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絶望と光



「ラーレさん!!」


 侍女に場所を聞き始めてラーレさんの自室に入った。部屋の内装がどうとか気にしてる暇なんてない。


「お医者様、ラーレさんの容態はどうなんですか?」


 勢い任せにお医者様に突っ込んだ。マナーなんて気にしてられないほどに動揺していたのだ。ベッドに横たわるラーレさんは今まで見たことのないような青ざめた顔で、とても苦しそうだった。それに今にもいなくなってしまいそうな……いやそんなことはない。絶対に。


「とても、難しいですね。毒を持った人を見つけ解毒剤をもらうのが早いのですが、そこまで時間が持つかどうか。最善は尽くさせていただきます」


 どうして、ラーレさんが毒を盛られなければいけなかったの?私が先に飲んでいればラーレさんは助かったかもしれないのに。なんで先にラーレさんに飲み物を渡してしまったのだろう。



 いやそんなこと悩んでいる暇はない。毒を盛った人を見つけなければ。



 私は濡れた頬を拭いそのまま気合いを込めるため頬を叩いた。


「よし」


 飲み物に入っていたのだから、飲み物を入れた人、持ってきた人、コップを管理していた人が怪しいはず。だけど、一人でやるのであればコップ自体に毒を盛るのは違う人に毒がいく可能性があるから難しい。そもそも、単独犯なのか複数犯なのかどっちなんだろう。



 私は大広間に一度戻るため、廊下を歩いていた。考え事に夢中だったから、その気配に気づくことができなかった。


「このッ!」


 その声を聞き振り向いた頃にはもう刃物が振り下ろされていた。だけど、その刃物は私に突き刺さる前に弾かれた。


「しゅごまほうだ。あ――――」


 失敗したことを知ったその人物は逃げようとした。


「逃がさないッ」


 私は日頃の訓練の成果を見せつけるべくドレス姿のまま走り、人物の足を引っ掛け転ばせることに成功した。安堵したが余裕を見せては逃げられると思い、すぐにマナ石を使い捕縛した。


 すぐに近衛が来てその者を連れて行った。






「ラーレさん、すぐ、すぐに楽にしますから」


 私が捕まえた者の尋問が終わるまで私はラーレさんのすぐそばで待っていた。



 ノックの音が聞こえ騎士が部屋に訪れた。おそらく尋問の報告をしにきたのだろう。ラーレさんの自室で聞いていい話ではないだろう。私は席を立ち廊下に出た。


「それで、どうでしたか?」

「ラーレ陛下が力をつけることをよく思わない人物の犯行でした。複数犯でありあやつは口が軽かったようですぐに居場所を割ってくれました。そのうち私の仲間から報告が来るでしょう」

「そうでしたか、それで解毒薬は?」

「……それは、ないようでした。使い切りの毒だったようで誰も解毒の方法がわからないようでした」





 その言葉を聞いて私は血の気が引いていった。ない、ない、ない?なんでなんでなんで?じゃあラーレさんは助からないの?さっき私、あなたのそばで生きていくことを決意したばかりなのに?



「そんなのあんまりだよ…………ありがとう、もう戻っていいですよ」

「セレス様、お気を確かにお願いいたします」


 優しい騎士さんだ。私の心配までしてくれるなんて。私は力の抜けた体やっとのことラーレさんのすぐそばまで歩いた。



「ごめんなさい、ラーレさん。私のこと、いつも助けてくれたのに」


 そう、私をラーレさんはあの家から助けてくれた。それだけであなたの隣にいる理由は十分だったのに、またラーレさんに助けてもらってしまった。あなたが私をじって見つめる顔が、優しく見つめる目が、不器用ながらに優しく触ってくれる手が。とてつもなく愛おしい。


「あぁ今気づくなんて本当に私ってバカだわ。今あなたを失いそうになって初めてあなたを、好きだ、なんて。とても代えがきかないほどに愛しているなんて気づくなんてね。ラーレさん、どうか帰ってきてください。私はもうあなたがいないと生きていけなくなってしまいました」




 私は、泣きながらラーレさんの手を取り祈った。




 毒がなくなって、またこちらを見て笑う顔がみたい、と。





 その時私たちを淡く優しい光が包んだ。



 

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