表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

第4話 Dと3D!

作:佐藤そら

 だいすけというダンディーな男が現れてからというもの、ひろしとたくみの機嫌はあまりよろしくない。

 わたしがDと口にしようものなら、2人の表情は一気にこわばる。


 わたしは家の外に出るのも億劫になり、2階にある自分の部屋で読書をしていた。

 ふと、車のエンジン音が家の前で止まった。

 なんとなく気になり、わたしは部屋の窓を開ける。


 すると、見覚えのある高級車からDが降りてきた。


「うっ、うそ! なんで!?」


 声が届いてしまったのか、Dはわたしを見上げ、爽やかに手を振った。

 すると、車からもう1人降りてきた。

 手を振るDにまとわりつき、こちらを睨みつける。

 それは、間違いなくひろだった。


「こちらに来てくれないか?」


「えぇっ!?」


 動揺しつつも、足は部屋を飛び出し、軽やかに階段を下り、彼の元へと向かっていた。


「だいすけさん!!」


「やあやあ、ごきげんよう。やっぱりこのおウチだったんだね?」


「えっ?」


「うちのひろが、彼女はここにいるって突き止めて教えてくれたんだよ」


「ええ!?」


「言っとくけど、お前が Dに近づかないように見張るためだからな!」


 ひろは怒った様子だった。

 でも、かわいい。


「Dがお前の相手なんてしないんだからな! バーカ! バーカ!」


 頬を膨らまし、ひろはご機嫌斜めの様子。

 それでも、やっぱりかわいい。


 Dは切り出す。


「あの坊や2人組は、さすがに家にはいないようだね?」


「ぼ、坊やって……!」


「お嬢さん、今度、僕とドライブディナーデートをしないかい?」


「えっ!?」


 Dとドライブ、ディナー、デート!?

 3Dスリーディーだと思った。


「君を素敵な世界に連れて行きたい」


 すぐに、ひろしやたくみに怒られると思った。2人の顔がよぎる。

 でも、この高鳴る気持ちを止めることはできなかった。


「是非!」


 わたしは無意識のうちにそう答えていた。



 × × ×



 ついにやって来たDとのデート!

 つまり、ディートである。


 わたしは、遠足の前日のたくみのように全然眠れず、ひろしのような冷静さもすっかりなくなり、この日を迎えた。


「大変!」


 服装が決まったのは、Dとの約束の時間の10分前!

 わたしは慌てて梨を飲み込むと、まだ喉に梨がいる違和感を抱えながら、髪を整える。


 Dは時間ぴったりに車でわたしを迎えに来ると、高級車のドアを開けた。


「お嬢さん、こちらへ」


 こんなお高い車に乗るのは初めてだ。

 Dの微笑みと緊張にドキドキが止まらない。

 わたしは助手席に乗り、後ろから妙な視線を感じて振り返った。

 後部座席にはひろがいた。


「いる……!」


 思わず声が漏れた。


「当たり前だろ、Dは僕のなんだからな」


 ひろがいようとお構いなしに、Dは車を走らせた。2人っきりとは言えない、歪なデートは始まった。


 ドライブデートは、とても大人な気がした。

 ひろしとたくみと、3人で自転車を走らせる距離とはまるで違う。

 日が傾き、闇に吸い込まれていく景色を見つめながら、ふと窓に映る自分の顔がニヤニヤしていることに気がついた。


 コレが、ディート!


 高そうなホテルの夜景が見えるレストランへと案内され、わたし達は食事をした。


「どうだい? 焼き芋より美味しいかい?」


「はい、とっても! こんなオシャレで豪華な食事は初めてです!」


「それはよかった。君の初めてを貰えるなんて、僕は幸せ者だ」


 Dは優しく微笑んだ。


 その時、誰かの強い視線を感じた。

 視線の先を見ると、ひろがこちらを睨みつけている。


「あの……彼は……」


「気にしなくていい。ひろは、僕らを見守ってくれているだけさ」


 いや、見守ってるっていうか、ずっと睨みつけてますけど……。



 食事を終え、わたし達は外に出ると、夜景を見つめた。


「くしゅん」


「寒くなって来たね、そろそろ戻ろうか」


 Dは自分の着ていたコートを脱ぐと、わたしを包み込み、そのまま後ろからギュッと抱きしめた。


 バックハグ!?

 ズルい! ちょっと、こんなの反則じゃない!!


 Dは、まるで王子様だ。


 わたし……

『だいすけ』が『だいすき』ってこと!?



 恐れていたことが起きた気がする。


 変わらないはずのわたし達の三角形が、今、四辺形になろうとしていた……。



 × × ×



「はぁああ!! アイツ、Dと距離が近い! Dは僕のなのに!! Dは僕の!!」


 ひろは1人怒っていた。

第5話:『「やんのか、やんねーよ」』へ続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 突然のお家訪問からの3Dデートのお誘い、そしてバックハグ! かなり年下であろうと思われるお嬢さんを誘うDの真意がわからないけど、明かされる日が来るのか続きが気になります。 睨みながら見守る…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ