第五篇 危機一髪
夜、森の中。熊沢さんは拾った紅色の頭巾を、紅ずきんに届けようとしていました。なんて親切な熊さんなのでしょうか。
紅ずきんの父親は、昔といっても約1年半前ですが、それまでは海の男、漁師でしたが、今は森の男、猟師です。父は猟銃を持って毎日早朝から森へ行きます。なんて真面目なお父さんなのでしょうか。いや、そこじゃない?
お父さんは、愛用のシルバーの軽トラックに乗り、暗い森を爆走します。お父さんは、漁師の名残で (?) 軽トラックの荷台側面に”紅霞丸”と書いています。ちなみに、漁船には”紅旭丸”という名前を付けていました。しかも、なぜか漢字で……。この軽トラは、1年前に廃棄処分所で出会ったのです。お父さんの知人であるFさんによると、
「お父さんは"軽トラックが、私を呼んでいた。もう1度走りたいというテレパシーが云々"って、言ってたよ」と。※プライバシー保護のため声を変えています。でも、小説だから、声を変えても意味がありませんが……。
その後、数少ない知識で軽トラックを整備して、シルバーに塗り直したらしいです。あと、お父さんは免許を取ってまだ1年弱……、この1年弱の間に事故をした回数はたったの67回です。たったじゃないですね……。
軽トラは前方数メールぐらいしかヘッドライトの光が届きません。
ヘッドライトの光が何かを照らします! 熊!? お父さんは急ブレーキをかけ、サイドブレーキを引きます!! 熊は……、って熊沢さんです! スピーキングベア・クマザワさんです!! 驚き、焦る熊沢さん! このままでは、熊沢さんが帰らぬ人に! ……ではなくて、帰らぬ熊に!! 熊沢さんは、紅色の頭巾を腕にかけ、両手で軽トラックを抑えます!! 軽トラックは止まりました。
「大丈夫か!?」
お父さんは軽トラックから飛び出しました。熊沢が無事であるのを確認するのとほぼ同時に、紅ずきんの紅色の頭巾に気づき、軽トラックから猟銃を取り出し構えます!!
「お前! 娘に何をした!?」
「……えっ!?」
熊沢さんは、猟師が紅ずきんの父親であることを知りません。
「ウェイト! ウェイト!! まっ、待って下さい!!」
熊沢さん、必死に事情を話そうとしますが、
「問答無用!!」
「撃たないで! ドウント!! プリーズ、ウェイト!!」
Don't! Please wait! と、叫んでいます。
「その頭巾をどうするつもりだ!?」
「えっ、あっ……持ち主に届けてあげようと……」
熊沢さん、汗がものすごく出ています。
「本当か!?」
「本当です! トゥルース、トゥルース」
Truth。つまり、真実だと、連呼。
「……、娘は今どこにいる?」
「えっと……、お祖母様のお宅に訪問とか……」
熊沢がそういうと、
「荷台に乗れ。嘘だったら躊躇なく撃つ!」
お父さんは軽トラックの運転席に乗り、熊沢は軽トラックの荷台に乗りました。お祖母ちゃんの家を目指して発進! 夜の森を爆走します。
奇跡的に(?) 無事にお祖母ちゃんの家に到着。中に入ると、電気が消えていて、蛻の殻でした。
「娘はどこだ!?」
お父さんは頭を抱えます。
熊沢さんはみたらし団子に食らいつきます。って、それは紅ずきんの……。もう遅かったみたいです……。みたらし団子は熊沢さんのおなかの中へ。
紅ずきんと狼ことお祖父さんはどこへ行ったのでしょうか?
To be continued…




