第四篇 狼の話
紅ずきんのお祖父ちゃんは狼のようです。ということは、生まれた子供は狼と人間のハーフ!?
「紅ずきんよ。頼む、私に食われたことにしてくれ」
何、それ?
「いいよ」
紅ずきん、返答が早すぎです。
「実は……昔、魔女からもらった林檎を食べたら、魔女が『それは毒林檎じゃ。夜中の12時になったらお前は狼になるのじゃ』と言われて」
魔女から林檎をもらって素直に食べるのはどうかと思いますが……。
「私は、魔法使いに会って、カボチャの馬車」
シンデレラですか?
「の模型をもらった」
カボチャの馬車の模型ですか……。
「そして、私は急いで、ブドウカイに行って……」
武道会!? もしかして、舞踏会!? どっちもあり得ないのですが……。
「お祖母ちゃん、ブトウカイって?」
紅ずきんが聞いてくれました。
「葡萄狩り大会だよ」
葡萄狩りですか……。しかも大会……。
「その葡萄狩り大会で私は優勝したけれど、時計が11時50分を指していたのを見て、慌てて退室した時、ガラスの」
……、ガラスの何を落としたのですか? やっぱり靴?
「ガラスのカツラを落としてしまった」
ガラスのカツラ!? なぜカツラをガラス製にする必要があるのでしょうか? というより、割れませんか?
「その後、私はこの家を見つけた。お祖母さんに会うために……、しかし、初めはわかってくれなかった……。でも、お祖母さんは信じようとしてくれた……。その数日後、満月の夜に私は人に戻ることができた。しかし、満月が出ている時間は短い……。そこで、私はある人から情報を得た。私を狼にした魔女が住む家について……」
……という、お祖父さんの長話でしたが、"紅ずきんがなぜお祖父さんに食べられたふりをしなければならないのか"という理由が抜けているようですが……。
「うん、わかった!」
紅ずきんが、お祖父さんの話を全て聞いたかどうかは別にしますが、承諾しました。
ところで、お祖母さんはいずこに!? この疑問も紅ずきんが聞いてくれました。
「ねぇお祖父ちゃん……、お祖母ちゃんは?」
「観光旅行だよ」
1人で!?
……それより、この話って童話なのでしょうか。色々と心配です。
To be continued…