知らない部屋
湖の中に一人の少女がいた。
少女は湖の中で空を見上げながら立ち尽くしていた。
先程まで雲に隠れていた月が姿を現し、月明かりでが濡れた少女を照らす。
よく『水も滴るいい男』とは言うがそれは
女性でも同じだろうと思えてしまうほど。
それは、一枚の絵のように綺麗だった。
***
ゆっくりと目を開けると、目の前には見知らぬ天井。体を起こすと自分の部屋ではない机や椅子、それに今寝ているベット。
「ここ、は?」
そして、ガラリと襖が開けられる。
「あ、気がついたんだ。どこか痛いところとかはない?」
ペットボトル片手に現れたのは夏休みの予定を決めず仕舞いで別れた狐川だった。狐川にそう言われ体を少し動かしてみるが特に痛みや違和感はない。それを見ると安心そうにして近くにあった椅子に座る。ここは狐川の部屋なのだろうか。思っていたよりもなんだか必要なもの以外ない部屋に驚く。
「ここは狐川の家か?」
「それは少し違う。ここは今、僕が住まわせてもらっている家の一室といったところな?」
「住まわせてって、寮みたいな?」
「近しいところではあるかな」
狐川は俺の隣に座り水の入ったコップを渡した。俺は、それを受け取ると一気に飲み干した。先程見たアレは夢なのだろうか。未だに頭の整理がつかない。
「目を覚ましていたの」
俺は、声がする方を見ると俺の疑問に答えることができる人物、神月が狐川が入ってきたところと同じ場所にいた。神月もまた部屋に入ってくる。
「俺……さっきまで」
何をしていた?と聞きたいがその返答が怖くて黙ってしまう。なんのこと?と言われて先程のは悪夢と思いたい。でも、それだと今俺がここにいる理由がわからなくなる。黙り込む俺に神月は問いかける。
「ねえ、お腹空かない?私達も夕飯まだなんだ。良かったら一緒に食べない?」
何を意図して聞いたのか。考えてみれば最後に口にしたのは思い出したくもないあのアイスクリームだ。あれから既に三時間以上は経過している。空腹は何かに集中している時には気にもならないのに、一回意識してしまえば異常なほどそちらに意識が全て持っていかれる。だが、さっきのことであまり食事する気にはならない。
「別に」
言葉ではそう言ったものの体は正直で、すぐにお腹が鳴った。それを聞いて、狐川は笑いながら「どっち?」と聞いてきた。若干
、いやかなり腹立たしいがせっかくの神月からの誘いだ無下にするのも悪い。都合のいいように思考を方向転換させ俺は素直に夕飯をご馳走になることにした。




