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「可愛いは正義」それが通用するのは二次元だけ

現在なんの因果か知らないが、屋根裏から銀髪少女に刃を向けられている

その子は銀髪のショート髪で歳は17〜19ぐらいに見える。服装は白を基調として金色のラインが入っている。

やはり可愛い


「あ、あの〜俺、貴方になんかしました?」


少女は顔色一つ変えずに答えた


「お構い無く」

「いやいや、構いますよ。自分の命は一番構ってあげないといけないところですから。でないと理不尽に死んで理不尽に転生なんてさせられますよ?」


少女はまた淡々と、


「……今日のところは失礼します。ですが、私は常に貴方を見張っていますよ。それではおやすみなさい、いい夢を」


そう言うと少女は俺の腕を優しく振り解いてダガーを残し、屋根裏に戻っていった

俺はそのひんやりと柔らかい手に力を抜いてしまった

しかし…


「寝れるか‼︎」


いくら可愛い少女でも命を狙ってきたんだぞ⁈何が「いい夢を」だ!悪夢になるわ!


『アイツどうする?』

「まぁ、俺に気づかれたってことで諦めくれるならそれでいいけど、念のため明日法務局に届出を出すか」

『ダメだ!明日討伐クエストに行くんだろ⁈』

「別にクエスト終わった後ならいいだろ!それよりも今日睡眠が出来ないことの方が問題だ」

『じゃあ俺が見張っているか?それでまた狙ってきたら叩き起こしてやる。寝てる間なら少しは貴様の体を動かせるしな』

「それはありがたいが、お前は寝なくて大丈夫なのか?」

『あぁ、悪魔は睡眠なんていらないからな』


なんと便利だこと









翌日、ギルドにて…


「今日はどんなクエストにすんの?」


俺は眠気から気怠い声で言った

それとは裏腹にシカは神妙に、


『なぁ何か視線を感じるんだが…?』

「視線?」


後ろを見るとギルドの出入口からじっーと見つめるあの少女の姿があった。

だが、俺が目を向けると同時にさっと隠れる。

つけられてるのか?もしくは告白でもされるのか?


「じゃあ今日は警戒してクエスト諦めるか」

『いやあれとこれは別だ』


ですよね〜


そして俺はスウェルイグアナ討伐のクエストを受諾した









街から見えないぐらいの距離の野原につくと、


「おい、シカあれやろう。背中から炎噴射するやつ。それで目的地まで飛んでこう」

『オーケー』


俺は背中から炎を噴射させ、スウェルイグアナ生息地域まで飛んだ。

これならあの銀髪も追いつけないだろう。









「よし、あの速度で来れば大丈夫だろう」


湿地帯に着くと10体ほどのイグアナがグチャグチャと泥で戯れていた。


「さぁ、ちゃっちゃと終わらせるぞ」


俺が右手を構えるとシカは俺を呼び止めた


『…おい』


「なんだ?」

『いるぞ』

「何がだ?イグアナならそこら中にいるだろ」

『違う。アイツだ』

「は?」


何を言ってるんだと思ったが、数秒で俺は勘づいた


「あの少女か?」

『そうだ』


マジかよ…あの銀髪少女ここまでつけてきたのか⁈

なんだ?重度のメンヘラか?けど今まであんな奴と関わってこなかったぞ


「それでどこにいるんだ?」

『ほらそこだ』


シカは俺の体を使い、目の前を指差す。だが、俺には銀髪少女ではなく深緑色のイグアナしか見えん


『…どうやら貴様は体の感覚は俺と共有してないようだな。俺の目は相手の付与魔法とかは見ることが出来る。現に貴様だけ透明化してるアイツを見れてないようだしな』

「透明化⁈」


てっきりこのイグアナに変化してんのか思った。

しかし透明化か…この世界にはそんな夢のようなスキルがあったのか!


「じ、じゃあ今目の前にあの少女がいるんだな?」

『あぁ』

「君!名前は?歳は?…好きな男性のタイプは?スリーサイズは?男性にキュンとする仕草は?」

『何聞いてんだ⁈そうじゃないだろ!』


魂内でシカのキレのあるツッコミが響く


「へー、悪魔ってツッコミ出来るんだ。ナイスツッコミ」

『うぐ…』


俺が軽く煽ると魂内でシカが照れるのを感じた。

しかし可愛くはない


「改めて、君の目的はなんだ?どうして俺を狙う?」


「……………グルゥ」


少女の声は聞こえずに俺にはイグアナの唸り声だけが返された。

それにしてもこの絵面は…


「……答えてくれないと俺が話し相手がイグアナしかいない人みたいに見えるから早く答えてくれ」

「お構い無く」


今度は少女の声だけが返された。


またそれか…


『あっ…!』

「どうした?」

『逃げた』

「はっ⁈」


ここまでずっとつけてきたのかと思ったら逃げ出して…銀髪少女……その行動は謎のままだ


この後無事クエストを終えた俺は届出を出すために法務局に向かった

一般的なこの世界の冒険者は行政機関なんぞに頼ることも無いだろうが、普通はストーカーされたら被害届ぐらい出すものなのだ





「身分証明書ある?」


は?


「今なんて?」

「いやだから身分を証明できるものはある?それがないと届出は出せないんだよ。こっちもいろいろ書類書かないといけないし、不審者の依頼を受けるわけにもいかないからね」


目の前の窓口にいる行政員は何を言ってるんだ?

身分証明書?西洋の中世に身分証明書だと?そんなもん転生者の俺が持ってるわけないだろうが!

くそっ!身分証なんて物があるなら渡しておけよ!何してんだあのニート女神は!


「ちょっとすいません」


俺は行政員の人に断りを入れると一旦トイレの個室に座り込んだ


「どうする、もう自力でやるしかないのか?おいシカ、今の俺であの人に勝てると思うか?」

『余裕だ!俺の炎は一度燃えれば生命が活動不可能になるまで燃え続けるからな!一撃でも当てれば並の人間は死ぬ』


本来なら命を賭けるなんて心の底から嫌だが、こうなった以上仕方がない。覚悟を決めるか。


「よし!常につけてきてるなら明日にでも奴をぶん殴る!女だろうと関係あるか!」

『それはいいけどよ。なんでトイレに…用を足すわけでもないだろう』

「しょうがないだろ、ここでもないとあの少女に聞こえちゃうだろ?」

『ん?いや、アイツなら今でも覗いてるぞ。上を見てみろ』


え?


俺は恐る恐るを顔を上に向けると、そこにはあれほど顔色一つ変えなかった少女が…


体を傾けたことで瞳に映じた俺の下半身を見るや否や、


「プフッ、可愛い」


俺はその嘲笑に怒りの沸点を超え、その場でたち上がって、


「おい!今笑ったよな⁈ふざけんなよこのストーカーが‼︎明日首洗って待ってろ!テメェを縛り上げて法務局(あそこ)に突き出してやるからな‼︎‼︎」





そして俺は逃げ道が限られ、ギルドから地図が貰える探索済みダンジョンの残存モンスターの討伐クエストを受諾した。



俺は意を決してダンジョンに足を踏み入れる



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