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淡い絵空事  作者: MU~@
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一話 葉隠 大和

俺が十一の頃・・・即ち丁度十年前の話だ、一気に俺の属する葉隠一族の勢力が大きくなり、不可思議な能力(妖術と呼ばれている力)を使う者が現れ始めたのは。勿論その勢力や力を持った事によって一族の民は今迄よりも多く戦死者を出した。その逆に他の一族には酷い仕打ちをしていたし、しなければ俺たちが死ぬからそんな甘っちょろい事は言ってられなかったんだ。

そんな中で俺の兄弟は今日2人死んだ。因みに俺の兄弟は俺を含め5人で三・四男の長門と剛力が死んでしまったのだ。辛かった、先月に末っ子の櫻が死んだのを考えるともう残るところ俺と次男の武蔵だけで最後の弟を失う恐怖が身近過ぎて涙は出やしないが歯の奥がガチガチと体を恐怖と怒りなどの沢山の感情で蝕んでいた。

「今回の敵は吉良一族に加え羽衣一族だった・・・特に奴らは子供とて容赦などせまい」

葉隠一族の長である父は自分の子供が二人も死んだっていうのにすました顔で語っている父を俺はそれをどうしても気に食わなかった。

「長門も剛力もまだ八つと七つだった、こんな馬鹿げた争いはいつまで続くんだ!!」

父は少々キッと俺を睨んだがいつも道理すまし顔で返答をした

「敵を一掃し我ら一族が領土を仕切った時迄、戦いの無い平和な世界など簡単には現れぬ」

「まだ幼い子供を犠牲にしてまで続けるべきものなのか・・・」

俺がそう小さい声で呟くと今迄すまし顔だった父はまるで阿吽像の様な形相で睨み、ぎゅっと強く握った拳で俺の頬ぶん殴り俺を一メートル程飛ばしたのだ。

「ヴッ!!!!」

「貴様!!長門や剛力を侮辱するつもりか!?以前も櫻が死した時に言っただろう・・・奴等は一族の戦士として一人前に戦って死んだのだ!!子供ではない!!」

そう言って向こうへ行こうとした父に熱い眼差しを向けたがそこに1つの影が邪魔をした

「兄者大丈夫か?父上に歯向かったらどうなるか分かっているだろう?」

武蔵はそういったが大和は『最後の兄弟、武蔵までも犬死はさせたくはない』と言う気が高ぶり後ろを向き歩いている父に対し先ほどよりも大きな声を荒げた。

「何が子供じゃないだ!?何が一人前の戦士だ!?結果的に死んじゃあ一人前も糞もねぇじゃねぇか・・・世の中が・・・大人が子供たちを死に追いやってるだけじゃねぇのか!?」

父はこちらを向き先ほどよりも凄い形相でこちらを睨んで「もう一度言ってみろ」と言ったが隣の武蔵の焦った顔を無視して先ほどと同じように声を荒げて言葉を発した。

「大人が俺等子供達を死に追いやってるって言ってんだよ、何ならこっちだって羽衣一族に同じ事・・・それ以上の事だってしてるしなぁ!!」

父は気を荒げつつ返答をした「武器を持っていれば赤子とて敵とみなす。それが戦争だ。そして子を一人前にしてやることこそが親の役目だ!!」

「もし死ぬことが一人前って事なら俺は一生一人前じゃなくていい、それが賢くない行動であっても一人前じゃなくていい・・・やってやられてを繰り返して、子供も何処で狙われてるかも分からないし気楽に姓も名乗れねぇ・・・こんな世界絶対間違ってる!!」

それを大和が言うと父は気を荒立てて妖術を使いつつ叫んだ

「貴様!!この俺さえも愚弄する気か!?貴様の様なのを餓鬼と呼ぶのだ!!」

「その威嚇みてぇな行動が強制的に子供達を死に追いやってるつってんだよ!!」

俺は苛立っている気を抑えて父の妖術を抑え込みつつ父に静かに発した。

「もしもこれ以上続けるのなら容赦はしないし父上、貴方を殺しかねない・・・あと俺は少々兄弟の死で気が動転してるようだ、今回の事は水に流してはくれまいか?子供の出兵の件は色々と考えておいてほしいが・・・」

父は今回の兄弟の死による大和の驚異的な力の増幅に仰天していたが、すぐに気を取り直して「ああ、頭を冷やせ・・・大和」と言ってこの場を去ったのだった。

大和も本当は父の言いたいことも分かっていたがそれが戦国の世の一般常識的にも考えても勢力を上げる事しか見えていなくなっていて可笑しいとしか言いようのないものであるのだ。大和は隣にちょこんと座っている武蔵の頭をわしゃわしゃ撫でて「俺がお前を何が有っても守ってやるからな」と静かに言った。

武蔵は父と兄のとても大きい妖力に圧倒されて半ベソをかいていたが兄の優しさに包まれて直ぐに笑顔になり大きく頭を縦に振り「うん!」と返事をしたのだった。


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