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リヴルとアハートの旅行日記 #4

 聖華歴837年 3月


 私達は工業都市マギアディールまで帰ってきました。

 約8カ月掛けて、2人でいろんな街を巡って来ました。

 こんなに長い間、タカティンと離れて行動したのは初めてでしたが、アハートさんが一緒だったのでとても新鮮な経験でした。


「あぁ、戻って来ましたね。長い旅行でしたけど、なんだかほっとしますね。」


 アハートさんも懐かしのマギアディールに戻って来た事で、幾分かの安心感と寂しさを感じているようです。


「さぁて、戻ったら状況を確認して、また頑張りますよ。」


「私もタカティンと会うのは久しぶりなのです。いっぱい旅の土産話をするのですよ。」


 私達は軽い足取りでリヴェルタ商会に戻りました。


 *


「あー、かいちょ、良かった、無事に帰ってきてくれたぁ!」

「会長、おかえり。帰ってきてくれて凄く嬉しい!」

「お帰りを心待ちにしていたでござるよ〜!」


 リヴェルタ商会に到着するなり、ロアさんとミーシャさん、それにナドさんが出迎えてくれました。

 3人共、アハートさんが無事に帰還した事が嬉しかったようです。


「ただいま帰りました。」


 アハートさんも3人に出迎えてもらって、とても嬉しそうです。


「さっそくだけどかいちょ助けて! あの人鬼過ぎる。」

「驚くくらい人使いが荒いの! このままじゃ過労死しちゃう。」

「溜まってた案件を処理する為とはいえ、あそこまでこき使われては保たないでごさるよ〜!」


 3人は即座にアハートさんに泣きつきました。


 「「「もう無理〜〜!」」」


「……はい?」


 アハートさんは目が点になっています。


 *


リヴェルタ商会会長室。

扉は開かれたまま、社員達が入れ代わり立ち代わりで出入りしています。


「この書類は市役所に行って認可を受けて来てくれ。……君、この試算のここが間違っている。一からやり直しだ。」


 会長室ではタカティンが次から次へと書類を捌き、社員達に次々に指示を飛ばして動かしていました。


「ロココフーズからの納品数が事前の打ち合わせと食い違っている、すぐに担当者に確認したまえ。」

「はいっ、ただいま!」

「デルフィン商会との価格交渉はこの見積書の通り進めてくれたまえ。3%までは妥協しても構わない。」

「判りました、そのように。」


 皆、必死の形相です。


 彼は会長室に入った私達に気が付き、顔をこちらに向けました。


「帰ってきたか。お前達が居ない間に滞っていた案件の7割を片付けておいたぞ。」


 タカティンはこれまでの業務に関わる書類の束とデータ一式を帰って来たばかりのアハートさんに渡し、それから大きく伸びをしました。


「ふぅ、やっと私も一息つけるな。」


その一言を聞いた社員達が安堵の表情を浮かべました。

一方でアハートさんは書類とデータを確認してから、ふるふると震えています。


「……あの、これ、マジですか?」


「あぁ、いや、なかなか骨の折れる作業だったが、その分やり甲斐があって楽しかったぞ。」


「面倒な案件の大部分が片付いているのは良いとして……、なんでウィッシュスター特技研と業務提携契約が成立しているのか、説明してもらえますか?」


「あの集団が悩みのタネだったのだろう? だから監視がしやすいように業務報告が逐一上がるようにしたのだ。その為に多少の資金提供を必要とするが、契約上はリヴェルタ商会の資本に影響が無いレベルの範囲に収めてある。」


「……あとの面倒は……これ……私、ですよね?」


「ふむ、当然だ。」


 それを聞いて、アハートさんは卒倒しかけました。


「さてリヴル、旅行はどうだった?」


「とっても楽しかっのです。思い出話がいっぱいあるのですよ。」


「そうか。では聞かせてくれるか、旅の話を。」


 タカティンが嬉しそうに私の頭を撫で、私も安心感と嬉しさをいっぱい感じました。

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