剣で戦おうぜーっ!」
ガイアは巨腕で超高速パンチを連続で繰り出し、ディーオは竜の強靭な腕で超高速連打を繰り出して激しいラッシュの応酬が始まった。
互い譲らぬ激戦で、周囲に余波が荒れ狂っていく。
セレティーンは飛び上がって、複数の雷球を次々と蹴り出して「サンダーステラーッ!!」と撃つが、ディーオは翼を羽ばたかせて弾いてしまう。
「今度は俺だーっ!!」
駆け出したゼロスが天高く飛び上がって、聖剣パーフェクトでディーオの頭を殴打する。
すかさずセレティーンが火炎球を蹴り出して「ファイアーシュートーッ!!」と、ディーオの腹に爆発を炸裂させた。
そしてヤリオはありったけ長く伸ばした聖槍アブゾリュートで、ディーオの翼を貫通して「ギャアーッ!」と絶叫させた。
「いいぞーっ!」
「ようし! たたみかけるぞーっ!」
《舐めやがって!! もう一度喰らえーっ!! 極大聖光波ーっ!!》
「くっ! このままでは全滅するーっ!」
山脈をも消し飛ばす膨大な光のブレスを吐くが、ガイアが大の字で立ち塞がって直撃を受ける。
大爆発が膨らみ続けて轟音と共に眩い光で全てを照らしていく。
思わずヤリオは「ガ、ガイアーっ!」と叫ぶ。
煙幕が収まると、ボロボロのガイアが立っていて、ほどなく力尽きて重々しく床に倒れていく。
「ガガ……、我はこれまで……! ヤ、ヤリオ……後は託す…………」
ガイアはガクッと絶命し、ヤリオは「ガイアーッ!!」と悲しみに叫ぶ。
セレティーンも涙をこぼし、ゼロスも神妙に黙りこくる。
《くそーっ! 自らを犠牲に勇者どもをかばったかーっ! これで残り一発、もう力の無駄遣いはできんーっ!》
息絶えたガイアに、ヤリオたちは奮起してディーオへと挑む。
「ヤリオ!! ここは俺がヤツの隙を作る! そしたら思いっきり突くんだーっ!」
「ゼロスーッ!?」
「ガイアの仇は任せたぜーっ!!」
ゼロスは無敵の聖剣パーフェクトで、ディーオの鋭くて重くて速い猛攻を防ぎきっていく。執拗な連打攻撃にもゼロスは必死に対抗し続ける。
絶対に斬れない刀身で、バハムートの猛攻を防ぎきっているのだ。
「たとえ、いかにきさまの攻撃が熾烈を極めようとも、この聖剣を前では無駄だーっ!」
《確かに無敵の聖剣ではあるが、生身はどうかなーっ!?》
「ハァハァ……、確かに……体力の限りはあるか……! だが負けねぇ!」
《では、最後の力でまとめて吹き飛ばしてくれるわーっ!! 死ねーっ! 極大聖光波ーっ!!》
チャンスとばかりにバハムートは口を開けて、輝く光球を吐き出そうとしている。
「無駄無駄無駄だぁーっ!! そんなもの防ぎきってみせるわーっ!」
対抗するように吠えるゼロスは無敵の聖剣パーフェクトを縦にかざして、バハムートの極大光ブレスを受ける。
途方もない破壊が広がっていって、甚大な破壊をもたらす爆風が魔天城をも徐々に崩していく。
「ヤリオ!! セレティーン!! 今だーっ!!」
ボロボロに裂かれそうになる身を犠牲にゼロスは叫んだ。
「分かったわーっ! ヤリオ! 一緒に……!」
「ああ! こいつで決めるぜーっ! インフィニティ・ストライクランサーッ!!」
ヤリオはセレティーンと一緒に聖槍を構えて、長く伸ばす。二人分の魔力を吸収したそれは光り輝く光線のように伸びていって、極大光ブレスを貫通していきバハムートのディーオの胸板を貫いた。
「グギャアーッ!!」
ガイアの犠牲と三人の絆による聖槍がついに最強竜をも仕留めるに至った。
さしものディーオは「ゴボアッ!」と吐血し、その巨体が床へ沈んでいった……。
《ググゥ……! ま、まさか……最強竜であるこの我が負けるとは……! 信じられん……!》
ヤリオとセレティーンは真剣な目で見下ろす。
バハムートのディーオは《それが……きさまらの絆の力か……。見事だ……。完敗を認めざるを得んか……。グフオッ!》と苦悶に吐血して息絶えた。
「ったく、ムチャするもんじゃないぜ……。だが……悪くねぇ……な……」
ゼロスは力尽きて、横に倒れていく。しかし安らかな笑みでガクッと絶命した。
そんな彼にヤリオは悲しげな顔で「おまえがいなかったら勝てなかった」と敬意と感謝を表して頭を下げた。
もう崩壊した魔天城を後に、ヤリオとセレティーンはついに迷いの森を抜け出せた。




