21話「魔轟六将が一人! カーバンクルのサーネン!」
ここまで三人を犠牲にして進んでいくヤリオたちは、螺旋階段を駆け上って四階へたどり着いた。
ヤリオ、セレティーン、ゼロスは見開く。
「あ、あれを見ろ!」
「私たち同様、ここに来た人なのーっ!?」
なんと今度の広間は、闘技場のような真っ平らのグランド。周囲を囲む観戦席には魔物がたくさんいて、ワーワー盛り上がっていた。
そして緑色で光沢があるウサギみたいな獣人がいた。それを前に三人の戦士がいた。
どうやら戦っている最中のようだ。
「クルクルクルーッ! 勇者ヤリオどもよーっ! 魔闘演義の間へようこそーっ! 私こそが魔轟六将が一人、カーバンクルのサーネンよーっ!」
紳士のように丁重な仕草で頭を下げるサーネン。
「最初にデモンストレーションをお楽しみくださいーっ!」
「一体、何が始まるというんだ!?」
「クルルルルーッ! この三人の勇者は転移者転生者で、降伏して捕らえられた人間どもよーっ! だが、今回はこの私に傷一つつけれれば無条件で解放してやる事になっているーっ!」
ヤリオたちは絶句する。
「この転生者バルダーン、この聖槍ドラグーンの持ち主! 負けはせぬ!」
「こちらは転移者の山本四郎、この聖槌ガルバッチョの持ち主! 絶対勝つーっ!」
「転生者のベルモナ、この聖弓テルナーナの使い手! このまま最上階まで勝ち抜いてやるーっ!」
バルダーンは聖槍を抱えて突進すると龍を象ったオーラが包んで、凄まじい威力を発しながらカーバンクルのサーネンへ激突!!
凄まじい破壊力が荒れ狂って飛沫を噴き上げてクレーターに凹むが、バルダーンは弾き飛ばされて「ギャアーッ!」と後方へ落下して絶命した。
煙幕が晴れると無傷のサーネンが突っ立っていた。
「バカなーっ!? 無傷などありえんーっ!」
「なにか防御魔法でもーっ!?」
「この四郎! 絶対打ち負かしてみせましょう!!」
今度は四郎が駆け出して、大きなハンマーが更に巨大化してサーネンを潰すがごとく打ち下ろす。
するとなにか煌くと、四郎は「ウギャーッ!」と平らに潰れて絶命した。
……不可解な現象だ。
「このベルモナ! 射抜けぬモノなし! 喰らえーっ! 聖弓テルナーナによるダイヤモンドバレットーッ!!」
キラキラする矢を無数放つ。しかし突っ立ったままのサーネンに当たると煌めいて、跳ね返ってベルモナへ直撃して矢がグサグサ刺さって「ギャアーッ!」と絶命。
そう、サーネンは攻撃を反射する魔轟六将なのだ。
「クルクルクルーッ! 見たかーっ! 無敵の能力をーっ!」
自慢げに両腕を広げて誇示するサーネンに、観戦席の魔物どもが歓声をあげた。
「こ、こんなヤツを相手にどうすればいいんだ!」
「ヤリオ! 今度は俺が行く。その無敵を、本物の無敵で粉砕してやるぜーっ!」
ゼロスが自信満々と歩みだす。サヤから抜き出すは“なんでも斬れない”無敵の聖剣パーフェクト。
「だ、ダメだーっ! その聖剣は小さな虫すら斬れない役に立たない剣だーっ! 勝ち目はないーっ!」
「ヤリオは黙って見ていろ! 本当の真価をおまえは知らない」
「ウ、ウムーッ!?」
ゼロスは半顔で振り返って、真価を見せてやると言い出したのだ。
セレティーンはハラハラしている。
「クルクルクルーッ! 次は転生者の勇者かーっ! 同じように自らの力で死ねーっ!」
サーネンは剣を抜き放って、ゼロスへ襲いかかる。
なんと反射するだけではなく、凄まじい剣技で戦えるというのだ。完全無欠の魔轟六将としてゼロスと斬り合っている。
ゼロスも勇者としてここまで来た猛者。
「無駄無駄無駄無駄ーっ!」
しかしゼロスはサーネンの嵐のような剣技を上手く捌いていく。
「クルルッ! な、なんという完璧な剣技だ……! この私の剣がなかなか当たらんーっ!」
しかもサーネンの振るう剣技の攻撃力はかなり高い。
周囲に余波として斬撃が刻まれるので、あちこち亀裂が増えていく。たまに観戦席にいる魔物まで切り裂いて「ギャアーッ!」と血飛沫を上げて絶命させている。
「バカなーっ!? 何度斬りつけても、折れるどころか刃こぼれしないだとーっ!?」
「言っただろう!? この無敵の聖剣パーフェクトは、何度切りつけられても“絶対斬れない”のだーっ!」
「なにーっ!?」
絶句するカーバンクルのサーネン。後方へ飛んで様子見する。
ゼロスは聖剣をみせびらかして、刃こぼれ一つない完璧な刀身を誇示する。
「今度は俺の番だーっ!」
ゼロスが反撃と、駆け出す。
ヤリオとセレティーンは「斬れないのに、どうやって倒すんだーっ?」と気になった。
カーバンクルのサーネンも察してか「クククルッ 無駄なのはお前の方だーっ」と剣で構える。
ゼロスは思いっきり聖剣を振り下ろして、サーネンのかざす剣と交差させた。
「バカめーっ! 跳ね返されて自滅するがいいーっ!!」
サーネンの剣が煌くと、反射した攻撃力がゼロスの聖剣へ襲う。
しかし微動だにしない。
そのままゼロスが力任せに押し切ろうとググググと進んでいく。
「ば、バカなl!? もう一度反射だーっ!!」
何度も煌めかして反射を連発するが、聖剣パーフェクトはなんともない。
「そうか! “絶対斬れない”から、いくら反射されようとも無意味ーっ!」
「あの聖剣パーフェクトを折るなんてできないものねーっ!」
ゼロスはそのままサーネンの剣を叩き折る。
見開くサーネンを、ゼロスは聖剣で殴りつけて「グギャアーッ!!」と血飛沫を上げて地面に叩きつけた。
「確かに絶対斬れないが、あくまで斬れないだけで撲殺するのは可能だからなーっ! しかも絶対斬れない刀身はこの上にない鈍器になる。この硬すぎる刀身で殴られれば生きていまいーっ!」
「そ……そうか……。それで一方的に押し負けたという事か……。さすがだ勇者ゼロス、きさまの完璧な聖剣には完敗だ…………。ガクッ」
負けを認めたサーネンは息絶えた。
ゼロスは不敵な笑みでヤリオとセレティーンに振り返る。
「さ、さすがだ……! ゼロスは使いこなしてやがるぜ……!」




