二人の関係
「リヴルさん、貴女の事が好きです。僕と付き合ってください!」
少年はリヴルと二人きりになるタイミングを見計らい、意を決して切り出した。
彼とは特別親しいというわけではなかったので、リヴルは驚いてしまった。
「ふぇ? ……少し考えさせて欲しいのです。」
*
「この子は私の特別な宝物だ。誰にも渡す気など無いぞ。」
リヴルを後ろから軽く抱きしめて、タカティンはそう宣った。
シュタール邸にて。
「むぅ、恥ずかしいのです。」
気恥ずかしそうにリヴルは呟くが、実に嬉し恥ずかしいという表情を浮かべている。
リヴルが近所の少年から交際を申し込まれたという話を、タカティンが聞いた直後の事である。
その少年はリヴルとタカティンがシャーリアンに居着いてから出来たリヴルの友人の一人だった。
「……だが、リヴルがどうしてもと言うなら、考えんでもない。私はリヴルが大事だが縛り付けたいわけでは無い。リヴルの意思は尊重したいと思う。」
その表情は本当に優しげで、でも寂しげで、実に複雑なものである。
「大丈夫なのですよ、リヴルはずっとタカティンの側にいるのです。離れたりはしないのですよ。」
タカティンの手にそっと自分の手を重ねて、リヴルはそう言った。
「そうか。」
その一言とともに安心したような表情を見せる。
『親バカとファザコンの見本のようですね。』
と、ここでスクルドが茶々を入れた。
「むぅ、親子では無いのです。リヴルの方が年上なのですよ。」
「いや実際スクルドの言う通りにしか見えないって。正直、リヴルの方が年上ってのは誰も理解し難いよな。」
ディジーも肩をすくめて笑っている。
カトレアはこのやり取りを微笑ましく眺めている。
「あらカトレア、やけに大人しいですわね。」
「私が誰それ構わずに嫉妬するとでも?」
澄まし顔のカトレアにダリアは内心おやおやと思いつつも、それ以上は突かない。
下手に怒らせると後が怖いから。
「さて、では交際を申し込まれた返事をどうするか決めなくてはな。交際しないのなら出来る限り穏便に相手を傷つけず、尚且つ確実に諦めがつくようにしなくてはな。変に希望を持たせて勘違いさせても可哀想だし、後々面倒だ。」
「そうなのです。誠心誠意を持ってお断りするのですよ。」
そう言ってお断りのシュミレーションを十数パターン構築し始めたタカティンとリヴルの顔は実に楽しそうであった。
『なんというか、似たもの同士ですね、この二人。』
スクルドの呆れ声にフロイラインズの三人は深々と頷いた。





