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稲荷神社の妖達  作者: 朝凪
プロローグ
6/93

騒ぐ二人

大神は私の手を握りながら立ち、その直後その場に倒れこんだ。もちろん、私の力だけで支えられるわけもなく一緒に倒れこむ。手首をみると強く縛られた跡が残っていた。あの白蛇の仕業だろう。私は白蛇に噛まれた跡が無いかを確認する。

手首、足首、首。

なんとか噛まれる前に大神を助けられたようで、私はほっと息をつく。確認は済んだのだからいつまでもこのままにさせるわけにはいかない。私は立ち上がり大神の前に手をかざす。


「軽風せよ。真宵、彷徨い、行方知れず。この場に集」


口述すると、大神の体はゆっくりと地を離れ浮き上がる。私の胸の高さまで上がると大神を引き寄せこれより上にいかないよう手を添える。側から見れば私が大神をお姫様抱っこしているような図になる。だが、今はそんなことを気にしているわけにはいかない。私はここに来る途中で拾った大神の鞄と白雪、そして大神の三つの荷物を持ってその場を後にした。



***



無事に自宅に着いたは着いたで問題があった。両手が塞がり引き戸を開けることができないことだ。今ここで家の中にいる者を呼べば大騒ぎされることは簡単に予想がつく。そうなると手段は一つ。仕方がなく、行儀が悪いのは百も承知で私は足と体を使って無理矢理戸を開ける。最後のひと蹴りと戸を足で蹴飛ばして目の前に人がいることに気がつく。


「た、ただい……ま?」


目の前にいる人物。灰冬歩は手に持っていた洗濯物をバサっと床に落とし硬直状態だった。そして……。


「みーやんが男を持って帰ってきた」


家中に響き渡る声で言う。そのおかげで、ドタドタと廊下を走る音が近づいて来る。冬歩の双子の兄の灰夏麻だ。


「みーやんがなんだって!」


「男だよ!男」


指をさしながら私を珍しいものでも見たような眼差しで見てくる二人。


「二人とも話を……」


駄目元で声をかけるがはやりこちらの声など聞いてはいなく二人の話はヒートアップしていく。


「みーやんいつから!いつからそんな関係の人がいたの!」


「僕達に黙っておくのは良くないよ!」


止まらない二人に溜息が出る。さすが双子というのだろう息つく暇も途切れる隙間なく矢継ぎ早に質問が飛び交う。こうなった二人を止めることはただの浪費でしかない。ただふの体力が尽き言葉が止まるのを気長に待つしかない。そう諦めていると、二人の頭をガシッと掴む人物が現れた。


「二人共、今何時だと思ってる」


さすが双子という者なのだろうか。話は見事にピッタリと止まりゆっくりと振り返る。その後ろには、怖いくらいの笑顔があった。


「「ごめんなさい!」」


そう言い残し二人して来た時よりも速い速度で自室へと戻っていった。


「狐川、ありがとう」


「まぁ、冬歩と夏麻は騒ぎ始めたら止まらないし」


狐川は私が蹴り開けた戸を閉め、お姫様抱っこをしていた大神と鞄を持つ。


「大神とこの鞄は僕の部屋に置いておくよ」


「助かる。ありがとう」


そして、狐川は大神を連れて自室へと戻っていった。それと入れ違いになるようにして、四季がやってきた。


「雅様、お帰りなさいませ。って、白雪様どうなさったのですか!?」


後ろにおぶっていた白雪の姿を見て驚きを隠せない四季。


「悪霊に憑かれていて……。悪いのだけれど白雪を休ませられる準備をお願いできる?」


「ただいまご用意いたします」


そして、私は四季に続くように部屋に入っていった。

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