第三篇 隙なき質問の嵐
本当に夜になってしまいました。紅ずきん……、あれ? 紅ずきんのトレードマークである紅色の頭巾をしていないではありませんか! これでは、紅ずきんはただの人です。一体、どこでなくしたのでしょうか……。
紅色の頭巾をかぶっていない紅ずきんは……って、ややこしいですね、仕方がありません、かぶっていませんが、そのまま紅ずきんでいきます。紅ずきんは、お祖母ちゃんの家のドアをノックしまし……
ガチャガチャ……ガチャン
……。紅ずきんの将来が心配です!!
さて、ドアの錠を勝手に外した悪い紅ずきんは、挨拶もせずに入りました。(皆はしないようにね。) こんなところをお母さんに見られたら、紅ずきんは声も出ないくらい脅され……、いえ、怒られるでしょう。って、お母さんどんなキャラですか。
紅ずきんは籠をテーブルの上に置いて、お祖母ちゃんがいる寝室に行きました。お祖母ちゃん、悪い紅ずきんをせめて叱って……。
「お祖母ちゃん」
「誰かな?」
叱る気配なし……。
「……」
紅ずきんがお祖母ちゃんの異変に気づいたのでしょうか? これは明らかに……
「お祖母ちゃん、日に焼けたの?」
……。紅ずきんは天然です。どう考えても、狼にしか見えないのですが……。
「そうよ。いつもは外にいるからね」
「ところで、どうしてお祖母ちゃんの家は、1Kなの?」
紅ずきんよ、それを聞いてどうする!? というよりも、1Kは狭すぎませんか。ワンルームキッチンって……。
「お祖母ちゃんの家はね、ハンドメイドなのよ」
狼よ、なぜ答える……。って、また摩訶不思議……なぜしゃべれるのだ? ハンドメイドということは手作りの家。それとも、オーダーメイドの間違いでしょうか?
紅ずきんの質問は続きます。
「どうしてお祖母ちゃんは、お祖母ちゃんなの?」
もう何がなんだか……。
「あなたが私の孫だからよ」
「どうしてお祖母ちゃんは、テレビを見ないの?」
しばらくそのままにしておきます……。
「この辺りは地デジ放送の電波が受信できないからよ」
「どうしてお祖母ちゃんは、こんな山奥に住んでいるの?」
「動物たちと戯れるためよ」
「どうしてお祖母ちゃんは、寝ているの?」
「寝たいから寝ているのよ」
「どうしてお祖母ちゃんは、そんなに鼻が高いの?」
「蜂に刺されたからよ」
「どうしてお祖母ちゃんは、蜂に刺されたけど病院に行かないの?」
「お医者さんが毎日来てくれるからよ」
「どうしてお祖母ちゃんは、そんな目をしているの?」
「そんな目をしているからそんな目なのよ」
……、意味がわからない。そろそろ話を進めてください。
「どうしてお祖母ちゃんは、狼なの?」
「さぁ~」
何か、今さらりとものすごい質問をした気が……。
「どうしてお祖母ちゃんは、耳が若干大きいの?」
「盗聴器を付けているからよ」
それを言うなら補聴器でしょ。なぜ盗聴器を付ける。
永遠と続くので省略……
「どうしてお祖母ちゃんは、そんな手なの?」
「手術ミスで」
どんな手術ですか。
「どうしてお祖母ちゃんは、大きなお口をしているの?」
すると、というよりやっとこの質問がきて、狼は布団を蹴り上げると、
「お前を食べるためだ!!」
危ない!! 紅ずきん!!
「お祖父ちゃん!!」
……えぇっ!!??? 衝撃のカミングアウト。
To be continued…