第一篇 おつかい
「お母さん、お手伝いは?」
紅ずきんは花屋でパートをしている母親にいつも会いに来て、お手伝いをしています。紅ずきんの父親は猟師でいつも山に出かけています。
「じゃあ、このスイレンをこの住所に届けてくれる?」
住所はこの花屋の隣にある本屋のもうひとつ隣にある1人暮らしのおばさんが住んでいる家です。
「任せて」
紅ずきんはスキップしながらおばさんの家に行きました。
呼び鈴を鳴らして、おばさんにスイレンを届けました。
他にも、お母さんからだけではなく、花屋の40代後半の店長からのお願いも聞きます。今日は、5つのお手伝いをしてご機嫌な紅ずきんです。すると、お母さんが
「そうだ。あのね、お祖母ちゃんにね、このみたらし団子と花の種、それとこのコーラを届けてほしいのだけど……?」
お母さん、どのようにして、籠にみたらし団子を入れるつもりでしょうか……。それと、お祖母ちゃんにコーラですか……。
「う~ん」
紅ずきんは迷いました。なぜなら、お祖母ちゃんの家はなぜか街外れの森を越えた山の頂上にあるのですから。なぜ、そのような所に建てたのでしょうか……。紅ずきんはまだ迷っています。しかし、このような場合は、選択肢は1つ。そう、
「行かない!」
えっ? 紅ずきん……、どうやら空気が読めないのでしょうか……。お母さんが必死に説得します。
「行ってくれるよね」
「えぇ~」
その後、紅ずきんはお母さんの説得で行くことを決意しました。
「お母さん……、怖い……」
お母さんの説得……、一体何が……?
紅ずきんは、籠を大きく振りながら、歩いて行きます。
あぁ、コーラが……。
さて、紅ずきんの目の前に大きな森が見えてきました。紅ずきんはお祖母ちゃんの家を目指して、歌いながら森を抜けていきます。
そこへ、前方右ななめ上空から、バイクに乗った熊が空を飛んできました。おそらく、ジャンプ台のようなもので跳んだのか、そのような技術をもつアクロバッティクな熊さんなのでしょうか?
「お嬢ちゃん、こんな時間に森を歩くなんてデンジャラスだぜ。さぁ、俺のバイクに乗りな」
熊がしゃべりました。
紅ずきんは後退りしました。一体、この熊は何者なのでしょうか……。
「カモーン!」
しかし、紅ずきんはもう動きません。すると、熊さんはバイクを交互に左右に動かして足で地面を踏みしめ、ゆっくりと紅ずきんの方に近づいてきます。
すると、バランスを崩して横転。
「ちょっと……、お嬢ちゃん、ヘルプミー!」
この熊、本当に何なのでしょうか……。
紅ずきんは熊さんを助けてあげました。
「サンキュー、お嬢ちゃん。ミーは、スピーキングベア・クマザワといいます。よろしくね」
紅ずきんは、無事にお祖母ちゃんの家にたどり着けるのでしょうか……。心配です。
To be continued…
紅頭巾Ⅰの本編中では、主人公を含めて殆どの人名が出ないのです。当時は、Ⅱ以降を予定していなかったので……。