第十一話 いざ!ロイドの森へ
「よし!シーオ!準備は良いか?」
「うん!ばんたん!」
「僕も大丈夫」
俺とシーオ、そしてシジュさんの俺達3人は今現在加護の大精霊がいるとされるロゲンの森に出発しようとしていた。本当は俺一人で行くつもりだったのだが、こうなったのには理由がある
その日、俺はシーオの家に行きロゲンの森に行く旨を伝えた。
「そういうわけで、俺は明日ロゲンの森に向かう」
「どういうわけなの!」
「い、今説明しなかったか……?」
「したけど意味わかんない!蛇を怖がってるハイド1人で森なんて絶対無理だよ!」
「グサ」
「そもそもそんなダイセーレー?なんて本当にいるかわかんないじゃん!」
「そ、それはそうなんだけど……それをこの目で確かめるためでもあるんだ!」
「そんなに行きたいなら私も行く!」
「でもシーオを危険な目に遭わせるわけには……」
「それを言うならハイドを危ない目にあわせなくないよ!」
「う、うーん……」
「シーオの言う通りだ。ハイド君」
「シ、シジュさん……」
「元々僕が言い始めたことだ。僕もそのロゲンの森探索に同行しても良いかな?」
「え」
「良いねパパ!
「え」
「僕だってハイド君を危険な目に遭わせるわけにはいかないからね。君のお母さんにそう伝えておいてほしい」
「わ、分かりました……」
そして今に至る。母さんも駆けつけ、シーオのお母さんも遠目から見守っている様子だ。
「ハイド!いつでも帰ってきて良いからね……!」
「母さん、分かってるって」
「シジュさん……ハイドをどうか、よろしくお願いします」
「安心してください。ロゲンの森については熟知しているつもりですから。じゃあハイド君。行こうか」
「いってきます。母さん」
「いってきまーす!」
そうして俺達はロゲンの森に足を踏み入れた。特に会話を交わすこともなく5分ほど歩いたところで沈黙に耐えかねた俺がふと疑問に思ったことを聞いてみる。
「シジュさん!前々から思ってたんですけどこの森、昼間なのに薄暗いですよね。やけに涼しいですし」
「君は知っているのかな?この森の伝説を」
「伝説……」
「でんせつってなにパパ?」
「でんせつっていうのは凄い昔の話がずっと言われ続けていたりする、そういう話のこと」
「そうなんだ!パパはでんせつ?」
「アハハ。パパは伝説じゃないかなぁ。それでこの森の伝説なんだけど……出るんだよ」
「で……出るって?」
「幽霊……ではないよ」
「お、驚かせないでくださいよ」
「すまないね。この森は昔から体の中から力が湧いて出るという伝説があってね。パワースポットって言い方が正しいのかな?」
「言われてみれば……確かに力が漲る感じが……」
「しかもこの力は奥地になるにつれて増幅する。だからこの森は何かがあるんじゃないかと踏んで研究している者もいるとの噂だ」
ここの地にはやはり何かがあるのだろうか……この世界の加護に関係しているのか?その答えは自分で見つけるしかなさそうだ。
「絶対に加護の大精霊を見つける……!」
同時刻、ロゲンの森に怪しい人影が3つ。
「にしてもリーダー。ここに加護の大精霊とやらがいるなんて本当なんすかー?」
「バカ。あの酒場の店主が言ってたんだから間違いねぇよ」
「そうだぜ。リーダーについていけば間違いねぇよ」
「そっすね!さっさと捕まえてやりやしょう!」
「売り捌けば俺たちゃ億万長者だぜ!行くぞてめぇら!」
「了解ですリーダー!」
「任せるっすリーダー!」
「加護の大精霊を見つけるのは俺達だ!」