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好きなことで生きるのは大変。知らんけど。

「起きてください。起きてください」


俺は久々に聞いた心のこもった声で目が覚めた


「朝か…会社に行かn…あれ?」


起きるとそこには殺風景な空間に美女が椅子に腰を掛けていた


「私は女神。相馬(アイバ) 海生(カイセイ)さん貴方は過労によって死んだのです」


え?死んだ?たしか俺は終電で誰もいない自宅に帰って…疲れてそのままベッドに倒れ込んだはず…


ってあのまま死んだのか…


まぁずっと朝起きること自体が億劫だったし、会社に行こうとしたら震え出したこともあったし、あんなブラック企業で働いてれば過労死もするか…


思えば、後悔しかない24年間だったな。ずっと大学まで友達出来ず童貞のまま中退。コミュ力足らずでブラック企業に就職。どんなに働いても常に忙しくなっていく仕事。そして過労死…


ハァ〜、こんなことならニートになって死にたかったなぁ

しかし!この殺風景な空間に美人がいるということは⁈


「そこで哀れな貴方には転生のチャンスを与えます」


キタキタキタ!待ってました!社畜人生の一縷の希望だった異世界転生!


「貴方の転生先は魔神が頂点に坐し、様々な冒険者たちが奮闘する異世界です」


なるほど、よくある世界観(やつ)か…それにしても異世界か。現世では働き詰めの人生だった分、異世界ではニートライフを楽しみたいなぁ


「そして貴方には、冒険者となって魔神を倒してこの異世界を救ってもらいます」

「ん?」


魔神?冗談じゃないぞ。仕事に命を賭けるのはうんざりだ!俺はもう働かないぞ!


「しかし、過酷な異世界に手持ち無沙汰は心許ないでしょう。そこで、我々女神たちはそんな人たちに転生先の地位を選ばせたり、自分の能力を一つプレゼントしたりしているんです」


地位なんてのいらないな、俺は世界一の自由人(ニート)になるんだ。それよりも能力だ。けど、女神(自分)の能力ってどういうことだ?


「自分の能力をプレゼント?どういうことです?」

「はい。女神も流石に当人がご希望の能力を即興で与えるなんてことは出来ません。ですので、女神たちが元々持ってる数多の能力を一つだけ貴方に与えます」


なるほど、この世界ではそういう仕様なのか。

まぁ、能力を選べるなら変わりはないか


「じゃあどんな能力が選べるんです?チート能力とかあります⁈できれば静かな土地と美少女をつけて欲しいんですけど…」


「は?」


ん?どうしたんだ?この手の状況だとあたりまえの質問しただけだと思うのだが、女神様はキョトンとした顔になってしまった…


「はぁ〜またですか」


すると女神様はワンテンポ間を空け、顔を下に向けて髪をワシャワシャと掻き出した。

あと声色も変わったような…


「居るんですよね〜死んだらチート能力で自分の思い通りに出来ると思ってる勘違い一般ピーポー」


一般ピーポー?


「いやいや、よく考えてみろって。たかが一般ピーポーに自分のチート能力あげるわけないじゃん!」


どうやら女神様はどっかのスイッチが切り替わったらしい。俺のお淑やかな女神のイメージは完全に崩れた


「そりゃ、前世で兵隊とかに入ってた戦闘のエリートさんなら話は別だけど。一般ピーポーに?それも社畜ぼっち童貞に?ないないない!ホントにもう思い上がるなっての!アッハハハハ」


この女神…!


「けど、異世界転生が決まったの人は規則で能力は与えなくちゃいけないんだよね〜。だからそんな一般ピーポーには自分の能力でいらないやつを上げるんだよね〜」

「え⁈俺が能力選べるんじゃないのかよ」

「そうよ。そうね〜ぼっちだった君には……あぁ、そういえばアイツ最近近くの住民に迷惑かけてて止めるよう女神()に住民が願ってたわねー。ならアイツをあげることしよ」


この切り替わった女神はもうさっきまでの優しい口調の面影も無くし、それはまるで気だるいニートのそれであり、言動はやっつけ仕事かのように感じる


「ちょっと待って!そんないい加減な。せめて要望ぐらい聞いてくれてもいいだろ⁈」

「あぁ〜もうそうやって納得するまで交渉につきあうの面倒なんだよねー」


パチンッとこの女神が指を鳴らすと俺の真上から光が射してその光源へと引き上げていく


流石におかしい!こいつホントに女神か!思慮はないのか!


「おい待て!殆ど…っていうか全てあんたが決めてるじゃないか!俺に権限はないのか⁈」


「そんなのもう過去の話よ!今じゃあ女神と一般ピーポーじゃ権限なんて10:0よ」


「こんないい加減なことがあるか!転生者クライアントの要望を聞くのも女神の職務だろうが!」


「もうそんな堅苦しいの飽きたわよ。それじゃあ他の案内もあるからアイツと仲良く魔神倒してきてねー」


「この社内ニート女神がァァァァ‼︎‼︎」


俺はそのまま光の中に消えていった 





目覚めるとそこには中世特有の煉瓦造りの建物が並ぶ町に剣士や魔法使いが平然と歩いている景色が広がっていた。俺はあまりにイメージ通りの町並みに異世界と確信した


「マジであれコスプレじゃないんだよな」


もう社内ニート女神のこといいや。異世界に転生しただけで勝ちだ。残念だったな社内ニート女神!異世界に来ればどんな能力でも魔神退治なんてサボってやるわ!よし!第二の人生は最高の自堕落人生にするぞー!

俺は強く決心した


『おい』


ん?どこかから低い唸り声が聞こえたような気がした…






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