第八篇 魔女になれなかった魔女
魔女邸。紅ずきんとお父さん、栗鼠山さんは、お祖父さんと魔女が喧嘩をしている場面に出くわしました。
「元に戻せ!!」
「それができないのですよ!」
魔女と激しい口論をしています。
「お祖父ちゃん!」
紅ずきんが叫ぶと、お祖父さんと魔女が紅ずきんの方を見ました。
「食べたはずでは……」
魔女は、その場に座り込んでしまった。だから、なぜ紅ずきんをお祖父さんが食べないといけなかったのでしょうか。その疑問がまだ解決していません。
栗鼠山さんは、クルミを割る速度を遅め、不規則にクルミを割り始めました。これは……
「まさか、モールス信号なのか!?」
元漁師のお父さんが気づきました。
モールス信号とは、短点と長点を組み合わせてアルファベットや数字などを表す国際モールス符号です。って、普通はわかりませんよ。普通でなくてもわからないと思いますがね……。それに……、本当にモールス信号なのでしょうか……。疑問が残ります。
クルミが床に接する時間、タイミングを丁寧に観察した暇人のお父さんは、
「魔女のお嬢さん、何か事情があるのですか?」
と、聞きました。おそらく、栗鼠山さんが、”魔女に何か事情があるかもしれない”とでも言ったのでしょうか。
「……」
魔女は喋るどころか、泣き始めてしまいました。
「おば」
ビューー!!
紅ずきんがある言葉を言いかけたとき、魔女が床にあった小石を投げてきたのです。まだ若いようで……。
「……私は、魔女じゃないの……」
魔女は、そう言いました。
紅ずきんは、魔女が言ったことについて、
「魔女さん、魔女じゃないの?」
「……魔女になれなかったの……。姉様たちのせいで……」
魔女は、涙を拭き、立ち上がろうとしました。それをお父さんが手伝い、
「場所を移しましょう」
お父さんの提案で、応接室に移動しました。紅ずきんは、お祖父さんの怒りを収めました。さすがは、孫。……、お父さんは不倫をしないようにお願いします。
魔女が語り始めました。
「私は、魔女になれませんでした……。姉様たちから偽の本を渡されたのです。……それに気づいたのは、ごく最近でした。姉様たちは、私が母上に一番愛情をそそがれたということを不満に思い、私にこんなひどいことを……」
また、涙が止まらなくなった魔女は、うつむいて何も言わなくなってしまいました。
*
ところで、熊沢さんは……というと、自宅に戻り、パンクしたバイクとはまた別のバイクに乗り、山を乗り越え、魔女の家の近くまで来ていました。
*
「そうですか、そのような事が……」
お父さんは足を組み、手を組みました。
「魔女さん、姉ちゃんたちを倒せばいいのに……」
紅ずきんが言ったこの発言に、お父さんが
「こら、紅」
すると、魔女が
「紅ずきんちゃん、それは……、私にはできないの。いくら悪くても、姉様たちは、私の唯一の姉様たちなのだから……。失いたくはないの、何1つとして……。……姉様たちは、今街にいるのだけれど、住所がわからないの。だから、そもそも会うことも今はできないの……」
「会えるよ。きっと……」
紅ずきんがそう言ったのです。意外にこういったことは外さずに言うことができるのですがねぇ……。
「会えるのかしら……」
「私のお母さん、お花屋さんで働いているから、もしかしたら、配達記録に残っているかもしれないよ」
紅ずきんよ、配達記録なんて、よく知っていますね……。
「っで、いつ戻れるのだ!?」
姿がまだ狼のお祖父さんは、怒りを魔女にぶつけながらそう言いました。
「姉様たちを探して見つけ出さなければ、私は、魔法をかけることも解くこともできませんので……」
どうやら、街に戻る必要があるようです。
バリーン!!
大広間から窓ガラスの割れる音が!!
魔女と紅ずきんたちが駆けつけると……、
「くまたん!!」
どうやら、格好をつけて、窓からバイクで乗り込んで来たみたいですが……、
「……もしかして、余計なことをしてしまいましたか?」
「窓を弁償しろよ、狸」
熊沢さん、思わぬところで、器物損害により大金が必要に……。
ところで、熊って、アルバイトとかあるのでしょうか……? もしかして、動物園!?
To be continued…




