Sleep‥‥
人物設定としては
真央·····双子の兄(一人称:僕 )
莉央·····双子の妹(一人称:ボク)
現実にはない病名がでてきます。
メリーバッドエンドに近いかもです。
視点が入れ替わります。
その都度side〜と書きますが分かりにくかったらごめんなさい。
最初は莉央視点で話が進みます!!
ボクと真央は双子だ。
あーボクとか言ってるけどボクは女。
そして真央は男だ。
一応ボクは妹。
昔からボク達は仲が良かった。
髪の色や瞳の色、口癖などほとんど同じだ。
一人称も多分真央が‘’僕‘’って言ってるのを聞いてボクも‘’ボク‘’って言うようになったんだと思う。
高校も同じ所へ通っているがボクは文系、真央は理系だ。
よく2人で
「得意な教科まで一緒だったら良かったのになー!!」
って話したっけ。
小学生のとき2人で公園の木に登って怒られもしたっけ·····
なんで今思い出したんだ?
随分と懐かしく思えるなー。
あれ?なんか真央に話しかけられてる?
「莉央ー。早く起きろよ遅れるぞ。」
「え?今何時?」
「8時だけど。」
「はぁー?遅刻すんじゃん!!なんでもっと早く起こしてくんないの?!このバカ真央!!!!」
「僕は何度も起こしたよバカ莉央さん。とりあえず早く準備したら?」
キレそう。
だが確かに早く準備せねば·····。
ボクはさっさと準備する。
髪を結ぶ時間は·····ないな。
まぁいいや、学校で髪の毛いじり好きな子にでも結んでもらお。
さっさと準備を済ませると玄関から
「莉央はやく!自転車の後ろ乗せてってやるから」
と真央が呼んでいた。
あー助かる。
テスト期間でよかったー。
普段真央は部活の朝練(サッカー部)でいないからボク(帰宅部)は1人で歩いて通学なのだ。「今行く!」
そう言ってゼリー飲料を手に取り玄関へ向かった。
「ヒュー。今日も朝から夫婦で登校ですかい?」
「うるさい。寝坊したから乗せてくれただけ。」「莉央が寝坊って珍しくない?」
教室に入ると窓から見ていたのであろう友達が話しかけてくる。
「あー。全然数IIがわかんなくて真央に聞いてたらそのまま寝た」
「なるほどねー」
「ってか先生来るじゃん!莉央はやく準備しなきゃ!」
「ホントだ。」
ー授業後ー
「あー今日も疲れたねー莉央。」
「やっぱり数学わからん。真央にまた聞かなきゃ」
「もー莉央が数学まで出来たら天才になっちゃうじゃん!!やめて!」
「なんでよw別にほかの教科もすごいできるわけじゃないし」
「またまたー。学年1割は余裕なのにー」
そんな他愛もない話をしていると·····
「莉央、帰ろ。帰ってから参考書買いに行くんだろ?オススメのやつ教えてやるよ。」
と真央が来た。
「んー。ゴメン帰るわ。また明日ね!」
バイバーイと友達に手を振りつつ真央と帰る。
その後1度家に戻って着替えたあと2人で歩いて近くの本屋へ行った。
新しい参考書を買って帰る頃には日も傾きかけていた。
「莉央ーはやく帰ろー。僕お腹空いたー」
「子供かwww」
そう言って2人で横断歩道に差し掛かったときだった。
突然軽自動車がブレーキもかけずに突っ込んできた。
「莉央!!」「真央!!」
同時に叫ぶ。
真央がボクをかばおうと抱きしめようとする。
だが遅い。
2人で勢いよくはねられて吹き飛んだ。
『神様。せめて真央だけでも·····』
そう思ったとき私の意識はブツリと途切れた。
「うっ。」
頭痛で目が覚める。
ここは·····病院?
私·····生きてる?
ハッ!真央は?
大丈夫なの?
「莉央?大丈夫?どこか痛いとか動かないとかない?」
とお母さんとお父さんが心配そうに聞いてきた。
「頭痛がするぐらい。それより真央は?」
「真央も大丈夫よ。さっきまで起きてたんだけどね·····。2人とも無事でよかった·····」
よかった。
ふと酷い眠気がボクを襲う。
ボクは眠った。
この眠気がボク達双子を阻む大きな壁になるなんてこの時は誰も予想していなかった。
「ここ?夢?」
ボクは見慣れた景色の中にいた。
だが全てがモノクロの世界。
傾いている太陽でさえも。
「学校も本屋も家も、線路も海岸もそのまんまの配置だ。」
ふと線路の方を見ると線路の向こうに見慣れた人がいた。
真央だ。
しかもカラーで。
話しかけてみようと思い、線路を渡ろうと近づいた瞬間、遮断機が降りてしまった。
『ちゃんと電車まで走ってるんだ』
なんて思っていたがいつまで経っても電車は来ない。
その時急に目の前に霧が出た。
不思議だ。
ボク達の間だけにあるのだ。
不安になりその先にいるであろう人物に向かって叫ぶ。
「真央!!」
返事はない。
霧の中で電車の走る音が聞こえる。
電車が走り去り霧が晴れた時にはもうそこに真央はいなかった。
〜side真央〜
目が覚める。
なにか不思議な夢を見た。
まぁ気にするものでもないだろう。
「おはよう。そういえばもう退院していいってどうする?」
母さんが聞いてきた。
「莉央はまだ退院出来ないの?」
前目覚めたときに隣で莉央が寝ているのを見たので無事なことは知っている。
「莉央も目覚めたら退院できるって」
「それなら一緒に退院したいんだ。いい?」
「まぁ、いいわよ」
「ありがとう」
眠気が来た。
疲れが溜まっているのだろうか·····?
「ゴメン、寝るね」
「わかった。ゆっくり休んでね」
きっと明日になったら莉央も目覚めるだろう。
「おやすみ、莉央」
そう言って眠った。
「ふあぁ〜。今何時?」
ボクは日付を見た。
え?
嘘だ。
日がとんでいる·····
そんなに疲れていたのだろうか?
「おはよう。莉央。ふぅー莉央も目覚めたから2人とも退院できるわね。こういう時に限って寝て·····」
お母さんが真央を起こす。
真央はまだ目覚めない。
「別にいいのにw」
と言うと
「何言ってんの!入院費用だってバカにならないんだからw」
と言われた。
ソウダッタ。ニュウインシテルンダッタ。
その時、急に視界が歪む。
とても眠たい。
あんなに寝たのに·····。
横では真央が目をこすっていた。
〜side真央〜
「あれ?ここ?夢ん中だよな?」
僕は電車内にいた。
車窓からは見慣れた自分の街が見える。
·····そうだ。
不思議な夢もこれだった。
この間は電車を降りた瞬間に
莉央の声を聞いた気が·····。
霧が見えた。
真っ白な霧が。
誰かが呼んでる?
目が覚める。
莉央は眠っている。
母さんは不思議そうな顔をしていた。
「さっきまで起きてたのに」
と。
莉央が起きたということは退院もすぐできるだろうと言うことで荷物をまとめた。
すっかり夜だ。
僕は寝ることにした。
〜side莉央〜
目が覚める。
またモノクロ世界の夢を見た。
日付は次の日になっていた。
なにかおかしい気がする。
そう思ったとき
バンッ!!
慌てた様子で担当医が入ってきた。
「お母様、あぁ莉央さんおはようございます。
2人に急いでお話しなければならないことが·····
『入れ替わり病』
そう告げられた。
最初は
『某人気映画か?』
なんて呑気に思っていたが説明を聞いて絶望した。
「入れ替わり病は結び付きの強い双子だけに起こる病気です。2人同時に強い衝撃やショックを受けてお互いを庇ったことが原因で生活のリズムが正反対になってしまいます。」
嫌な予感がする。
「もしかして、真央と話すことは出来ないんですか?」
「·····現実では100%できないと思われます。詳しいメカニズムや治療方も見つかっていません·····。なんせ稀な病気ですから」
途中から話が全然入ってこない。
え·····?
一生·····?
「呼吸などに問題はないので自宅に移すことは可能です」
とりあえず起きているうちに退院した方がいいと言われ、真央も連れてくという条件でボクは退院した。
眠い。
起きていれば真央に会えるはずなのに起きていられない。
〜side真央〜
起きるとそこは病室ではなく自室だった。
『あれ?まだ退院手続きしてないはず·····?』
不思議に思いリビングに行くとそこには泣き腫らした目の父親と母親がいた。
「父さん、母さんどうしたの?」
「あなたに話さなきゃ行けないことがあるの·····」
「?なに?」
母さんは泣きながら
「あなた達は入れ替わり病なの。もう一緒に暮らせないの·····」
と言った。
·····?
どういうことだ?
莉央は?
混乱していると
「すまない。私達も上手く説明出来ないんだ。」
と父親が紙を渡してくれる。
そこには入れ替わり病の症状が書いてあった。
最初ショックで声も涙も出なかった。
これからは莉央なしでこの現実を生きるのか·····。
落ち着いてからは早かった。
莉央に
『あったことをこの日記に書こう』
と手紙を書いたのだ。
ふと眠気を感じる。
このまま起きていたい。
莉央に会いたい。
目を開けるとそこはまた夢(いやもう1つの現実と言った方がいいかもしれない)だった。
だが今回は電車内じゃない。
歩き回っていると信号を渡った先、バス停に莉央が·····莉央がいた·····
「莉央!!」
考えるより先に言葉が出た。
「真央·····!」
僕は駆け寄って抱きしめようとする。
だが抱きしめるために伸ばした手は虚しくも空を切った。
触れなかった。
だが言葉が通じることそれだけでとても嬉しく思った。
そこから10分程度だろうか話していると突如僕達を隔てる壁のように真っ白な霧がでた。
『終わりの時間。』
直感的に感じ莉央に向かって叫ぶ。
「また、このバス停にいるから!!」
〜side莉央〜
「バス停で待ってる」
はっきり聞こえたあとボクは目覚めた。
机の上には手紙。真央からだ。
『日記をお互いつけよう』
とあった。
大賛成だ!
中学だったら授業ノートも置いておくのだがいかんせん理系と文系では内容が違いすぎる(白目)
そう思っていると学校に行きたいと強く思った。
リビングに急いで行き。
おはようの言葉もそこそこに
「今日から学校行きたい!!言ってもいい?」
とお母さんに聞いた。
すると少し驚いた表情をした後優しい声で
「体調がいいのなら行ってらっしゃい。学校には連絡してあるから」
と言ってくれた。
内心ガッツポーズをしながらボクは学校へ行った。
「おはよー」
「莉央!大丈夫?」
「うん!もう大丈夫!でも·····」
「病気は聞いたよ·····」
「落ち込まないでよ!1日おきにしか来れないってだけだから!ね?」
まずい·····気まずい
その時始業のチャイムがなった。
チャイムに救われた瞬間だった。
7時間目は修学旅行の班決めだった。
クラスをまたいでもいいらしいので真央も入れてもらい1年から仲が良い男3女3のグループで行くことになった。
それより·····修学旅行いけるのか?
そう思ったがとりあえず日記には学校に行ったことと班決めのことだけ書いた。
今日も眠たいな·····もう寝よう。
目が覚めるとそこはモノクロ世界だった。
『バス停で待ってる』
その言葉を思い出しバス停へ向かう。
真央はいた。
駆け寄って話をする。
色々なこと。
そして霧がかかった。
昨日よりも長い時間話せた気がした。
そして真央に向かって言った。
「バス停で待ってる!」
〜side真央〜
意識が浮上する。
机には日記。
莉央は昨日学校に行ったらしい。
僕も行くことにした。
案の定友達とは最初気まずい空気になったが1時間目の授業が終わる頃には事故前と変わらない様子になった。
修学旅行のことも母さんに聞いたら
「眠ってる方もちゃんと私が車で連れてくから!!」
と言ってくれた。
ホントにいい家族だ。
莉央に伝えるととても嬉しがっていた。
ー数週間後ー
ここ何週間かで莉央はと居られる時間は増えていることに気づく。
最初は10分だったのが今では2時間ほどまで伸びていた。
現実世界で寂しいのには変わりないが·····。
どうやら莉央も何かに気づいたらしい。
さぁいつものバス停へ行こう。
〜side莉央〜
ここ何週間かボクはこっちにいる時に何ができるか色々やってみた。
そうするとここはとても面白いことがわかった。
「莉央?何がわかったの?」
「まずはこっちの世界で負った怪我は現実世界に反映されること。あとは·····この世界ではやりたいことがなんでもできるの!!」
「·····?怪我はわかったけど2つ目ってどういうこと?」
不思議そうな顔をする真央。
「やってみせるよ!」
ボクは願う。
『星の綺麗な夜にして!』
一瞬で夜に変わった。
『空にも描ける羽根ペンを2本ちょうだい!』
ボク達の手に美しい羽根ペンが現れる。
「すごくない?!空に色々描けるんだよ!」
とボクは空にペガサスを描いてみせる。
「すげー!!!!」
2人で色々書いたあとボクはまた願った。
『星を沢山掬った空飛ぶシーツでボク達を飛ばせて!』
するとボクの手の中にキラキラと輝く大きなシーツが現れる。
「これで飛ぼうよ!」
手招きした瞬間
霧がまたボク達の邪魔をした。
「また今度だね」
悲しそうに真央が呟いた。
「そうだね。」
そう言おうとした瞬間、ボクは目覚めた。
そういえばあと1週間で修学旅行だ。
2泊3日で秋の広島と岡山に行く。
1日目と最終日はボクが起きている日だ。
·····そろそろ準備しなければ学校に遅れる。
ー1週間後ー
今日から修学旅行だ。
ボクはクラスメイトと広島行きの新幹線に乗っていた。
もちろん、隣に真央はいない。
寂しい修学旅行だ。
広島で平和学習をした後厳島神社に行った。
そこでなぜかボクだけ余分にしかも左寄りに撮らされた。
何かたくらんでるのか?
その後はホテルに行ってお土産を買ったり友達とおそろいの物を買った。
真央の分のもみじ饅頭とおそろいのキーホルダーも。
ホテルでは日記を書いたあと皆でトランプをして遊んだ。
少しずつ眠たくなってくる。
『あと少しだけ·····』
でも眠気はボクをあっちへ連れていくかのように酷くなっていく。
結局5分後には
「ゴメン·····寝る·····」
という状態になってしまった。
「おやすみ!真央はチャイム見とくよ!」
と言ってくれた。
〜side真央〜
『少し遅いな』
僕は感じていた。
まぁそれだけ莉央が楽しんでいるのだろう。
ふと
『身体は広島にあるのにこっちは元の街のままか』
とおもった。
すると
「ゴメン!真央!遅くなった!」
と肩で息をしながら莉央が走って来た。
「別に大丈夫だ。どうせ明日は僕も遅くなるだろうし」
その日は特に何をするでもなく莉央の話をずっと聞いていた。
霧がかかり始める。
「じゃあ、真央!楽しんできてね!ボクの分まで!!」
それを合図に僕は目覚める。
「おはよー真央。これ莉央から預かってんぞ」
友達が日記と莉央が買ってくれたキーホルダーともみじ饅頭を渡してくれた。
『もみじ饅頭なんて今日も買えるのに』
アイツらしいと少し微笑んで日記を読む。
綺麗な文字と沢山の思い出がそこには綴られていた。
ホントに文才があるな。
羨ましい。
「そういえば今日って·····?」
「今日は広島を自由観光!色々回るぞ!!」
ホテルを出る直前、隣の部屋で眠る莉央に
「おやすみ」
と言った。
友達の言葉通り色々な所をまわった。
わざわざ僕が行けなかったからって厳島神社も行ってくれた。
なぜかそこで1人で右寄りに写真を撮ったことだけが不思議だった。
夜は岡山に移動らしい。
『ホテルで何か岡山のお土産でも莉央に買うか。』
そう思いつつ移動した。
もちろんその間班のやつに莉央の話を聞いた。
新幹線を降りる。
『ヤバい、もう既に眠気が·····』
部屋までは行かないと友達や母さんに申し訳ないので我慢した。
部屋のベッドに着いた瞬間僕は眠りに落ちた。
『日記書けなかったしお土産も買えなかった·····』
1人落ち込みながらいつものとこへ行く。
「真央?どうしたの?疲れた?」
「いや、日記書けなかったのとお土産買えなかった。」
「気にしないでよ!!日記なら書けなかった分ボクに沢山話してよ!お土産も明日買っとくからさ?」
とはにかんで僕を見る。
今日も昨日と同じようにずっと話をした。
僕は莉央と違って話し下手だから話終われなかった。
「また夜ね!真央の話楽しみにしてる!」
そう言った莉央に僕は手を振る。
〜side莉央〜
最終日は倉敷の美観地区と備前焼体験だ。
オシャレなカフェに行った。
備前焼は上手く出来なくてちょっと凹んだ。
楽しい時間はあっという間に終わり·····。
帰りの新幹線の中友達がアルバムを送ってくれた。
そこには笑顔で映る真央の姿。
そして最後の1枚は·····
「え?」
「上手く出来たかはわかんないけど·····」
厳島神社の写真。
そこには真央とその隣にはボクがいた。
「·····っ」
嬉しさでボクはないてしまった。
「ありがとう·····ありがとう·····」
「ほら〜泣かないの!可愛い顔が台無しだよ?」
抱きしめられる。
しばらくして落ち着くと
「これ真央にも莉央バージョンのアルバムを送るんだけど内緒にしてて欲しい。」
と言われた。
もちろん承諾した。
きっと真央も喜ぶだろう。
〜side真央〜
次の日僕は自宅で目覚める。
『やっぱりちょっと味気なかったな』
と思ったけどあの事故で莉央を庇ったことは後悔してない。
ピコン♪
携帯の通知が鳴る。
『なんだろ』
友達からだ。
アルバムが送られている。
そこには笑顔の莉央の写真がまとめられていた。
微笑みながら見ていると最後の写真で手が止まった。
そこには厳島神社で笑う莉央と僕。
『そうか、1人で撮ったのはこれか』
僕はすぐに友達に電話をかける。
「アルバムありがとう。あと最後の写真も」
「いいってことよ!」
その写真をもう一度見るとどこか胸が痛んだ。
季節は流れ春。
僕達は特別措置で3年になった。
この生活に慣れることは··········なかった。
眠気には慣れてもあっちの世界で別れる時の言いようのない寂しさ、1人で過ごす時間。
それらに慣れることはなかった。
·····僕達は決断をした。
この決断は友達を、家族を悲しませるものだ。
でも僕達は限界だった。
あの写真も僕達を苦しませる物になっていた。
『結局はお互いが一緒にいないと意味がないんだ』
僕達は一心同体、一蓮托生。
4月16日。
僕達の誕生日。
その日ぐらい、いやこれからも一緒にいたい。
だから。
ボクは今モノクロ世界の近くの防波堤に立っている。
結構高い。
そんなことはいい。
·····ボク達は考えた。
モノクロ世界の怪我は現実世界に反映される。
ならモノクロ世界で消えたら?
4月16日。
ボク達の誕生日。
17時16分。
2人で生まれた時間。
そういえば『入れ替わり病』は結び付きの強い双子にしか発症しないため別名
『神の悪戯病』
とも言うらしい。
なら、もう一度悪戯してみろよ。
今度は神になんて振り回されない。
2人で·····
僕・ボクは飛び降りる。
きっとお互い同じタイミングだろう。
だってボク・僕達は
『双子』
だから。
目が覚める。
ボクの目の前には美しい星空。
「綺麗」
思わず呟いた。
いや、それより真央だ。
隣を見ると真央はすやすやと眠っている。
悪寒が走る。
だが
「んー·····。」
と·····
起きた。
2人とも起きた。
『真央が動いている』
認識した瞬間、ボクは真央に抱きつく。
強く抱き返される。
触れる·····。
ボク達の願いは届いたんだ!
2人で手を繋いで歩き出す。
『これからは2人で生きていく』
『この醒めない夢の中で』