音のある方の光
神月を助けに、登ってきた道を勢いよくかけて行く。ここから下まで優に二十メートルは超えているだろう。そんなところを命綱なしで落ちていったのだ、無事では済まされない。とにかく、探して見つけ出さなければ。
神月が落ちたであろう場所についてもそれらしい痕跡などはなかった。もしかしたら、渓流に巻き込まれたのかもしれない。行くしかない。俺は意を決して川岸を進んでいった。
激しく岩に打ちつける水の中を目を粉にして神月への手がかりを探して行く。
だが、時間とは有限で。約束の七日目になったところでも神月の姿はとうとう見つからなかった。
七日目を迎えた朝。俺は最初の場所へと戻っていた。
「あれ、大神さん一人ですか?神月さんは?」
「……俺のせいで、崖から……」
その言葉だけで全てを察した千は声を荒げる。
「なんで、早く助けに──」
「助けに行ったさ!けど、見つからなかったんだ」
「そんな」
あまりの出来事にショックを隠しきれず、口を押さえたまま奥へと走って姿を消した。
「これだから未熟者の面倒はごめんじゃ」
「お師匠様!早く神月を」
「神月もかわいそうな運命じゃったのう。出来損ないの面倒など見るからこうなるんじゃ。所詮、あいつ共々出来損ないか」
「……違う」
「なんじゃと?」
「違う、神月は出来損ないなんかじゃない!あいつは俺を助けるために、手を差し出してくれたんだ!」
「それで助けた命がお前とはあいつも気の毒だな」
確かにそうかもしれない。
月宮も神月も俺なんか助けて気の毒かもしれない。けど──。
「あいつらが助けてくれたんだ。報いるためにも、俺は能力を手に入れる」
『た、すけて』
微かだけれど声が聞こえる。
『大神……私は、ここに……』
「神月?」
どこだ、どこにいる。
声を、音を、響きを聴け。声がする方へ足を向けゆっくりと歩く。
あと少し、あと少しだ。
近づけば近づくだけ聞こえる音が大きく自分に響く。
そして、道場のような建物の前に着いた途端あたり一面が白く光り輝く。
「主人の守護として共に戦い抜く武器を為せ」
言葉と共にその光は強さを増してあたり一面を覆い尽くす。目を開けていられないほどの中、ゆっくりと手元で何かが形成されていく。思わず俺は受け取るようにそっと手をだす。
手の中では黒い手袋が出来上がっていた。




