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初めてそこに足を踏み入れた時は緊張する

「来たぞ!来たぞ!現れたぞ!」

「今日も来たか」

「予告状になんて⁉︎」

「いつも通りだよ!」


その夜自警団が騒ぎ立て全員が事務所を飛び出していった


「ちょっと…!」


俺は現状把握のため自警団の親玉を呼び止めた


「クエストの不審者についてなんて何も聞いてないんですが…」

「何?聞いてないのか?」

「はい、見学の後にすぐこの騒ぎだったので…」


親玉は怒気に満ちた声で話した


「アイツの名はナンバ。毎日予告状を寄越しては我らを挑発し、街中を逃げ回るクソ野郎だ」

「挑発?」

「予告状を見てもらえればアンタもこの気持ちがわかるだろう」


そう言うと親玉は内ポケットから折り畳まれた手紙を俺に渡してきた

その予告状と書かれた手紙にはなんとも目を疑う内容が書かれていた



~~やぁ、童貞の自警団諸君。女性耐性はついたかな〜?無理かwなんなら女性紹介してあげよっか?やっぱり会話できないからおすすめ同人誌のほうがいいかwまぁどちらにしろ俺を捕まえないといけないけどな。今日も走り回ってるから、しっかり街中を探して追ってきてね〜性器だけ盛んな中学生たち。ナンバより~~



「こ、これは…」


俺はあまりにくだらない内容に呆気にとられた


「こんな感じの煽った内容の予告状を毎日寄越してくるのだ!ナンバの野郎!今日こそは引っ捕らえてボッコボコにした後で女の子を紹介してもらう!」


帰ろっかな


「前までは皆夜中は自慰行為の時間で各々自宅に帰っていたのだが、ある時から予告状が届くようになり、あの内容だから皆自棄になって探し始めるようになった…それから暫くしてアイツは夜中に街を走り回る不審者として指名手配された」

「指名手配?懸賞金は?」

「10万ニートだ」


よし、やってやろう


「シカ、出番だ!」

『やっと俺の出番か。忘れてたんじゃないだろうなぁ⁉︎』

「魂内にいるのに忘れるわけないだろが」


俺は事務所を飛び出して足に思いっきり力を入れて跳んだ


「う、うわぁぁぁぁ!」


すると俺は三階建てほどの高さで宙を舞った


「な、なんでこんな跳んでんだ⁉︎」

『あぁん?これくらいでビビんな』


なんとか俺は建物の屋根に尻から着地した。しかし煉瓦造りの屋根のためクソ痛い…


「痛っ!どうなってんだ?」

『どうやら魔法だけじゃなくてカイセイの能力の殆どが俺に依存するらしいな』

「依存?つまりこの身体能力はシカのやつってことか?」

『正確には俺が人間規格になった能力だ。だから魔法の火力も本来のものは出せない』


じゃあ本来はあの大蛇を一撃で焼いた火炎放射以上のものってことかよ…

あんまりシカを怒らせないようにしよ…

俺は改めて悪魔の恐ろしさを知った


『おい!いつまで立ち止まってんだ⁉︎早く動け!鈍いやつは嫌いだ!』

「すいません!」

「その喋り方やめろ気持ち悪い!」


つい目上に逆らえない社畜時代の癖が出てしまった


今度は加減をして自警団が騒いでる方へ足を踏み出した


ドン!







一方、童貞自警団は…


「奴はどこに行った⁉︎」

「この先を右だ!」


自警団はナンバを追って右に曲がると全員、動きが萎縮した


「こ、ここは…」


その光景を見て数十メートル先にいるナンバが煽り口調で話し出す


「あれ〜どうしたの〜?追って来ないの?あぁそうか!ここラブホ街だからみんな萎縮しちゃってるんだね!まぁ無理もないか、君たちはまだ心は中学生だからまだ入れないもんねww」


「調子に乗るなよナンバ!毎回風俗街とかラブホ街とか通りやがって!こ、こんな場所も、もう慣れたわ!」

「そうだ!べ、べつに萎縮なんてしてねー!」


またナンバは煽り口調で、


「じゃあ早く動いてみてよ〜」


その言煽り言葉に自警団は怒りなりながら、


「この野郎!いくぞおめーら!」

「うぉぉぉぉ!!」


自警団は再び走り始めた。

緊張しつつ


「そうそう、しっかりね」


ナンバは密かに囁いた


「ナンバ!今日こそ…」

ふと自警団の1人が足を止め、ラブホ街の路地裏に目を向ける


「おい!何人か残れ!」

「なんだ⁉︎」

「あれを見ろ」


自警団が指差した方向には路地裏でリンチされてる男の姿があった


「助けろ」

「……了解です。おいガチラン、アバメ!アイツを助けるぞ!」


「残りは引き続き俺らの敵、ナンバを追うぞ!」


「「「おう!」」」


自警団は再び走り始めた。

緊張しつつ




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