序章
俺の名は大和、歳は二十一。
かつて俺が十一だった頃の世の中は戦国時代と呼ばれる領土巡りの大きな一族同士での激しい戦乱の時代を迎えていた。そんな時代の中でも俺は勢力的に頭角を現していた葉隠一族の長の長男と言う立場であったために優遇されていたのかもしれない。無論、戦乱の世であるから優遇された身分とは言っても十を超えた時点で俺は普通に戦場へ足を運んでいた、何なら緊急時となれば四つの子供でも短刀や手裏剣を持って争いごとに加わることもある。その様な犠牲が有ったためにこの戦国時代の推定死亡者年齢は二十にも満たないのであった。
しかし戦ばかりで娯楽や自由がない訳でもなかった。時代が時代ながらに戦士らしき行動をとる相手には姓を名乗れはしないがそんな中にも親友と呼べる者もいたのだ・・・今では俺もその友も一族の長となり争っているが昔の領土巡りとは異なり死した友や兄弟などを思い憎しみが憎しみを呼び合う戦争となってしまっているが、今になって考えてもその頃は餓鬼ながらに無邪気な絵空事を語ったり共に戦士としての技を磨いたりもしたし簡潔に言って楽しかった、何なら今でもあの頃の様に友に戻り絵空事の様な争いの無く互いの一族が協定を結ぶと言うことをすれば良いとも考えている。何なら今からでも互いの胸の中を見て和解できる平和な世界を創れないだろうか?・・・もしかしてもしかすると、彼も長になって逃れられない立場だから逃れられないだけで俺と同じように『そう』思ってるんじゃないのか?・・・同じ絵空事を語り合った友、『扇』よ。




