第二篇 スピーキングベア・クマザワ
ある日、森の中、紅ずきんは熊さんと出会いました。花咲く森の道、スピーキングベア・クマザワさんと出会いました。スピーキングベア・クマザワさんは、
「ヘイ、お嬢ちゃん、お乗りなさい」
と、改めて言いました。
すると、紅ずきんは回れ右をして、逃走するではありませんか! スピーキングベア・クマザワさんは……名前が長いので省略して、熊沢さんはバイクを走らせ、紅ずきんの後を追います。紅ずきんの逃走劇が始まりました。サングラスにスーツの人から逃げるあのゲームではありませんが……。熊沢さんはスピードを上げ、紅ずきんの隣にまで追いつきました。すると、紅ずきんは急旋回をします! 夕暮れの森の中、疾走する女の子1人と熊1頭。必死の紅ずきんのイヤリングが落ちました。
「あっ」
しかし、後ろからは熊が来ます。紅ずきんは拾うことができませんでした。熊沢さんは、紅ずきんを見失ってしまいました。ふと、地面に目をやるとそこには、紅ずきんが落とした、白い貝殻の小さなイヤリングがありました。
「これは……、届けなければ……」
熊沢さんは、ウィリー走行で紅ずきんを探します。
ここまでで、紅ずきんの足が速く、熊沢さんはアクロバティクな熊さんだということが分かりました。特に重要では無いのですがね……。
紅ずきんは、迷子になってしまいました。熊から逃げるのが必死でしたので仕方がありませんが、ここはどこなのでしょうか……。
すると、草むらから……、
「お嬢ちゃん!! 落とし物だよ!」
熊沢さんがバイクを押してやって来ました。バイクの後輪がパンクしています……。
「ありがとう……」
まだ紅ずきんは、熊沢さんを警戒しているようです。
「お嬢ちゃん、こんな暗い森を歩くなんて危ないよ」
「だって……、お祖母ちゃんの家に行かなきゃならないの」
ところで、なぜこの熊さんは、しゃべれるのでしょうか……摩訶不思議です。
「お祖母ちゃんの家? それって、山の頂上にある家かい?」
熊沢さんは、優しい熊さんのようです。
「お祖母ちゃんの家を知っているの!?」
「一緒に行くかい?」
「いや……、1人で行ける」
「トゥギャザーしようぜ……」
熊沢さん、それを言うと……。
「いや、1人で行くの」
紅ずきんは、熊沢さんからお祖母ちゃんの家がある方を教えてもらいました。
こんな調子で大丈夫なのでしょうか……。お祖母ちゃんの家に着く頃には、もう夜になっているのでは……。不安でたまりません……。
To be continued…